1. まえがき
巷では、未だに「鏡に映る像は左右が反対になる」と信じられている(下記の追記を参照)。
「地動説が正しい」と言う学者もいる。このような誤りや杜撰なまま放置されている概念
を掲げる。
2. 誤解されている言明
2.1 特殊相対性理論
① 物質の速度が光速度より小さいのはローレンツ変換からの定理(実際は何処にも書
かれていない特殊相対性理論の原理・仮定)。
このために、特殊相対性理論を使って、タキオンとか因果律が成立しないとかを議
論する無意味さが理解されていない。
② 双子のパラドックスは特殊相対性理論で(時空図で)説明できる(シュッツの薫陶
を受けた日本人たちが広めた。さすがに最近は少ない)。
2.2 力学
① 天動説は誤りで地動説が正しい(運動とは何かが理解されていない。運動の基準の
取り方の違いだけ)。
② 慣性系・質量・力は定義されている。
➂ 運動の第一法則は第二法則からの定理である(最近まで私も信じていた。ただし、
第一法則は慣性系の存在を保証するものでも、慣性系の定義でもない)。
2.3 電磁気学
① クーロンの法則はマクスウェルの式(ガウスの法則)からの定理。
② 電荷保存則はマクスウェルの式からの定理。
➂ 光速度不変の原理はマクスウェルの式からの定理(信じている人は多い)。
④ 電磁誘導の法則は成り立たない場合が在る(ファインマンの誤りを鵜呑みにした日
本の大学教授が「これは厳密な物理法則ではない」とまで言い切った!)。
⑤ 準定常電流の場合、導体内に電界は無い。
⑥ 起電力は力ではない(起電力の定義もしないで)。
⑦ 「キルヒホッフの電圧則」は法則(マクスウェルの式からの定理なのに)。
⑧ 電磁波が横波なのは div E=div B=0 が要因である(物質の連続体の波と混乱)。
⑨ 導線の内部インダクタンスは巻き数?から求められる(詳解電磁気学演習、後藤や
日本電気技術者協会のサイト)。
3. 曖昧・無意味な概念
① (物理で扱う)時間とは何かが定義されていない(だから無意味な、ウダ話が1冊か
けて述べられたりする)。
② ガリレイ変換や特殊相対性理論はあらゆる物理理論の前提となる時空理論(慣性系間
の空間と時間の関係を規定する)であることが理解されていない。
➂ 起電力が定義されずに議論されている(電磁気の根本要素なのに)。だから、電圧と
の区別ができない。
④ 電池やインダクタンスの内部の電界について明示されていない(だから、起電力が定
義されていないことも含めて、キルヒホッフの電圧則が定理であることが示せない)。
⑤ 電荷からはN本の電気力線が生えている。
⑥ 変位電流は電流である(電流には立派な定義がある)。
⑦ 平面波の定義をしないで、平面波を議論する。
⑧ アンペールの法則とビオ・サバールの法則関係が明示されていない。
⑨ 磁力線は磁石から生えている・いない。磁力線は運動する・しない。
4. あとがき
以上のように、物理は一般に、対象を定義もしないで、あれこれ議論されている。このた
め陳腐・不明確な議論がまかり通り、トンデモが付け入るスキを与えている。
しかし物事を突き詰めていくと、最後には何も残らない。したがって、物理の原初、力学
と同様、電磁気学も「電荷」は定義できないことについて説明がない。
力学や電磁気学が完成して何百年も経つのに、宇宙論・素粒子論とかいう前に、そろそろ、
足元を見直すという、志を持った人(学者でもよいが)は居ないのだろうか?
