漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

27-3 振り返り その2

2016-02-13 06:45:52 | 本試験
 続いて裏面です。


(六) 熟字訓・当て字  10/10 点

 今回も無事にフルマークでした。
 新出の 「鉄刀木(たがやさん)」「側金盞花(ふくじゅそう)」が印象的。一方で「樹懶(なまけもの)」「秧鶏(くいな)」は、平成15年度以降で実に5回目の出題でした。四文字熟語は 27-1 の「没分暁漢(わからずや)」に続いての出題。今後もちらほらと出されそうですね。



(七) 熟語の読み・一字訓読み  10/10 点

 ここも満点。
 「賻儀/賻る(ふぎ/おく・る)」は 19-2 の過去問。「霾(つちふ)る」は(一)の訓読み問題で平成15年以降4度出題の頻出語です。「霾翳(ばいえい)」の「霾(ばい)」が少し読みにくかったでしょうか。



(八) 対義語・類義語   16/20 点

6.  廃頽 ≒ 式微
9.  郷関 ≒ 桑梓
 両方ともまったくわからず。どちらも「辞典」の見出し語ですから、「易しかった」とおっしゃるリピーターの方が多いのも頷けますが、逆に言うと、「辞典」見出し語は本試験では新出であっても「易しい」と言われてしまうという、恐ろしい状況になったと言うべきでしょうか。(汗)  私にとっては十分に「難しい」問題でした。



(九) 故事・諺  18/20 点

2. ブンゼイ 膚を咬み虎狼肉を食らう   蚊蚋(正字は、「蚋」の旁に草かんむりがつきます)
 「蚊蚋」は 25-2 で音読み問題として出題。その時も読めず、今回も書けず・・・
 実は一度も書いたことがなかったのですが、試験本番中は、「目が字体を覚えていて書けた!」と思っていました。ところが「蚋」の正字の旁の部分、私は「廿」と書いてしまったところ、正しくは草かんむりでした。なんでそんな覚え間違いをしたかと言うと、明朝体の活字だと、ぱっと見ではその部分が「廿」に見えるからなのでした。ちゃんと覚えていなかったというだけのことですが、惜しかった~~

3. 雲は無心にして シュウ をいず。   
4. ウソ の雄は晴れを呼び雌は雨を呼ぶ。  
 どちらも新出で、かつ、諺自体は知りませんでしたが、無事に正解。ここの設問((八)の対義語・類義語も)の新出問題は、漢字が書けないというより、書くべき漢字がどれなのかがわからないというのが多いですが、今回のこの2問は書くべき漢字は文意から分かりやすいので、そういう意味では新出問題としては易しかったかもしれません。
 ついでのコメントですが、リピーターを続けていて自分として学習済の漢字や熟語が増えていくと、本試験での誤答はこの「書くべき漢字がどれなのかがわからない」パターンの方が多くなっていきます。今回の(八)の「式微」などはその典型ですね。「式」も「微」ももちろん書けるのですが、「式微」という熟語を知らなかったのでできませんでした。漢字そのものではなく語彙の豊富さが試されている問題と言えるでしょうか。



(十) 文章題   27/30 点

6.  ハンサ   煩瑣
 「煩」が思い出せずに焦りましたが、あとから浮かんできて何とか正解。

8.  ホウスン   方寸
 「方寸」という熟語が自分の語彙になく、上に書いた「書くべき漢字がどれなのかがわからない」パターンでしたが、文脈から必死に推測して何と正解! ちょっとびっくりしました。でもこれも「辞典」の見出し語ですから、ネット上では「易しかった」と言われてしまうのかな?

9.  テイセイ   提撕
 読み問題で何度も出題され、25-2 では類義語としても出題されている本試験では定番の熟語ですが、「テイセイ」との音と文脈からこの熟語が浮かばず。文章自体が難しくて文意が良くわからなかったのが敗因でした。

ア.  循って   したが・って
 一生懸命文章を読んで、「めぐ・って」か「したが・って」かさんざん迷ったあげくに「めぐ・って」と書いて×。う~ん・・・




 今回、27-1、27-2 に比べると学習の時間が取れ、それなりの準備ができて臨んだ本試験でした。改めて基礎を固め、「自分にとっての既往問題を落とさない」ことを目標に取り組みましたが、結果的には「滲」や「褐寛博」を落とすなど、その目標が達成できなかったのは残念でした。ですが、得点そのものは自己最高(これまでは175点でした)の更新ができたようなので、まずまず満足しています。


 数日前にご報告しました通り、4月からは放送大学の大学院で、新しい取り組みを始めます。もちろん普通に仕事をしながらですので相応に忙しくなりそうですが、漢検一級への取り組みも可能な限り続けて行きます。引き続きよろしくお願いします。






27-3 振り返り その1

2016-02-13 06:43:44 | 本試験
 私のところには、標準解答は土曜日に届くことが多いのですが、今回は一日早く届いていました。改めて確認しましたが、自己採点としては自分で調べたものから乖離はなく、トータル 181点でした。リピーターになった当初に「いつかは届きたい」と思っていた水準ですので、正式結果で差異が出ないことを祈ります。

