1.まえがき
微分方程式
x2y''+2xy'-2y=x3 ・・・・・・・・・①
の一般解の解法がのっていたので紹介する(中国のサイトだった)。
2.計算
x≠0 とし、t=log|x| 、D=d/dt と置く。すると
dt/dx=1/x , y'=(dy/dt)(dt/dx)=(Dy)/x , y''=(Dy)'/x -Dy/x2= D2y/x2-Dy/x2
となり、元の式は
(D2y-Dy)+2Dy-2y=x3 → D2y +Dy-2y=±e3t
となる。特性方程式は
D2+D-2=(D-1)(D+2)
なので、斉次式の一般解は
y=Aet +Be-2t =A|x|+B/x2
となるが、「±」は、任意定数 A に含めることがてきるので
y=Ax+B/x2
とできる。
つぎに、非斉次式の特殊解は微分演算子法から(①から Cx3の形であることはすぐわかる)
y={1/(D2+D-2)} ±e3t =±{1/(32+3-2)}e3t=±(1/10)e3t =x3/10
となり、①の一般解は
y=Ax+B/x2 +x3/10・・・・・・・・②
となる。
さいごに、x≠0 としたが、①において、x=0 のとき、y=0 であり、このように初期条件を
を定めたときは、B=0 となり、この解は②に含まれる。以上により、x=0 を定義域に含め
るか除外することにより、①の一般解は②となる。
3.計算2
もう一つ
x2y''-xy'+2y=0 ・・・・・・・・・③
の一般解を求める(非斉次方程式の場合は上と同様)。同様に
(D2y-Dy)-Dy+2y=0 → D2y -2Dy+2y=0
となり、特性方程式は D2 -2D+2=0 の解は D=1±√(1-2)=1±i なので、一般解は
y=et(Acost+Bsint)=|x|{ Acos(log|x|)+Bsin(log|x|) }
となるが、「±」は、A,Bに含めることができて
y=x{ Acos(log|x|)+Bsin(log|x|) } (x≠0)
y=0 (x=0)
となる(上式でも、x → 0 のとき、y → 0 であるが)。
4.あとがき
なお、方程式が
ax2y''+bxy'+cy=f(x) ( f(x) はxの多項式。xn の nは整数)
であれば、特殊解が求められることは簡単にわかる。斉次式の一般解も解ける。
さらに、f(x)も冪関数だけでなく、いくつかの関数(例えば、log x)でも特殊解が求め
られる。
以上
[2021/8/16] あるサイトに、特殊な場合は簡単に求められる方法があった。
x²y''-xy'+y=x²
の場合、上のようにしても解けるが(特殊解は y=x² を入れればすぐわかる)、
y''-y'/x+y/x²=1 → y''-(y/x)'=1 → y'-y/x=x+A → y'/x-y/x²=1+A/x
→ (y/x)'=1+A/x → y/x=x+Alog|x|+B → y=x²+Axlog|x|+Bx
をえる。
1.まえがき
下記の極限を級数展開やロピタルの定理を使わずに求めよ。という問題があった。
lim[x→0] { (ex-1)/x }(1/x) = √e (x≠0)・・・・・①
2.仮定
設定がよくわからないが、何かの前提を決めないと求められないはずなので
(1+1/x)x → e (x → ∞)
つまり、
(1+x)(1/x) → e (x → 0) ・・・・・・・・・②
を使う。
なお、級数展開というのはランダウの o記号を使った級数と思われる。
3.計算
まず、x → 0 なので、0 < |x| < 1 として議論してよい。
3.1 0 < x < 1 のとき
1+x+x²/2 < ex < 1+2x/(2-x) ・・・・・・・③
が成り立つ。証明は4項。すると与式から
{ 1+x/2 }(1/x) < { (ex-1)/x }(1/x) < { 2/(2-x) }(1/x)
が成り立つ。左辺は②により
{ 1+x/2 }(1/x) = { ( 1+x/2 )(2/x) }1/2 → e1/2
となる。
右辺は
{ 2/(2-x) }(1/x) = 1/{ (1-x/2)(-2/x) }-1/2 → 1/e-1/2 = e1/2
となり、挟み撃ちから、①が証明された。
3.2 -1 < x < 0 のとき
y=-x とおくと、0 < y < 1, y → 0 となる。さらに
{ (ex-1)/x }(1/x) = { (e-y-1)/(-y) }(-1/y) = 1/{ e-y(ey-1)/y }(1/y)
= e/{ (ey-1)/y }(1/y) → e/√e=√e (3.1項から)
したがって、x < 0 でも①が証明された。
以上により、x≠0 について、①が証明された。
4.不等式③の証明
1+x+x²/2 < ex (x>0) の証明は、マクローリン展開から自明だが、級数展開を使用せずと
のことなので、定石に基づき証明する。
f(x)=ex-(1+x+x²/2)
とおく。すると f(0)=0 であり、f(x) > 0 (x > 0) を示せばよい。
f'(x)=ex-(1+x) , f'(0)=0
f''(x)=ex-1 , f''(0)=0
f'''(x)=ex > 0
となる。順次、遡ると f''(x) > 0 → f'(x) > 0 → f(x) > 0 が得られた。
つぎに、ex < 1+2x/(2-x) (x>0) を証明する。
g(x)=1+2x/(2-x)-ex
とおく。すると g(0)=0 であり、同様に、g(x) > 0 (x > 0) を示せばよい。このとき
2x/(2-x)=-2+4/(2-x) なので
g'(x)=4/(2-x)²-ex , g'(0)=0
