特殊相対性理論・電磁気学・数学

物理の暗黒面や面白い問題など。

放物線が放物線上を転がるときの軌跡

2021-05-30 20:43:42 | 算数

1.まえがき

 慶応大の問題。放物線 y=x²が、放物線 y=-x²の周囲を滑ることなく転がるとき、もとの放物
 線に固定された点 (0,c) の軌跡を求む。解法が面白いので紹介する。



2.2つの図形が接線について対称になること

 放物線PAをPB上を転がしてPA₁の位置に移動したとする。放物線PAに固定された点 (0,c) が
 点Pに移動したとする。このとき、PAとPBの接点Aでの接線を ℓとすると、PAとPBは ℓに対
 して対称になることを使えば、この問題は簡単に解ける。

 点Aから各放物線の頂点O,O' までの長さは等しい。するとこの放物線を接線上を逆方向に転
 がして、頂点が接する位置 O'', PA₂, PB₂まで戻す。すると、これらの放物線が接線について
 対称であることがわかる。



3.計算

 点A,Pの座標を (s,-s²)、(u,v)とする。すると 点Aの接線 ℓの式は
    y+s²=-2s(x-s) → y=-2sx+s²
 となる。2つの放物線が接線 ℓに対して対称だから、Pと(0,-c)を通る直線は ℓと直交し、そ
 の傾きは 1/2s となるから、この直線の式は y=x/2s-c となり、(u,v)を通るから
    v=u/2s-c → u-2sv=2sc
 となる。また、Pと(0,-c)の中点は ℓ上にあるから
    (v-c)/2=-2s(u/2)+s² → 2su+v=2s²+c
 となる。この2式を u, vについて解くと
    u=4s(s²+c)/(4s²+1) , v={2s²(1-2c)+c}/(4s²+1)
 となる。

 このとき、s → ∞ のとき、u~s , v → 1/2-c となる。つまり、PAの頂点のx座標は点Aより
 +側にはいかず、y座標は負にならない。

以上


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不等式 (1/2)(3/4)(5/6)・・・{(2n-1)/2n}<1/√(3n) の証明

2021-05-28 01:30:35 | 解析(極限・数列)

不等式
 (1/2)(3/4)(5/6)・・・{ (2n-1)/2n } < 1/√(3n)
を証明する問題があった。数学的帰納法を使ったがうまくいかない。

1.解

 An=(1/2)(3/4)(5/6)・・・{ (2n-1)/2n }
とする。
 0 < a < b → a/b < (a+1)/(b+1)
を使うと
 An²=(1/2)(1/2)(3/4)(3/4)(5/6)(5/6)・・・{ (2n-1)/2n }{ (2n-1)/2n}
  < (1/2)(2/3)(3/4)(4/5)(5/6)(6/7)・・・{ (2n-1)/2n }{ (2n)/(2n+1)}
    =1/(2n+1) < 1/2n

したがって、
 An < 1/√(2n)
はすぐわかる。

もう少し、変形して、n≧6 のとき
 (An)²=(1/2)(1/2)(3/4)(3/4)(5/6)(5/6)・・・{ (2n-1)/2n }{ (2n-1)/2n}
  ={ (1/2)(3/4)(5/6)(7/8)(9/10) }² (11/12)(11/12)(13/14)・・・{ (2n-1)/2n }{ (2n)/(2n+1)}
   < (1/2)(3/4)(5/6)(7/8)(9/10) }² (11/12)(12/13)(13/14)・・・{ (2n-1)/2n }{ (2n)/(2n+1)}
     =(1/2)(3/4)(5/6)(7/8)(9/10) }² 11/(2n+1)
   < (1/1.5)/(2n)=1/3n

したがって
 An < 1/√(3n)
を得る。さらに

A₁=0.5 , 1/√3 > 0.57 → A₁ < 1/√3
A₂ < 0.38 , 1/√6 > 0.4 → A₂ < 1/√6

A₃ < 0.32 , 1/√9 > 0.34 → A₃ < 1/√9
A₄ < 0.274 , 1/√12 > 0.28 → A₄ < 1/√12
A₅ < 0.247 , 1/√15 > 0.25→ A₅ < 1/√15

よって、命題が証明された。


2.別解

  An < 1/√(3n) ・・・・・・・①
 の証明は難しいので
  An≦1/√(3n+1) ・・・・・・②
 を証明する回答ががあった。これを示せば上の成立は自明。

 n=1 のとき、②は成立。nのとき、②の成立を仮定すると

  A[n+1]=An(2n+1)/(2n+2)≦{ (2n+1)/(2n+2) }/√(3n+1)
 となる。そこで
  B={ (2n+1)/(2n+2) }/√(3n+1) - 1/√(3n+4)
    ={ (2n+1)√(3n+4)-(2n+2)√(3n+1) }/{√(3n+1)√(3n+4)}

 を考える。この式の正負は分子の各項は正なので、2乗した差でも変わらないから
  C=(2n+1)²(3n+4)-(2n+2)²(3n+1)=-n < 0 → B < 0
 となり、結局
  A[n+1]≦1/√(3n+4)
 となり、帰納法により②、すなわち①が証明された。

以上


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