 とは言っても、ここに書くのが恥ずかしいような誤答もちらほらとあります。それも含めて、いつものように振り返ってみます。



(一) 読み  28/30 点

2.  簪珥   しんじ
 「かんざし」と「みみだま」ですが、広く宝飾類というような意味かもしれません。いずれにしても知らない言葉でしたが、それぞれの音読みはわかっていたので無事正解。

5.  昇汞   しょうこう
 少し古いですが、15-2 で出題の過去問です。

6.  麕至   くんし/きんし
 一つ前の記事で書きましたが、結局どちらでも正解扱いでした。

7.  榛莽   しんぼう/しんもう
 試験中、「しんぼう」か「しんもう」かさんざん迷い、「草莽」が「そうもう」なんだから「しんもう」だろうと結論づけましたが、どちらでも正解でした。

8.  灑涙雨   さいるいう
 言葉として知らず、さらに「灑」の音読みが「しゃ」の方しか頭に浮かばず、あえなく誤答。四字熟語の「灑掃応対(さいそうおうたい)」が思い浮かべば正答できていたと思うと、かなり悔しい間違いでした。

9.  糶糴   ちょうてき
 25-2 で出題。

10.  皺襞   しゅうへき
 19-2、21-3、24-2 に続いて出題の頻出語。

11.  鬩牆   げきしょう
 21-1 で出題。過去問三連発ですね。

12.  齔齠   しんちょう
 一度「ちょうしん」と書いてしまいましたが、すぐに気づいて修正。危なかった~

13.  隈澳   わいいく
16.  欠伸   けんしん
 どちらも 25-1 で出題の過去問。「欠伸」は前回は誤答し、「これは無理だわ」と思いましたが、一旦出題されて過去問となってしまってからこうして再出題されると「簡単!」と感じます。感覚としては当たり前のことですが、そう思うと検定問題を作るのもなかなか大変ですね。

20.  螫齧   せきげつ
 これは 26-1 で、(七)の「熟語の読み・一字訓読み」問題として出題されています。その時は読めなかったのですが、今回は無事に正解。「過去問は簡単!」のパターンですね。(笑)

23.  幾緡   いくさし
 これは難しかった。「緡銭(びんせん)」は学習していましたが、訓読みは押さえていませんでした。

 このあとの 24 から 30 までは、すべて平成15年度以降の過去問。そうして見ると、やはり(一)は最近にしては易しかったのでしょう。



(二) 書き取り   26/30 点

1.  ドウヨク   胴欲/胴慾
 多くのリピーターの皆さんと同じく「獰欲」と書きました。「辞典」の見出し語ですが、言葉自体を知らなかったので、まあ仕方なし。

2.  ソウソウ たる顔ぶれ   錚錚
 1級の勉強を始めた頃、「壮壮」だとばかり思い込んでいたこの言葉が実はこんな難しい漢字を書くのだと知り、びっくりした記憶があります。本試験できちんと書けて良かったです。

10.  ニジ む   
 旁の部分を「参」と混同して、横棒を書いてしまいました。残念。



(三) 国字  10/10 点

 無事にフルマーク。



(四) 語選択・書き取り  8/10 点

2.  春風の肌寒いさま。   料峭
 25-3 の過去問そのままの出題。

3.  視野が狭いこと。見識がないこと。   管窺
 「かんき」という言葉がなかなかピンと来なかったのですが、選択肢群を何度も読み返すうちに頭に浮かんで来て正解。良かった良かった。

4.  身分の低い者の服。また、無頼漢。   褐寛博
 おそらく多くのリピーターが、いずれ出ると睨んでいた三文字熟語。私もその一人だったのですが、いざ出題されたら「褐」を「葛」と書いてしまいました。情けなぃ・・・


(五) 四字熟語  28/30 点

 落とし穴が待っていました。

キ  刺字(漫滅)
 3級配当。下位級配当熟語までまだ手の回らない私としては、見たことも聞いたこともない熟語でしたが、他の9個の熟語はすべて書けたので、消去法で答が「まんめつ」であることが判明。そこから推測で書き、かつ、最初「慢滅」としていたのを終了直前に思い直して正解。嬉しかった~ ^^

 これで今回の(五)は満点、と思っていたら、なんと意味問題の「残忍で貪婪なさま。」(正解は「鴟目虎吻」)を早とちりと言うか不注意と言うか、「豺狼当路」にしてしまって2点失いました。ああ何ともったいない・・・。自信満々だったのでこの箇所は見直しもしませんでした。見直していればすぐに気付いたはずで、慢心するとやっぱり何も良いことはありませんねぇ。



 以上で、表面はちょうど 100 点。個人的にはこれまでで最高の得点ですが、今回、表面は満点(110点)の人が何人かはいたのではないでしょうか。


 「その2」 に続きます。