かりにのみ ひとのみゆれば をみなへし はなのたもとぞ つゆけかりける
かりにのみ 人の見ゆれば 女郎花 花の袂ぞ 露けかりける
愛しい人が、狩りには足しげく行くのに私のところにはかりそめにしか来てくれないので、女郎花の花の袂は涙に濡れたように露が置いているよ。
この歌は 275 の再掲です。あちらは延長七年(929年)、こちらは天慶五年(942年)の屏風歌で、貫之自身が、異なる機会に旧作の歌を再度使ったのでしょう。
この歌は拾遺和歌集(巻第三「秋」 第166番)に入集しています。