よそにのみ きかましものを おとはがは わたるとなしに みなれそめけむ
よそにのみ 聞かましものを 音羽川 渡るとなしに みなれそめけむ
藤原兼輔
あの人の噂を、自分とか関わりのないものとして聞いていれば良かったのに、渡ったこともない音羽川の水に慣れるかのように、見慣れ始めてしまったのだろう。
0391、0417 に続いて、藤原兼輔(ふじわら の かねすけ)の歌が3度目の登場。第五句の「みなれ」が「水慣れ」と「見慣れ」の掛詞になっていることに加え、「音羽川」の「音」が「噂」を連想させるという、なかなかに技巧的な歌です。一読しただけでそうした含みが理解できるようになったら、より深く和歌の世界を味わうことができるのだろうと思いますが、なかなかそこまでは行きつけないですね。 ^^;;