あさなあさな けづればたまる わがかみの おもひみだれて はてぬべらなり
朝な朝な けづればたまる わが髪の 思ひ乱れて はてぬべらなり
毎朝梳ると乱れた髪がたまって行くように、私の心は思い乱れて、ついには死んでしまうのであろう。
初句「朝な朝な」は現代では使われなくなってしまった言葉ですが、古語では「夜な夜な」と両方がつかわれていました。古典和歌ではむしろ「朝な朝な」の方がよく見るかな?
なお、拾遺和歌集(巻第十一「恋一」 第669番)に次の歌が入集しています。かなり表現が違いますので、同じ歌と言ってよいかわかりませんが、歌意としては同一と見られるように思います。
あさなあさな けづればつもる おちかみの みだれてものを おもふころかな
朝な朝な けづればつもる おち髪の 乱れてものを 思ふころかな