以上
[2020/6/20] 見直しとともに、あとがきを追加。
[2022/6/4] 電荷の定義の一部はクーロンの法則と思っていたが、これは力学と同様
「未定義量」と結論するに至った。
[2023/1/21] 2022/12/31 の天声人語にも、書かれていた。情けない限りだ。
以上
1. まえがき
曲線 y=x²上の3点とある関係にある点の軌跡を求める問題があった。
2. 問題
曲線 y=x²上に3点P,Q,Rがある。点PからQに向かうベクトルをPQ>とする。すると
PS>=PQ>+PR> を満たす点Sをとる。また、点Pを固定して、∠QPR=90゜を保ちな
がら点Q,Rを移動するとき、点Sの軌跡を求めよ。
3. 計算
点Oを原点、点P,Q,Rの座標を(p,p²),(q,q²),(r,r²)とする。すると
PQ>=<q-p,q²-p²>, PR>=<r-p,r²-p²>、PS>=<q+r-2p,q²+r²-2p²>
であり、点Sの位置ベクトルは
OS>=PS>+OP>=<q+r-2p,q²+r²-2p²>+<p,p²>=<q+r-p,q²+r²-p²>
となる。つまり、Sの座標は
x=q+r-p・・・・・①
y=q²+r²-p²・・・・②
また、PQ>とPR>は直交するから、内積を取って
0=(PQ>)・(PR>)=(q-p)(r-p)+(q²-p²)(r²-p²)=(q-p)(r-p){1+(q+p)(r+p)}
→ 1+(q+p)(r+p)=0
→ -qr=1+(q+r)p+p²・・・・③
すると➂は①の xを使って
-qr=1+(x+p)p+p²=1+px+2p²・・・・④
また、(x+p)²=(q+r)²=q²+r²+2qr → q²+r²=(x+p)²-2qr なので②から
y=(x+p)²-2qr-p²=x²+2px-2qr
④を使って
y=x²+2px+2(1+px+2p²)=x²+4px+2+4p²=(x+2p)²+2・・・・⑤
以上
1. まえがき
I=∫[0→∞] {tan⁻¹(Ax)-tan⁻¹(Bx)} /x dx (A, B>0)
を求める問題があったが、u=Ax と変数変換すると、
J=∫[0→∞] tan⁻¹(Ax)/x dx=∫[0→∞] tan⁻¹(u) /u du
となり、A, B に依存しないから、I=J-J=0 として、誤った。J → ∞ は自明であり、この
計算はできなかった。
2. 準備
(1) lim[x→0] tan⁻¹(Ax)logx → 0 の証明
lim tan⁻¹(Ax)/(1/logx)・・・・(ロピタルの定理を使用)
=lim { A/(1+(Ax)²) }/{ -(1/log²x)(1/x) }
=lim {-A/(1+(Ax)²) } lim { xlog²x }
=(-A) lim log²x/(1/x)・・・・(ロピタルの定理を使用)
=(-A) lim (2logx)(1/x)/(-1/x²)=(-A) lim 2logx/(-1/x)・・・(ロピタルの定理を使用)
=(-A) lim (2/x)/(1/x²)=(-A) lim 2x=0
(2) lim[x→∞] {tan⁻¹(Ax)-tan⁻¹(Bx)}logx → 0 の証明
lim {tan⁻¹(Ax)-tan⁻¹(Bx)}/(1/logx)・・・・(ロピタルの定理を使用)
=lim { A/(1+(Ax)²)-B/(1+(Bx)²) }/{ -(1/log²x)(1/x) }
=lim [ { (B-A)(ABx²-1) }/{ (1+(Ax)²)(1+(Bx)²) } ] { -xlog²x }
=(B-A) lim [ { (ABx²-1)x² }/{ (1+(Ax)²)(1+(Bx)²) } ] { -(log²x)/x }
=(A-B) lim [ (ABx²-1)x²/{ (1+(Ax)²)(1+(Bx)²) } ] lim (log²x)/x
=(A-B) lim [ (AB-1/x²)/{ (1/x²+A²)(1/x²+B²) } ] lim (log²x)/x
=[ (A-B)/(AB) ] lim (log²x)/x・・・・(ロピタルの定理を使用)
=[ (A-B)/(AB) ] lim 2(logx)(1/x)/1
=[ (A-B)/(AB) ] lim 2(logx)/x・・・・(ロピタルの定理を使用)