g''(x)=8/(2-x)³-ex , g''(0)=0
g'''(x)=24/(2-x)⁴-ex , g'''(0)=3/2-1=1/2
g(4)(x)=24・4/(2-x)⁵-ex , g(4)(0)=3-1=2
ここで、24・4/(2-x)⁵ > 3 , ex < 3 (x < 1) なので、g(4)(x) > 0 となり、同様に、順次、遡って
g(x) > 0 が得られる。
なお、ex < 1+2x/(2-x) の関係の導出の根拠であるが、級数展開から (x < 1 に注意して)
ex =1+x+x2/2+x3/3!+・・・+xn/n!+・・・ < 1+x+x2/2+x3/22+・・・+xn/2n-1+・・・
=1+x{1+x/2+(x/2)2+・・・+(x/2)n-1+・・・}=1+x/(1-x/2)=1+2x/(2-x)
を得る。
以上
1.まえがき
ガリレイ変換は特に疑問もなく提示され受け入れられている。その原因はあまりに常識と
一致することによる。
あるサイトで、ガリレイ変換の根拠は何かという問題があり考えてみた。
2.原理
導出の原理として慣性系において
・ 特殊相対性原理の成立
・ 光速度は光源の速度を vとすると進行方向で c-v、反対方向で -c-v となる。
とする。ここで、cは光源が静止しているときの(真空中の)光速度である。
3.計算
まず、特殊相対論に倣って、変換を
x'=a(x-vt) , t'=bt+dx (定数 a,b,dはvの関数)
とする。まず、S系の原点に固定された光源から ±x方向に光を発射する。すると、S'系では
x'<0 のとき、S系の原点は近づくから光速度は -c-v、x'>0では遠ざかるので、c-v となる。
また S系では x=±ct だから
x'/t'=±c-v=a(x-vt)/(bt+dx)=a(±c-v)/(b±dc) → a=b±dc
となる。この2式を解くと
a=b , d=0
を得る。つまり
x'=a(v)(x-vt) , t'=a(v)t・・・・・・①
となる。特殊相対性原理から
x=a(-v)(x'+vt') , t=a(-v)t'
となる。すると、これらの t', tの式から
a(v)a(-v)=1・・・・・・・・②
を得る。同様に
x'=a(v){a(-v)(x'+vt')-va(-v)t'}=a(v)a(-v)x' → a(v)a(-v)=1
と確認される。
つぎに、座標は勝手に設定したものだから、(x, x') → (-x, -x')の方向に設定しても物理は変
わらない。このとき、v → -v だから①は
-x'=a(-v)(-x-(-v)t) → x'=a(-v)(x-vt)
となる。元の式と比較すると
a(v)=a(-v)
を得る。②から a(v)²=1 → a(v)=±1 となり、v=0 のとき、x, x'は一致するから、a(0)=1 とな
り、結局、a(v)=1 を得る。つまり、ガリレイ変換
x'=x-vt , t'=t
を得る。
以上
1.まえがき
つぎの数列
a₁ > 0 , a[n+1]=a[n]/(1+a[n]²)
は、有界で単調な数列は収束するという定理により、0に収束することがわかる。この数
列の収束をこの定理を使わず、初等的に証明せよという問題があった。
2.計算
a[n] > 0 は自明。
b[n-1]=1/a[n] とおき、n=0 からの数列 {b[n]} を考える。与式は
b[n+1]=b[n]+1/b[n]
すると、b[n] > 0 も自明だから、AM-GM不等式から
b[n+1]≧2 (n≧0) → b[n]≧2 (n≧1)
となる。したがって
b[1]≧2・・・・・・・①
となる。
ここで、n≧1 として
b[n]≧(√n)+(1/√n)・・・・・・②
を仮定する(n=1 のときは、①により満たされている)。すると、②に補題1を使うと
f(b[n])≧f( (√n)+(1/√n) ) (②の右辺は2以上、つまり、1以上)
となる。この式は f() をばらすと
b[n]+1/b[n]≧n+1/√n+1/{√n+1/√n}・・・・・③
となる。左辺は b[n+1] だから、次のようになる。
b[n+1]≧√n+1/√n+1/{√n+1/√n}
=(n+1)/√n+√n/(n+1)={(n+1)²+n}/{(√n)(n+1)}=(n²+3n+1)/{(√n)(n+1)}
>√(n+1)+1/√(n+1)・・・・・補題3
したがって、帰納法から②が証明された。
したがって、b[n] → ∞
つまり、a[n] → 0
補題1
f(x)=x+1/x (x≧1)
とおく。このとき、
f'(x)=1-1/x²≧0
となり、f(x) は単調増加となる。
補題2
(√n)√(n+1) < n+(1/2)
両辺を2乗すれば明らか。
補題3
(n²+3n+1)/{(√n)(n+1)} - {√(n+1)+1/√(n+1)}
=(n²+3n+1)/{(√n)(n+1)} - (n+2)/√(n+1)
={(n²+3n+1) - (n+2)(√n)√(n+1)}/{(√n)(n+1)}
> {(n²+3n+1) - (n+2)(n+1/2)}/{(√n)(n+1)}・・・補題2
={(n²+3n+1) - (n²+(5/2)n+1)}/{(√n)(n+1)}
={n/2}/{(√n)(n+1)} > 0
3.あとがき
はじめ、1/n≦a[n]≦1/√n など、色々考えたがうまくいかず、まず簡単にするため 1/a[n]
を考えることにし、最後に、(√n)+(1/√n) を思いついた。
ところが、③は補題1による、f(x)の単調増加を使う必要があると指摘を受けた。難かし
すぎた。
以上