特殊相対性理論・電磁気学・数学

物理の暗黒面や面白い問題など。

一様な電磁界中の点電荷の運動

2019-12-31 11:12:44 | 電磁気学

1. まえがき

 一様な電磁界中の点電荷の運動についてまとめておく。まず、簡単な設定として、
 B=<0,0,B> , E=<0,E,0>の一様な電磁界中における、質量m、電荷qの点電荷の運動を
 考える。初期条件は
   t=0 の座標<0,0,0>で、初速度 <0,v₀,0>をもつとする。・・・・・①



2. 計算


 運動方程式は「'」を時間微分として
   mx''=qvyB , my''=q(E-vxB) , mz''=0
   x''=wy' , y''=a-wx' , z''=0、a=qE/m , w=qB/m・・・・②
 となる。②を積分して
   x'=wy+A , y'=at-wx+C , z'=D
 となる。初期条件①から(z(0)=z'(0)=0 なので)
   x'=wy , y'=at-wx+v₀ , z=0 ・・・・・・・・・・・③
 となる。

 つぎに、③を②に代入して
   x''=-w²x+awt+wv₀ , y''=a-w²y
 となる。ここで
   X=x-(a/w)t-v₀/w, Y=y-a/w² ・・・・④
 とおくと、
   X''=-w²X , Y''=-w²Y
 となり、この解は
   X=Acoswt+Bsinwt , Y=Ccoswt+Dsinwt
 となる。初期条件①から、X(0)=-v₀/w , X'(0)=-a/w , Y(0)=-a/w² ,Y'(0)=v₀ なので
 A=-v₀/w , B=-a/w², C=-a/w², D=v₀/w となlり
   X=-(v₀/w)coswt-(a/w²)sinwt , Y=-(a/w²)coswt+(v₀/w)sinwt・・・・⑤
 を得る。これは
   X²+Y²=(v₀/w)²+(a/w²)²
 なので、④のx軸に等速運動する座標系で観ると電荷は、半径 √{(v₀/w)²+(a/w²)²} の
 円運動する。⑤を微分して
   X'²+Y'²=v₀²+(a/w)²
 となるので、等速円運動と分かる。

 座標系を戻すと④⑤から
   x=(a/w)t+v₀/w-(v₀/w)coswt-(a/w²)sinwt=(a/w)t+(v₀/w)(1-coswt)-(a/w²)sinwt
   y=(a/w²)(1-coswt)+(v₀/w)sinwt
   z=0
 を得る。この式は、θ=wt と置くと
   x=(a/w²)(θ-sinθ)+(v₀/w)(1-cosθ)
   y=(a/w²)(1-cosθ)+(v₀/w)sinθ 

 この式は、v₀=0 のとき、サイクロイドを現し、a=0(E=0)のとき、円運動を表す。
 一般には図のような軌跡となる。



以上


∫[0→∞] exp(-a²x²-b²/x²) dx={(√(π)/(2a)}exp(-2ab) (a,b>0) などの証明

2019-12-28 11:07:38 | 解析(積分)

1. まえがき

 あるサイトに下記の問題があった。これを証明する。いずれも、a,b>0 とする。
   I(a,b)=∫[0→∞] exp(-a²x²-b²/x²) dx={ (√π)/(2a) } exp(-2ab)  ・・・・・①
   J=∫[0→∞] (1/x²)exp(-a²x²-b²/x²)dx=(a/b) I(a,b) ・・・・・・・・・・・②
   K=∫[0→∞] x²exp(-a²x²-b²/x²)dx={ (1+2ab)/(2a²) } I(a,b) ・・・・・・・③
 一見、
   A=∫[-∞→∞] exp(-x²) dx=√π ・・・・・④
 に似ているが、∫[0→∞] exp(-b²/x²) dx は収束しない。

