特殊相対性理論・電磁気学・数学

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半球面殻に一様な面電荷σが分布しているときの、Z軸上の電界と電位

2019-03-07 10:23:00 | 電磁気学(電界)

1 まえがき

 あるサイトにつぎの問題が載っていた。計算がちょっと変わっていたのが面白かった。

  図のような半径Rの半球面殻に一様な面電荷σが分布しているときの、Z軸上の電界および
   無限遠に対するポテンシャルを求めよ。



2 電界の計算

 半球面の点PをX-Y平面からの角度θで表す。Pからzまでの距離をrとする。X-Y平面に平行な微小
 長さをdlとすると、P点の微小面Rdθdlの電荷はdq=σRdθdlとなる。この電荷によるZ軸上の電

 界とZ軸とのなす角をφとする。すると、この電界のZ成分は(dq/(4πεr²))cosφとなる。この
 電界はX-Y平面に平行な円周を考えると当然、X,Y方向はキャンセルして、Z成分のみとなる。

 この電界のZ成分は、この円周上では一定なので、X-Y平面に平行な微小リングの長さを掛ける、
 つまり dl→(2πRcosθ)として
    dEz=(σ/(2εr²))R²cosφcosθdθとなる。

 ここで、余弦定理より上の図のように
    r²=R²+z²-2zRcos(π/2+θ)=R²+z²+2zRsinθ、cosφ=(z+Rsinθ)/r (z≧0)
    r²=R²+z²-2(-z)Rcos(π/2-θ)=R²+z²+2zRsinθ、cosφ=(z+Rsinθ)/r(z<0)

 となる(cosφにより、z<0の場合もうまく、Ezの方向を現している)。これらより、
 dEz=(σ/2ε) R²((z+Rsinθ)/r³)cosθdθ となり、これをθ=0~π/2で積分すればよい。

 つぎに、r=√(R²+z²+2zRsinθ)と変数変換する。θ=0,π/2に対して、r=√(R²+z²)=a,
 r=|R+z|=bとおく。rdr=zRcosθdθ、(r²-R²-z²)/(2z)=Rsinθだから

    Ez=∫dEz=(σ/2ε)R∫[a,b]{1-(R²-z²)/r²}dr/(2z²)
     =(σ/2ε)R/(2z²) [r+(R²-z²)/r][r=a,b]=(σ/2ε)R/(2z²){b-a+(R²-z²)(1/b-1/a)}

     =(σ/2ε)R/(2z²){(b²+(R²-z²))/b –(a²+(R²-z²))/a}
     =(σ/2ε)(R/z)²{(R+z)/|R+z|-R/√(R²+z²)}

 となる。この式は、z=-R以外の実数で成立する。これをまとめると
    Ez=(σ/2ε)(R/z)²{1-R/√(R²+z²)}  (z>-R)・・・・(1)
    Ez=(σ/2ε)(R/z)²{-1-R/√(R²+z²)} (z<-R)・・・・(2)

 ただし、z=0のときはロピタルの定理で極限を取らねばならないが、z=0として積分しても求められ
    Ez=σ/(4ε) (z=0)・・・・(3)

 をえる。以下に、R=1としたときの電界と電位を図示した。



3 ポテンシャルの計算

 3.1 z>0のとき

  (1)式から u=R/zと変数変換して
      V=-∫[+∞,z]Ezdz=-(σ/2ε)∫[+∞,z](R/z)²{1-R/√(R²+z²)}dz・・・・(4)
       =-(σ/2ε)∫[+0,R/z] u²{1-|u|/√(1+u²)}(-Rdu/u²)

       =(σ/2ε)R∫[+0,R/z] (1-u/√(1+u²))du (z>0からu>0なので |u|=u)
       =(σ/2ε)R [u-√(1+u²)][u=+0,R/z]・・・・・・(5)

       =(σ/2ε)R{R/z - √(1+(R/z)²) +1} ({}内は正)

   となる。z=0のとき発散するが極限をとると{}内は1となり
      V=(σ/2ε)R (z=+0)・・・・・(6)

   となる。

 3.2 0>z>-Rのとき

   積分区間をz=+∞~+0とz=-0~zにわける。始めの区間の積分は(6)式であり、次の区間では
   |u|=-uだから(5)式を調整して

      V=(σ/2ε)R + (σ/2ε)R [u+√(1+u²)][u=-∞,R/z]・・・・(7)
       =(σ/2ε)R + (σ/2ε)R{R/z+√(1+(R/z)²)}
       =(σ/2ε)R{1 + R/z + √(1+(R/z)²)}

   ここで、 lim[u→ -∞](u+√(1+u²))={-u²+(1+u²)}/{-u+√(1+u²)}=0 を使用した。
   同様に、z=-0の極限では(6)式と同じ

      V=(σ/2ε)R  (z=-0)

   となる。z=-R+0のときは
      V=(σ/2ε)R√2 (z=-R+0)

 3.3 z<-Rのとき

   このときは(2)式を(-∞,z)で積分する。(2)式と(7)式の後半を調整して
      V=(σ/2ε)R [-u+√(1+u²)][u=-0,R/z]
       =(σ/2ε)R{-R/z+√(1+(R/z)²) - 1} ({}内は正)
  
   z=-R-0では
      V=(σ/2ε)R√2 (z=-R-0)
   となる。



以上



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