特殊相対性理論・電磁気学・数学

物理の暗黒面や面白い問題など。

2つの平面から等距離の点の集合

2020-10-31 04:26:56 | 算数

1. まえがき

 2つの平面から等距離にある点の集合を求める問題があった。

2. 計算

 a,b,x,x₀をベクトルとし、c,dを定数とする。(x|y) を内積とすると、平面 (a|x)=c, (b|x)=d
 と点x₀との距離は公式
より
   |(a|x₀)-c|/|a|, |(b|x₀)-d|/|b|
 となる。したがって、
   |(a|x₀)-c|/|a|=|(b|x₀)-d|/|b|
 がなりたつ。これは
   {(a|x₀)-c}/|a|=±{(b|x₀)-d}/|b| → (a/|a|∓b/|b||x₀)=c/|a|∓d/|b|
 となるから、x₀ → x として、つぎの平面となる。
   (a/|a|∓b/|b||x)=c/|a|∓d/|b| (複合同順)・・・・①



 2.1 a/|a|=b/|b| かつ c/|a|=d/|b| のとき(同一平面のとき)

  (a|x)=c に平行な平面であればよいから
  (a|x)=e (∀e) の平面

 2.2 a/|a|=b/|b| かつ c/|a|≠d/|b| のとき(平面が平行のとき)

  ①のマイナスは 0=c/|a|-d/|b| となって、成り立たないのでプラス符号の
    2(a/|a||x)=c/|a|+d/|b| → (a|x)=(c+d|a|/|b|)/2
  の平面。これは、2つの平面の間の中間にある。

 2.3 a/|a|≠b/|b| かつ c/|a|≠d/|b| のとき(平面が交差するとき)

  ①の2つの平面となる。
  この2つの平面の法線ベクトルはそれぞれ
    a/|a|+b/|b| , a/|a|-b/|b| 
  だから、この内積を取ると
    (a/|a|+b/|b| | a/|a|-b/|b|)=(a|a)/|a|²-(b|b)/|b|²=1-1=0
  となり、この平面は直交している。

以上


正多面体(?)の重心から各頂点への距離が等しいこと

2020-10-23 19:53:11 | 算数

1. まえがき

 ベクトル空間にN個の点 {ri} があったとき、
   R=(Σi=1N ri )/N ・・・・・・・・①
   ri* =ri-R ・・・・・・・・・・・②
 とおくとき、
   |ri-rj|=C (>0 の定数、i≠j) ・・・・③
 を満たすとき
   ri*=rj* (ri*=|ri*|)・・・・・・・・・・・④
 が成立つことを示す問題があった。
 これは、正多面体(?)の重心 R から各頂点 ri への距離 ri* が等しいことを示すもの
 となる。



2. 計算

 ➁から簡単に
   ri*-rj* =ri-rj
 とわかるから、➂を使って
   C²=|ri-rj|²=(ri-rj)・(ri-rj)=(ri*-rj*)・(ri*-rj*) = ri*²+rj*²-2ri*rj*  (i≠j)
    ri*rj* = (1/2)( ri*²+rj*²- C² )   (i≠j)  ・・・・・⑤
 また①②から
   Σi=1ri= Σi=1rii=1N R=NR-RN=0
 すると
   ri*= -Σk=1N[k≠i] rk*
 となる。
   ri*²=ri*ri=(Σk=1N[k≠i] rk*)・(Σl=1N[l≠i] rl*) = Σk=1N[k≠i] Σl=1N[l≠i] rk*rl*
       =Σk=1N[k≠i] rk*² + ( Σk=1N[k≠i] Σl=1N[l≠i] )[k≠l] rk*rl*
 このとき、右辺第2項で k≠l だから⑤により

     =Σk=1N[k≠i] rk*² + (1/2){ ( Σk=1N[k≠i]Σk=1N[l≠i] )[k≠l] (rk*²+rl*²-C²) }
     =Σk=1N[k≠i] |rk*|² + (1/2){ Σk=1N[k≠i](Σk=1N[l≠i,k≠l] rk*²)
        +Σk=1N[l≠i](Σ[k≠i,k≠l] rl*²) - Σk=1N[k≠i](Σ[l≠i,k≠l] C² }

     =Σk=1N[k≠i] rk*² + (1/2){ (N-2)Σk=1N[k≠i] rk*²)
                  +(N-2) Σk=1N[l≠i] rl*² - (N-1)(N-2)C² }
     =Σk=1N[k≠i] rk*² + (N-2)Σk=1N[k≠i] rk*² - (N-1)(N-2)C²/2
     =(N-1)Σk=1N[k≠i] rk*² - (N-1)(N-2)C²/2
     = -(N-1)ri*² + (N-1)Σk=1N[k] rk*² - (N-1)(N-2)C²/2
 となり、ri*² をまとめると