2. ①の証明

 まず、①で、x=(b/a)y と変換すると
   I(a,b)=∫[0→∞] exp(-b²y²-a²/y²) (b/a)dy=(b/a)I(b,a)・・・・・・⑤
 つぎに、④において、
   y={ x+√(x²+4ab) }/(2a)=2b/{ -x+√(x²+4ab) }  すなわち x=ay-b/y
 と変数変換をする。ここで、直接、x=ay-b/y としないのは y に変換したとき、変
 換式が複数出きるため。すると、x=-∞~∞ → y=0~∞ なので

   A=∫[0→∞] exp(-(ay-b/y)²) (a+b/y²)dy=∫[0→∞] exp(-a²y²-b²/y²+2ab) (a+b/y²)dy
    =exp(2ab)∫[0→∞] exp(-a²y²-b²/y²) (a+b/y²)dy
    =exp(2ab) { a I(a,b)+b∫[0→∞] (1/y²)exp(-a²y²-b²/y²) dy }・・・・⑥

 さらに、y=1/x と変数変換すると
   A=exp(2ab) { a I(a,b)+b∫[∞→0] (x²)exp(-a²/x²-b²x²) (-1/x²)dx }
     =exp(2ab) { a I(a,b)+b∫[0→∞] exp(-b²x²-a²/x²) dx }
     =exp(2ab) { a I(a,b)+bI(b,a) }=exp(2ab) { a I(a,b)+a I(a,b) } ・・・(⑤から)
     =exp(2ab) 2a I(a,b)
 したがって、④から A=√π なので、①を得る。

3. ➁の証明

 x=1/t と変換すると、⑤を使って
   J=∫[0→∞] (1/x²) exp(-a²x²-b²/x²)dx=∫[∞→0] t² exp(-a²/t²-b²t²)(-dt/t²)
      =∫[0→∞]  exp(-a²/t²-b²t²)dt=I(b,a)=(a/b) I(a,b)
 となり、②をえる。

4. ③の証明

 つぎに、①の結果を使って、積分③を証明する。まず、つぎの計算をする。
   lim[x→∞] exp(-a²x²)x=lim[x→∞] x/exp(a²x²)・・・・ロピタルから

     =lim[x→∞] 1/{exp(a²x²)(2a²x)}=0・・・⑦

 すると、

   I(a,b)=∫[0→∞] exp(-a²x²-b²/x²)・1 dx  ・・・・・部分積分
      =[ exp(-a²x²-b²/x²)(x)] [x=∞,0] - ∫[0→∞] exp(-a²x²-b²/x²){-2a²x+2b²/x³}(x)dx
          ・・・・・⑦から
      =0+∫[0→∞] exp(-a²x²-b²/x²){2a²x²-2b²/x²}dt
      =2a²∫[0→∞] x²exp(-a²x²-b²/x²)dx - 2b²∫[0→∞] (1/x²)exp(-a²x²-b²/x²) dx
      =2a²K - 2b²J = 2a²K - 2b²(a/b)I(a,b) = 2a²K - 2ab I(a,b)
 まとめて、③を得る。

5. ③と②の「別」証明

 ③の別証明を与える。①の両辺を aで微分すると
   左辺=∫[0→∞] (∂/∂a)exp(-a²x²-b/x²)dx=∫[0→∞] exp(-a²x²-b²/x²) (-x²2a) dx
     =-2a∫[0→∞] x²exp(-a²x²-b²/x²) dx=-2aK
   右辺=√π [ {-1/(2a²) } exp(-2ab) + {1/(2a)}exp(-2ab) (-2b) ]
     =√π [ -1/(2a²) - (b/a) ] exp(-2ab)=√π {-1/(2a²)} (1+2ab) exp(-2ab)
 まとめると結論を得る。

 同様に、①をbで微分すると➁が得られる。

以上

[2019/12/30] ③の証明の無駄な部分を除いて簡単化した。


(n+1)∫[0,π/2] sinⁿ⁺¹x dx > n∫[0,π/2] sinⁿx dx の証明

2019-12-14 17:48:20 | 解析(積分)

