ルパン三世の次元役で知られる小林清志さんが亡くなられた。筆者は小
林氏が実写ヒーローのバロム1(1972年)に子役の父親で刑事役を演じ
ていた事を知っていた。声優さんは年齢非公開である場合が多いので調
べる気はなかったが1930年代(昭和一桁)生まれである事は察しがつい
ていた。小林氏は最初のルパン三世(1971年)以前のパイロットフィル
ム(1969年)や深夜の不二子主役のシリーズ(2012年)を含めてほぼ皆
勤が続いていたので、新シリーズの度に小林氏の名前があってホッとし
ていた。ちなみにパイロットフィルムのルパンの声は山田氏ではなく後
にサイコガンのコブラ(1982年)を演じる野沢氏。赤背広の第2シリー
ズ(1977年)では不二子と五ェ門の声は交代しているので、第2シリー
ズ開始時点で銭形の納谷氏と小林氏のふたりだけが皆勤賞。納谷氏降板
(TVスペシャルはあまり観てないので死去による降板かは分からない)
以後も小林氏はほぼ皆勤賞だが1988年の風魔一族の陰謀というOVAで
は実験的にルパンファミリー総入換がされたため皆勤ではなくほぼ皆勤
なのであった。2021年、遂に来てしまった次元役の交代の際には、過去
に小林氏がガンダム0083スターダストメモリー(1992年)で敵側の上司
を演じた事があり、部下でガンダム試作1号機の宿敵となる ソロモンの
悪夢ことガトーの声優さんが次元役を引き継ぐ事が大きな話題となった。
ただ筆者の注目点は次元役での最後の出演のパート6(2021年・現在の
所は最新シリーズ)の第1話で不二子と良いムードだった事だ。次元は
常に「あの女に気を許すな…ルパン」と苦言を呈していたが、次元はルパ
ンの相棒というより男性でありながら母親的存在であのデネブのイメージ
と被る。「あんたのためにならないからあのコて付き合ってはいけません
!」と言うタイプの母親なのだ。しかしパート2スタート時は「実は次元
は不二子に気がある」という裏設定があり、テレビマガジンなど児童雑誌
で明記されてはいたが、次元はルパンにいつもの説教を繰り返していたた
め キャストもスタッフも不二子に気がある裏説教…いや裏設定を忘れてい
たのだ。次元と不二子の心の交流は忘れ物を補完したように筆者には思え
たが気のせいだろうか…。一方、特撮はというと、お父さん刑事だけでな
く主役も演じている。宇宙猿人ゴリ(1971年)では悪役でありながら主役
のゴリの声を演じていたのだ。本来はヒーローのスペクトルマンがタイト
ルになる筈が、ゴリの視点をメインで描く方針となり前代未聞のタイトル
となった。シリーズの後半は別の声優さんと交代したりタイトルをスペク
トルマンに譲った事は思い出してはいけない。特撮というかラジオドラマ
だが仮面ライダーゼクロス(1982年)の暗闇大使も演じている。ちょっと
ダンディーすぎて違和感があったが、そのカッコよさは仮面ライダーブラ
ック(1987年)などのナレーションでも印象的。特に忘れられないのは特
撮ではないが、伝説のバラエティ ひょうきん族の川口浩探検隊パロディで、
どうみても普通の飼い猫と遭遇しただけなのに、なんとその猫の鳴き声に
は猛獣の声がアフレコされ(ギョ!)小林氏も猛獣が探検隊の行く手を阻
んでいる危機感を煽るナレーションを熱演しており、アホな依頼も全力で
取り組むプロの姿勢を感じたものだ…もう一度観たい作品の ひとつだがバ
ラエティなので基本再放送はしないので再度視聴は難しいのは残念だ。小
林清志氏のご冥福を御祈りいたします。
~PS~
今回は調べ物が多く、ギーツ・ジャンヌ&アギレラ・ダべ星人と
並行だったので大変でした。明日はダべ星人???