   N ri*²=(N-1)Σk=1N rk*² - (N-1)(N-2)C²/2
 となり、結局
   ri*²={ (N-1)/N }{ Σk=1N rk*² - (N-2)C²/2 } ・・・・・・・・⑥
 となる。この右辺は i に無関係なので、左辺を i→j とすると
   ri*²=rj*²={ (N-1)/N }{ Σk=1N rk*² - (N-2)C²/2 }
   → ri*=rj*
 となり、➃を得る。

3. あとがき

 なお、1、2、3次元のときは N=2,3,4 となり、⑥を用いると重心からの頂点への半径
 ri* を求めることができる。ri* は等しいから、r* とすると
   r*²={ (N-1)/N }{ Nr*² - (N-2)C²/2 } = (N-1)r*² - {(N-1)(N-2)/N}C²/2
    → r*=( √{(N-1)/2N} )C

 したがって、N=2,3,4 のとき、r*=C/2, C/√3, (√(3/8))C となり、N → ∞ のとき、C/√2
 と
なる。

以上


2体運動(惑星運動)における速度の関係 Vx²+(Vy-eh/ℓ)²=(h/ℓ)²

2020-10-16 08:37:10 | 力学

1. まえがき

 惑星運動が円錐曲線(角運動量 L≠0)のとき、直交座標系における惑星の速度 Vx, Vy に
 はつぎの関係があることを示す問題があった。

    Vx²+(Vy-eh/ℓ)²=(h/ℓ)²
 計算はとても面倒だった。なお、記号の意味は下記の➀②のとおり。また、L≠0 なので、
 h, ℓ≠0 である。


2. 計算

 d/dtを「'」で書くと惑星運動は極座標系で
    r=ℓ/(1+ecosθ) ・・・・・①
    θ'=h/r² ・・・・・・・・②
 の関係がある。また
    x=rcosθ, y=rsinθ ・・・・・・・・・・③
 だから①の右辺の分母を左辺に移して微分すると②➂から
    r'(1+ecosθ)-resinθθ'=0 → r'ℓ/r-eyh/r²=0 → r'=(eh/ℓ)y/r ・・・・④
 ➀の前者を微分して
    Vx=r'cosθ-rsinθθ'=r'cosθ-yθ'
    Vy=r'sinθ+rcosθθ'=r'sinθ+xθ'
 だから
    Vx²=r'²cos²θ+y²θ'²-2r'ycosθθ' ・・・・・⑤
    Vy²=r'²sin²θ+x²θ'²+2r'xsinθθ' ・・・・・⑥
 すると
    (Vy-eh/ℓ)²=Vy²-2(eh/ℓ)Vy+(eh/ℓ)²
         =r'²sin²θ+x²θ'²+2r'xsinθθ'-2(eh/ℓ)(r'sinθ+xθ')+(eh/ℓ)²

 ここで、sin²θ+cos²θ=1, x²+y²=r², -ycosθ+xsinθ=0 を使うと
    Vx²+{Vy-(eh/ℓ)}²
       =r'²+r²θ'²-2(eh/ℓ)(r'sinθ+xθ')+(eh/ℓ)² (さらに②➃を使って)
       =(eh/ℓ)²(y/r)²+r²(h/r²)²-2(eh/ℓ){ (eh/ℓ)(y/r)sinθ+xh/r² }+(eh/ℓ)²
       =(eh/ℓ)²sin²θ+h²/r²-2(eh/ℓ){ (eh/ℓ)sin²θ+xh/r² }+(eh/ℓ)²

       =-(eh/ℓ)²sin²θ+h²/r²-2(eh/ℓ)xh/r²+(eh/ℓ)²
       =(eh/ℓ)²(1-sin²θ)+h²/r²-2(eh/ℓ)xh/r² (①から)
       =(eh/ℓ)²cos²θ+h²/r²-2(eh²/ℓ)cosθ/r
       =(h/ℓ)²{ e²cos²θ+ℓ²/r²-2(eℓ)cosθ/r }

       =(h/ℓ)²{ ecosθ-ℓ/r }² (②から)

       =(h/ℓ)²{ ecosθ-(1+ecosθ) }² = (h/ℓ)²{-1}²
       =(h/ℓ)²
 となる。

3. あとがき

 始め①は r+ex=ℓ だから、これを微分した r'=-ex'=-eVx を⑤⑥の和に使うと
    Vx²+Vy²=r'²+r²θ'² = e²Vx²+(h/r)² → (1-e²)Vx²+Vy²=(h/r)²
 となり、元々、胡散臭い思い込みがあって命題は嘘だと思った。しかし、Vx=0 または
 Vy=0 などの地点では
成立するので、地道に計算して驚愕した。

以上