1. はじめに

 つぎの関係を証明する問題があったが、とても面倒だった。
   (n+1)∫[0,π/2] sinⁿ⁺¹x dx > n∫[0,π/2] sinⁿx dx・・・・①

2. 準備

 いくつかの公式から
   I[n]=∫[0,π/2] sinⁿx dx
     =(n-1)!!/n!!={(n-1)/n}((n-3)/(n-2)}・・・(4/5)(2/3)  (n:奇数)
     =(π/2)(n-1)!!/n!!=(π/2){(n-1)/n}((n-3)/(n-2)}・・・(3/4)(1/2)  (n:偶数)
                                 ・・・・②
 また
   sin(πz)/(πz)=Π[n=1,∞] (1-z²/n²) において z=1/2とすると
   Π[n=1,∞] (1-1/(2n)²)=2/π 逆数を取って
   Π[n=1,∞] (2n)²/{(2n)²-1}= π/2 ・・・・・・③
 となる。同様に

   cos(πz)=Π[n=1,∞] {1-z²/(n-1/2)²}
    → cos(πz)/{1-z²/(1-1/2)²}=Π[n=2,∞] {1-z²/(n-1/2)²}
    → cos(πz)/(1-4z²)=Π[n=2,∞] {1-z²/(n-1/2)²}
 ここで、z → 1/2とすると、左辺は不定形になるので、ロピタルの定理から
   cos(πz)/(1-4z²) → -sin(πz)π/(-8z) → π/4 (z → 1/2)
 となり、右辺は Π[n=2,∞] {1-1/(2n-1)²}=Π[n=1,∞] {1-1/(2n+1)²} となるから
   Π[n=1,∞] {1-1/(2n+1)²}=π/4 逆数を取って
   Π[n=1,∞] (2n+1)²/{(2n+1)²-1}=4/π・・・・・④
 を得る。


3. 計算

  つぎの数列
    A[n]=(n+1)I[n+1]/(nI[n])={(n+1)/n}I[n+1]/I[n]
  を考え、A[n]>1 を示せば、命題①が証明できる。➁から、nの偶奇によって、I[n]の値が
  変わるので、偶奇に分けて検討する。

 3.1 nが奇数の時とき

  ➁を代入して
    A[n]=(π/2){(n+1)/n}{n!!/(n+1)!!}{n!!/(n-1)!!}
       =(π/2){(n+1)/n}[{n/(n+1)}・・・(5/6)(3/4)(1/2)]
               ×[{n/(n-1)}・・・(5/4)(3/2)(1)]
              =(π/2){(n+1)/n}{n²/(n²-1)}{(n-2)²/((n-2)²-1)}
           ・・・{5²/(5²-1)}{3²/(3²-1)}(1/2)
  したがって、
    A[n+2]/A[n]={(n+3)/(n+2)}{(n+2)²/((n+2)²-1)}{n/(n+1)}
       =n(n+3)(n+2)/{( (n+2)²-1 )(n+1)}
       =n(n+3)(n+2)/{(n+1)(n+3)}(n+1)}=n(n+2)/(n+1)²<1
  となる。つまり、nが奇数の時、A[n]は単調減少数列なので、
    A[n]>A[n+2]≧lim[n→∞]A[n]  (nは奇数)
  となる。

  そこで、A[n]のうち、(n+1)/n → 1 だから

    {n²/(n²-1)}{(n-2)²/((n-2)²-1)}・・・{5²/(5²-1)}{3²/(3²-1)}
  の極限を求めればよい。この極限は④から、4/π となり
    A[n]>lim[n→∞]A[n]=(π/2)1(4/π)(1/2)=1
  したがって、nが奇数の時、命題①が証明された。

 3.2 nが偶数のとき

  同様に
    A[n]=(2/π){(n+1)/n}{n!!/(n+1)!!}{n!!/(n-1)!!}
       =(2/π){(n+1)/n}[{n/(n+1)}・・・(4/5)(2/3)] 
               ×[{n/(n-1)}・・・(4/3)(2/1)]
              =(2/π){(n+1)/n}{n²/(n²-1)}{(n-2)²/((n-2)²-1)}

