花森えりか My Room

─愛と官能について語る部屋─

視覚の効果

2021-12-25 08:42:15 | 官能トーク
 パーティーや飲み会などで、アルコールが入っている時の会話。ベッドシーンを書きながら欲望を感じるかという質問を受けたりする。
 そう聞く相手の想像していることが、ちゃんとわかるので、ついサービス精神から、
「もちろんよ。欲しくなっちゃう。うふ」
 なんて恥じらいの表情を演技しながら答えると、相手はニヤリとして納得した顔つきになる。
 もちろんシラフなら、そんな言葉は出てこない。相手も私もである。アルコールは魔法の薬。
 正直に言えば、少しはモヤモヤとした気分になる時もあるけれど、書くより、読むほうが感じる。
 男性作家の書いたベッドシーンを読んだ時、身体が熱くなったりすることが、たまにあった。
 ただ、男性作家の共通点かもしれないが、いかにも女体がわかっているようなことが書いてあると、興醒めしてしまう。
 男性読者は、そこが面白いのかもしれないけれど、そこに男性と女性の違いがあるような気がする。
 また、アダルトビデオというのは、やはり昂奮させられるに違いない。
 男性は視覚に弱いと聞くし、女性も性的刺激を受けないことはないかもしれない。
          ✩
 以前、社会勉強だからと、親しい知人に誘われてロマンポルノというジャンルの映画を観に行った。
 若干の好奇心がなくもなかったが、男性向けであって女性向けではないと思ったし、どうせ面白くないに決まっているという先入観があった。
 けれど、予想以上に、ストーリーが結構面白くて、ベッドシーンは過剰演技だが濃厚で、思いがけず、つい身体が熱くなったりした。
 短めの3本立てで、2本観たら、飽きてしまった。
 映画館を出て、道路を歩いている時、親しい知人が私の背後に回り、
「スカートに、シミが付いてるぞ」
 と言うので、慌ててスカートの後ろの部分をつまんで見たが、シミなど付いていなくて、親しい知人がクスクス笑った。
「ンもう、嘘つき!」
 頬をふくらませて怒ったものの、思いがけなく映画のベッドシーンに昂奮させられてしまったのは事実だった。
 けれど、裏ビデオなどというのは、見たいと思わない。あまりにも露骨でなまなまし過ぎると、まるで生物の実験のスライドでも見せられるような気分になるのではないかと想像されるからだ。
 もちろん、見たことがないから、先入観だけれど。
 ラブホテルの部屋のテレビにセットされているのは、表ビデオと言うらしい。時間が短く、ストーリーもなく、あまり面白いとは言えないのではないだろうか。
 とは言え、全く性感を刺激されないわけでもなく、好奇心から1度見たことはあるが、愛撫のシーンでは、ちょっぴり身体が熱くなったりした。
 けれど、本格的な行為に移ると、キャストの下手な演技と、どこか滑稽な感じがして、クスクスクスクス笑ってしまった。
 そのベッドシーンが男女の合意のもとに行われたストーリーなど面白くも何ともない。特に淫乱女と好色男が誘い合ってホテルに入ってベッドを共にした様子など、全然、面白くもなく退屈である。
 そんなビデオを見て刺激を受けるのは、やはり男性であって、大半の女性には刺激どころか楽しくも面白くもないと言えるような気がする。
          ✩
 私の女友達が、ある日、ラブホテルに入った。客室に備え付けのテレビで初めて備え付けのアダルトビデオをつけて、ソファに彼と並んで一緒に見たらしい。
 彼女は、彼の興奮度を試そうとして、さり気なく股間に手を触れたら――。
「えーっ、嘘オ」
 と、彼女は驚愕。全く変化のない感触に、彼女は驚いたらしかった。
 すると、
「こんなビデオ見たって昂奮しないさ」
 と、彼が笑った。2人とも面白くも楽しくもないビデオを、すぐ消した。
 その後――。
「うふ、うれしい」
 彼女は、欣喜雀躍。アダルトビデオなどより、現実の愛情表現のほうが、彼の肉体はちゃんと昂奮することがわかって幸せだったらしい。
 男性も女性も、現実の愛情表現こそ最も昂ぶるし、心身共に燃えあがるものである。

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