特殊相対性理論・電磁気学・数学

物理の暗黒面や面白い問題など。

級数Σ(a^(1/n) - 1) の収束・発散

2019-03-09 08:03:15 | 解析(極限・級数)

1. はじめに

 級数の収束に対して、面白い設問があったので紹介する。級数
  S=Σ({a^(1/n)}-1) 、a≧0
 は

 0≦a<1 のとき、発散(-∞)
 a=1 のとき、0に収束
 a>1 のとき、発散(+∞)

2. 証明

 a=0 のとき、Sの発散(-∞)は明らか。
 a=1 のとき、Sは 0に収束は明らか。

 以後、a>0 かつ a≠1、x≧0 とする。すると a^x>0

   f(x)=a^x=exp((log a)x) とする。
   f'(x)=(log a)a^x, f"(x)=(log a)²a^x だから、ティラー展開して
   f(x)=1+(log a)x+(log a)²x²a^(θx) > 1+(log a)x (0<θ<1)
ここで、x=1/n として、
   a^(1/n) - 1 > (log a)(1/n) ・・・・・①

 (1) a>1 の時
   (log a)>0 だから、①を使って 、S >Σ(log a)(1/n)=(log a)Σ(1/n) → ∞
  したがって、Sは発散。

 (2) 0<a<1 の時
  b=1/a とおくと、b>1。 a^(1/n)<1 だから、S<0 なので、(-S)>0 の評価をする。

    -S= -Σ({(1/b)^(1/n)} - 1)= Σ({b^(1/n)} - 1)/b^(1/n)
      > Σ({b^(1/n)} -1)/b = (1/b)Σ({b^(1/n)} -1)

  途中で、bⁿ>b>1 → b>b^(1/n) を使った。
  ここで、最後の式は、(1) の結果を使用できて (-S)→∞となる。
  つまり、S→ -∞ となり、発散する。

  以上により、証明ができた。

3.別解

 別解が載っていた。0<a<1 , a≠1 とする。
 Σ[k=0,n-1] (a^(1/n))^k=( (a^{ (1/n) }^n - 1)/(a^(1/n) - 1)=(a-1)/(a^(1/n)-1)

 ここで、a>1 のとき、a^k < a^n (k  これは Σ[k=0,n-1] (a^(1/n))^k < Σ[k=0,n-1] a = na
 元の式に入れると (a^(1/n)-1) > ((a-1)/a)/n

 ここで注意は、(a^(1/n)-1) >0 , ((a-1)/a) >0 . 上の両辺にΣを取ると
Σ(1/n) → +∞ だから、与式は (+∞)に発散する。

 次に、a<1 のとき、a^(k/n) < 1
 これは Σ[k=0,n-1] (a^(1/n))^k < Σ[k=0,n-1] 1 = n
 元の式に入れると (a^(1/n)-1) < ((a-1)/n=(1-a)(-1/n)

 ここで注意は、(a^(1/n)-1) <0 , (a-1)<0 . 上の両辺にΣを取ると
Σ(-1/n) → -∞ だから、与式はは -∞に発散する。

以上



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