=[ (A-B)/(AB) ] lim 2/x=0
(3) ∫[0→∞] logx/(x²+a²) dx=(π/2a)loga
これは留数計算から、よく知られている。
3. 計算
tan⁻¹ の積分は以前、微分すると簡単な関数になり求められた。そこで、部分積分す
ると
I=[ {tan⁻¹(Ax)-tan⁻¹(Bx)}logx ][x=∞,0]-∫[0→∞]{A/(1+(Ax)²)-B/(1+(Bx)²)}logx dx
=0-∫[0→∞]{A/(1+(Ax)²)-B/(1+(Bx)²)}logx dx
=(-1/A)∫[0→∞] logx /((1/A)²+x²) dx + (1/B)∫[0→∞] logx /((1/B)²+x²) dx
=(-1/A)(πA/2)log(1/A)+(1/B)(πB/2)log(1/B)=(π/2)log(A/B)
ここで、上の2項の(1)(2)(3)を使った。
4. あとがき
最近、積分の計算サイトを知った。不定積分の場合、計算過程も示されるので、こ
この例のように、極めて複雑な物や特殊なもの以外、積分のQAは不要になった。
以上
1. まえがき
以下のような人を追いかける犬の問題があった。以前のMSの入社試験に似ている。
2. 問題
定速度 V で原点から y軸上を直線運動をする人に向かって,定速度 U で、人を追いか
ける犬がいる。図のように、犬の初めの位置は x 軸上の座標 a の位置にあったとする。
以下の問いに答えよ。
(1) t 秒後の 犬の位置を (x, y) とすると、犬の速度 (vx, vy) の成分の比 vy/vx を求めよ。
(2) dy/dx および d²y/dx² を x, y, t, V を用いて表わせ。
(3) Uを dx/dt, dy/dx を用いて表わせ。
(4) (2)、(3) より犬の進路曲線の微分方程式(t を含まない微分方程式)を導け。
(5) U=V の場合、犬の進路曲線の微分方程式を解け。
(6) U=V の場合、犬が人に近づきうる最終距離を求めよ。
3. 計算
時間微分を「'」であらわす。
(1)
vy/vx=y'/x'=(dy/dt)/(dx/dt)=dy/dx=(Vt-y)/(-x)=(-Vt+y)/x・・・・①
(2)
①から
dy/dx=(-Vt+y)/x・・・・②
y(x) のグラフを求めるには、②から tを消さねばならない。そこで②を変形した
x(dy/dx)=-Vt+y を tで微分して(d(dy/dx)/dt=(d²y/dx²)(dx/dt)=(d²y/dx²)x' より)
y'+x(d²y/dx²)x'=-V+y' → d²y/dx²=-V/(xx')・・・・③
となる。
(3)
dy/dx=y'/x' だから
U²=x'²+y'²=x'²{1+(y'/x')²}=x'²{1+(dy/dx)²}
x'≦0 だから、U≧0 にとれば
U=-x'√{1+(dy/dx)²}・・・・④
となる。
(4)
➂④から
d²y/dx²={V/(Ux)}√{1+(dy/dx)²}
(5)
U=V だから
d²y/dx²=(1/x)√{1+(dy/dx)²}
p=dy/dx とおくと
dp/√(1+p²)=dx/x → log|p+√(1+p²)|=log|x|+A → {p+√(1+p²)}/x=±eA
ここで改めて ±eA ⇒ A(≠0) とおくと
p+√(1+p²)=Ax
となる。
x=aのとき、p=dy/dx=0 だから、A=1/a
√(1+p²)=(x/a)-p → (1+p²)=(x/a)²-2(x/a)p+p² → p=x/(2a)-a/(2x)
積分して
y=x²/(4a)-(a/2)logx+B
y(x=a)=0 だから、B=(a/2)loga-a/4
ゆえに
y=x²/(4a)-(a/2)logx+(a/2)loga-a/4
(6)
y'=dy/dx=x/(2a)-a/(2x)だから
(xy')²={x²/(2a)-a/2}²
ABの距離Dは
D=√{(Vt-y)²+x²}・・・・②を入れて
=√{(xy')²+x²}=√[{x²/(2a)-a/2}²+x²] → a/2 (BがAに近づくのだから、x → 0)
以上
[2020/6/2] 微分方程式から変数 tを削除する方法(d²y/dx²の導出)を分かり安くした。