1.まえがき
MSの試験という
「犬が4匹いて、それぞれ正方形の頂点、4つの角にいます。それぞれの犬は時計回りに隣の犬を
同じ速さで追いかけます。必ず時計回りの隣の犬にまっすぐ向かうように、走る向きを調整しな
がら走っています。それぞれが隣の犬に追いつくのにかかる時間はどれだけか。また、そうなる
位置はどこか。」
というのがあった。解説は微積を使わず、ある時点で隣の犬の進行方向が直交することを使用し
ていたが、その論証がなく、入社試験はよいとして、数学的には不備だった。
ここでは、微積を使った解を求めてみる。
2.微積分による解法
数学的に単純な設定にするため、座標の原点を正方形の中心にとり、反時計回りに犬2が犬1を
追いかける場合を考える。犬の軌跡は対称だから、原点を中心に90゜回転しても変わらない(つ
まり、ある時刻の犬1,2の進行方向は直交する)。犬1の座標を(x,y)とする。すると犬2の座
標は上のことから(-y,x)となる。正方形の1辺の長さを Lとする。
ある時刻における犬1,2の位置の傾きは(y-x)/(x-(-y))=(y-x)/(x+y) であり、これが犬1の軌
跡の接線dy/dxに等しい。この微分方程式を解くと、logとArctanが混じった訳の分からない関数
式を得るが、極座標にするとすっきりとした曲線となる(前の解答の曲線から推理して)。
したがって、後出しジャンケンで、極座標の式で考えよう。
条件は dy/dx=(y-x)/(x+y)である。x=rcosθ、y=rsinθを微分して(r' =dr/dθとして)
dx/dθ=r'cosθ-rsinθ、dy/dθ=r'sinθ+rcosθおよび y/x=tanθを条件式に代入して整理
すると r=-r' をえる。この解は
r=kexp(-θ) ・・・・・・・(1)
初期条件、θ=π/4のときr=L/√2より、k=(L/√2)exp(π/4)・・・・(2)
となる。これは対数螺旋の式であり、r→0 つまり、原点に収束する。
3.曲線の性質
犬の軌跡の曲線の長さsを求めてみよう。時間tをパラメータに取ると公式より
s=∫[0,t](√{ (dx/dt)²+(dy/dt)²} )dt=∫[0,t] vdt=vt ・・・・・(3)
ここで、犬の速さをv(定数)とした。また、パラメータをθにとると公式より
s=∫[π/4,θ](√{ r²+(dr/dθ)²} )dθ=k√2∫[π/4,θ] exp(-θ)dθ
=(k√2)(-exp(-θ)+exp(-π/4)) → (k√2)exp(-π/4)=L (θ→∞、(2)より)
この式と、(3)により、犬が出会う時間は t=s/v=L/v となる。
ここで不思議なこと、犬が出会うまでに、犬は原点の周りを無限回回り、角周波数ωは
vt=s=L(1-exp(π/4-θ)) を微分して v=-L(exp(π/4-θ))(-dθ/dt)
ω=dθ/dt=(v/L)exp(θ-π/4)→∞(θ→∞)
となる。
補足
x,y の微分方程式を解くと √(x²+y²)=kexp(-Arctan(y/x)) となるが、x,yの関係で見る
と訳が分からない関係だが、これは(1)だった。
以上
最新の画像[もっと見る]