以前、父が亡くなった後、兄と姉と3人で、ある相談をするため、何度も会った時期があるんです。
実家や、兄の勤務先近くの喫茶店やシティホテルのコーヒー・ラウンジなどですが、その日は中国料理レストランの個室だったんです。
改まった会食でもないのに、兄が個室を予約したのは、書類などをテーブルの上に出す必要があったためです。
食事前にビールを少し飲んだぐらいですが、酔うほど楽しい話し合いではありません。
相談したり雑談したりの最中、
「だって、お兄さん、まだ若いんでしょう? たとえばバイアグラなんて、まだ必要ない年齢でしょう?」
私が、そう言うと、
「バイアグラか。知り合いにバイアグラ貰ったけど、あれは心臓に悪いから、捨てたんだ」
と、兄が答えたんです。
「えッ、捨てた?」
「うん」
「も~ったいない!」
と、口に出して言ったか、胸の中で呟いたか、忘れましたけど……。
その日も、結論が出ないまま、兄と別れて帰る途中、姉とお喋りしている時に、つい、言ってしまったんです。
「だけど、健康オタクのお兄さんらしいわね。せっかく貰ったバイアグラ捨てちゃうなんて。お兄さん、何が楽しみで生きてんのかしら」
「……」
姉は無言。
(ん……?)
姉の顔を見ると、どんなリアクションしていいのか迷いの表情。
(は、恥ずかしいこと、言ってしまった……!)
言わなきゃ良かったと、後悔と反省しきり。
肉親だから、ま、いいか。
内心、そう呟いたんですけど──。
実家や、兄の勤務先近くの喫茶店やシティホテルのコーヒー・ラウンジなどですが、その日は中国料理レストランの個室だったんです。
改まった会食でもないのに、兄が個室を予約したのは、書類などをテーブルの上に出す必要があったためです。
食事前にビールを少し飲んだぐらいですが、酔うほど楽しい話し合いではありません。
相談したり雑談したりの最中、
「だって、お兄さん、まだ若いんでしょう? たとえばバイアグラなんて、まだ必要ない年齢でしょう?」
私が、そう言うと、
「バイアグラか。知り合いにバイアグラ貰ったけど、あれは心臓に悪いから、捨てたんだ」
と、兄が答えたんです。
「えッ、捨てた?」
「うん」
「も~ったいない!」
と、口に出して言ったか、胸の中で呟いたか、忘れましたけど……。
その日も、結論が出ないまま、兄と別れて帰る途中、姉とお喋りしている時に、つい、言ってしまったんです。
「だけど、健康オタクのお兄さんらしいわね。せっかく貰ったバイアグラ捨てちゃうなんて。お兄さん、何が楽しみで生きてんのかしら」
「……」
姉は無言。
(ん……?)
姉の顔を見ると、どんなリアクションしていいのか迷いの表情。
(は、恥ずかしいこと、言ってしまった……!)
言わなきゃ良かったと、後悔と反省しきり。
肉親だから、ま、いいか。
内心、そう呟いたんですけど──。