           ・・・{4²/(4²-1)}{2²/(2²-1)}
  したがって、奇数の時と同じ計算ができて
    A[n+2]/A[n]=n(n+2)/(n+1)²<1
  となる。つまり、nが偶数の時も、A[n]は単調減少数列なので、
    A[n]>A[n+2]≧lim[n→∞]A[n]  (nは偶数)
  となる。

  そこで、A[n]のうち、(n+1)/n → 1 だから

    {n²/(n²-1)}{(n-2)²/((n-2)²-1)}・・・{4²/(4²-1)}{2²/(2²-1)}
  の極限を求めればよい。この極限は③から、π/2 となり
    A[n]>lim[n→∞]A[n]=(2/π)1(π/2)=1
  したがって、nが偶数の時も、命題①が証明された。

以上

[2019/12/15] 一部、修正と追加。


b[n]>0、Σb[i]→∞ かつ a[n]/b[n]→a のとき、(a₁+a₂+・・・+a[n])/(b₁+b₂+・・・+b[n])→a の証明

2019-12-10 10:25:31 | 解析(極限・数列)

1. まえがき

 下記の数列の極限の問題があったので記す。

2. 問題

 数列{a[n]}、{b[n]}がある。後者の数列は b[n]>0 かつ Σb[i]→∞ を満たす。ここで、
 A[n]=Σ[i=1,n] a[i]、B[n]=Σ[i=1,n] b[i] とすると
   a[n]/b[n]→a のとき、A[n]/B[n]→a
 となる。

3. 証明

 ∀ε>0 とする。Σb[i]→∞ だから、
   ∃N₁>0 , n>N₁ → B[n]>|Σ[i=1,N₁] (a[i]-a b[i])|(2/ε)・・・・・①
 とできる。また、a[n]/b[n]→a および b[n]>0 だから、
   ∃N₂>0 , n>N₂ → |a[n]/b[n]-a|<ε/2 、つまり、|a[n]-ab[n]|<(ε/2)b[n]・・・・②
 となる。

 ここで、N=max{N₁,N₂} とおくと①②を使って
    |A[n]/B[n]-a|=| Σ[i=1,n] (a[i]-a b[i]) | / B[n]
      ≦| Σ[i=1,N] (a[i]-a b[i]) | /B[n] + | Σ[i=N+1,n] (a[i]-a b[i]) | / B[n]
      <B[n](ε/2) / B[n] + (ε/2)( Σ[i=N+1,n] b[i] ) / B[n]
      <ε/2 + ε/2=ε
 となり、A[n]/B[n]→a が証明された。

以上


n{(n+1)^(1/(n+1)-n^(1/n)}→0 (n→∞)の証明

2019-12-01 22:06:41 | 解析(極限・数列)

n→∞のとき、n{(n+1)^(1/(n+1)-n^(1/n)}→0 を証明する問題があった。

y(x)=x^(1/x)・・・・・①
とおく。logをとると logy=(1/x)log(x)
となる。x → ∞のとき、右辺にロピタルの定理を使うと logy → 1/x → 0 だから
y → 1 (x → ∞) ・・・・・②

➀にlog を取って、微分すると
y'=y{-log(x)/x²+1/x²}={x^(1/x)}{1-log(x)}/x²
となる。

平均値の定理から
y(x+1)-y(x)=y'(c)・1={c^(1/c)}{1-log(c)}/c² (x<c<x+1)
となる。

すると
x{y(x+1)-y(x)}={c^(1/c)}{1/c-log(c)/c}(x/c)

x → ∞のとき、c → ∞だから
x<c<x+1 → 1-1/c<x/c<1 なので x/c → 1、また①から
c^(1/c) → 1
{1/c-log(c)/c} → 0 (第2項はロピタルで -1/c → 0となる)

したがって、
x{y(x+1)-y(x)} → 0
となる。

x=n とすれば、命題を得る。

以上