1. まえがき
ex 上の異なる任意の2つの点の法線の交点の作る集合を求める問題があった。はじめは検討の余
地もないほど面倒だと思った。
2. 計算
(1) 交点の計算
法線の傾きは -e-x だから、x=a,b での法線は
y=-e-a(x-a)+ea , y=-e-b(x-b)+eb ・・・・・①
その交点は
x=(ae-a-be-b)/(e-a-e-b)+(ea-eb)/(e-a-e-b)
=a+(a-b)e-b/(e-a-e-b)-ea+b ・・・・・②
y=-e-a { (a-b)e-b/(e-a-e-b)-ea+b }+ea
=-(a-b)e-a-b/(e-a-e-b)+ea+eb ・・・・③
この x,yの領域を調べればよい。aを固定して、bを変化させたときを考える。すると
x → -∞、y → +∞ (b → ±∞)
となり、x,y とも極値を持つ。そして、この領域は ex の上側にあり、法線の傾きは負だから、
法線の下側で端点がある。それは、xの極大、yの極小になるから、②③を微分して
dx/db=(-1)e-b/(e-a-e-b)+(a-b) { (-1)e-b/(e-a-e-b)+e-b(-1)e-b/(e-a-e-b)2 }-ea+b=0
両辺を -e-b/(e-a-e-b) で割って
1+(a-b){ 1+e-b/(e-a-e-b) }-(e-a-e-b)ea+2b=0・・・・・④
dy/db=e-a-b/(e-a-e-b)-(a-b){ -e-a-b/(e-a-e-b)+e-a-b(-1)e-b/(e-a-e-b)2 }+eb=0
両辺を e-a-b/(e-a-e-b) で割って
1+(a-b){ 1+e-b/(e-a-e-b) }+(e-a-e-b)ea+2b=0・・・・・⑤
④⑤から
2(e-a-e-b)ea+2b=0 → a=b
を得る。しかし、相異なる法線の交点なので、このとき、交点が存在するわけではない。
(2) 交点の最下端の軌跡
すると②③から、法線の下部端はロピタルによって
(a-b)/(e-a-e-b) → -1/e-b=-ea ( b → a)
を使うと
x=a-1-e2a ( < 0)
y=e-a+2ea ( > 0)・・・・・・⑥
となる。この曲線は交点の最下部の aのパラメータ表示で、図1,2 となる(図1,2の交点の詳
細が不明なので拡大したものが図3)。
(3) 法線の包絡線
別の観点から、法線①の前者の包絡線を考える。①をaで微分した式は
0=e-a(x-a)+e-a+ea → x=a-1-e2a
これを①に入れると
y=-a-a(-1-e2a)+ea=e-a+2ea
つまり、この包絡線は⑥と一致する。
これらの曲線は右下の特異点で上下に分かれている。この特異点は x=a-1-e2a の極値
となるから
dx/da=0 → a=-(log2)/2=-0.346
x=-log2/2-1-1/2=-1.846 , y=√2+2/√2=2.828 (⑥に代入して)
となる。
すると、この曲線の上側、図1は a < -0.346 、下側が a > -0.346 の範囲となるから、包絡線
に接する法線は包絡線の接点で最下部となり、図3のようになる。
(4) 求める交点の範囲
以上のことから、求める領域は上下の曲線に囲まれた部分になるといいたいが、a=b の場合
の⑥の交点は極限であり、実際は存在しないから、この領域から淵(境界)を取り除いたものに
なる。
以上