特殊相対性理論・電磁気学・数学

物理の暗黒面や面白い問題など。

e^x上の任意の2つの点の法線の交点の作る集合

2022-03-16 08:15:21 | 解析

1. まえがき

 ex 上の異なる任意の2つの点の法線の交点の作る集合を求める問題があった。はじめは検討の余
 地もないほど面倒だと思った。


2. 計算

 (1) 交点の計算

  法線の傾きは -e-x だから、x=a,b での法線は
    y=-e-a(x-a)+ea , y=-e-b(x-b)+eb ・・・・・①
  その交点は
    x=(ae-a-be-b)/(e-a-e-b)+(ea-eb)/(e-a-e-b)
     =a+(a-b)e-b/(e-a-e-b)-ea+b ・・・・・②
    y=-e-a { (a-b)e-b/(e-a-e-b)-ea+b }+ea 
     =-(a-b)e-a-b/(e-a-e-b)+ea+eb ・・・・③

  この x,yの領域を調べればよい。aを固定して、bを変化させたときを考える。すると
    x → -∞、y → +∞ (b → ±∞)
  となり、x,y とも極値を持つ。そして、この領域は ex の上側にあり、法線の傾きは負だから、
  法線の下側で端点がある。それは、xの極大、yの極小になるから、②③を微分して
    dx/db=(-1)e-b/(e-a-e-b)+(a-b) { (-1)e-b/(e-a-e-b)+e-b(-1)e-b/(e-a-e-b)2 }-ea+b=0

  両辺を -e-b/(e-a-e-b) で割って
    1+(a-b){ 1+e-b/(e-a-e-b) }-(e-a-e-b)ea+2b=0・・・・・④

    dy/db=e-a-b/(e-a-e-b)-(a-b){ -e-a-b/(e-a-e-b)+e-a-b(-1)e-b/(e-a-e-b)2 }+eb=0
  両辺を e-a-b/(e-a-e-b) で割って
    1+(a-b){ 1+e-b/(e-a-e-b) }+(e-a-e-b)ea+2b=0・・・・・⑤
  ④⑤から
    2(e-a-e-b)ea+2b=0 → a=b
  を得る。しかし、相異なる法線の交点なので、このとき、交点が存在するわけではない

 (2) 交点の最下端の軌跡

  すると②③から、法線の下部端はロピタルによって
    (a-b)/(e-a-e-b) → -1/e-b=-ea ( b → a)
  を使うと
    x=a-1-e2a ( < 0)
    y=e-a+2ea ( > 0)・・・・・・⑥
  となる。この曲線は交点の最下部の aのパラメータ表示で、図1,2 となる(図1,2の交点の詳
  細が不明なので拡大したものが図3)。





 (3) 法線の包絡線

  別の観点から、法線①の前者の包絡線を考える。①をaで微分した式は
    0=e-a(x-a)+e-a+ea → x=a-1-e2a 
  これを①に入れると
    y=-a-a(-1-e2a)+ea=e-a+2ea 
  つまり、この包絡線は⑥と一致する。

  これらの曲線は右下の特異点で上下に分かれている。この特異点は  x=a-1-e2a の極値
  となるから
    dx/da=0 → a=-(log2)/2=-0.346
    x=-log2/2-1-1/2=-1.846 , y=√2+2/√2=2.828 (⑥に代入して)
  となる。

  すると、この曲線の上側、図1は a < -0.346 、下側が a > -0.346 の範囲となるから、包絡線
  に接する法線は包絡線の接点で最下部となり、図3のようになる。

 (4) 求める交点の範囲

  以上のことから、求める領域は上下の曲線に囲まれた部分になるといいたいが、a=b の場合
  の⑥の交点は極限であり、実際は存在しないから、この領域から淵(境界)を取り除いたものに
  なる。

以上


数列 a[n+1]=(1+1/n)(a[n]/2+1) , a₁=1 の収束の証明

2022-03-14 07:50:20 | 解析(極限・数列)

1. まえがき

 つぎの数列の収束を示す問題があった。
    an+1=(1+1/n)(an/2+1) , a1=1 ・・・・・・・①
 (1+1/n) の扱いが面倒だった。

2. 収束の証明

 (1) an > 0 は自明。つまり下に有界。

 (2) まず
    a1=1 , a2=3, a3=3.75, a4≒3.833, a5≒3.646 , a6≒3.29 ・・・・②

  つぎに、n≧2 とする。
    an+1=(1+1/n)an/2+1+1/n
    an=(1+1/(n-1))an-1/2+1+1/(n-1)
    an+1-an=(1/2)(an-an-1)+(1/2){an/n-an-1/(n-1)}+{1/n - 1/(n-1)}
       =(1/2)(an-an-1)+{1/2(n-1)}(an-an-1)+(1/2){1/n - 1/(n-1)}an-1/{n(n-1)}
       =(1/2){1+1/(n-1)}(an-an-1)-{(1/2)/n(n-1)}an-1/{n(n-1)}
       < (1/2){1+1/(n-1)}(an-an-1)
  このとき、1/(n-1)≦1 なので
       ≦(1/2){1+1}(an-an-1)=an-an-1 

  つまり、n≧2 のとき
    an+1-an < an-an-1  ・・・・・③
  となる。

  ここで、n≧5 とし、②から n=5 のとき
    a5-a4 < 0
  となる。つぎに、n のとき、 an-an-1 < 0 と仮定すると、③から
    an+1-an < 0 ・・・・・④
  をえる。したがって、帰納法により、n≧4 のとき、④が成立する。
  つまり、an は単調減少。

 (3) したがって、1、2項から an は収束する。

3. あとがき

 数列が収束すれば①において an → a とすれば
    a=(1+0)(a/2+1) → a=2
 となる。

 なお、②から a2=3 > 2 である。n≧2 のとき、an > 2 と仮定すると①から
    an+1=(1+1/n)(an/2+1) > (1+0)(2/2+1) = 2
 となり、an+1 > 2 を得るから、帰納法によって、n≧2 のとき、
    an > 2
 となる。

以上