特殊相対性理論・電磁気学・数学

物理の暗黒面や面白い問題など。

電界が正弦波変化するときの電磁界中の電子の運動

2022-10-18 19:20:26 | 電磁気学

1. まえがき

 電磁界の内、電界が正弦波変化するときの電子の運動を求める問題があった。
 E,Bを定数として、
     電界 E=<0, -Esinωt, 0>、磁界 B=<0, 0, -B>
 となる電磁界があるとき、v, r を電子の速度、座標として初期条件
     v(0)=0 , r(0)=0
 の時の、電子の運動を求めよ。

2. 計算

 運動方程式は、よく知られたように
    mv'=-e(E+v×B)
 となり、
    ve=E/B、Ω=eB/m、eE/m=veΩ
 とすると成分に分けると
    vx'=Ωvy        ・・・・・・・・・・・・・①
    vy'=-Ωvx+veΩ sinωt=-Ω(vx-ve sinωt) ・・・・・・②
    vz'=0              ・・・・・・・③
 となる。すると①②から
    vx''=Ωvy'=-Ω2(vx-ve sinωt)      ・・・・・・④
    vy''=-Ω(vx'-ωvecosωt)=-(Ω2vy-ωΩvecosωt) ・・・・・⑤


3. Ω≠ω のとき

 ④を微分演算子で書くと
    (D22)vx2ve sinωt
 この式の斉次式の一般解はよく知られたように
    vx=AcosΩt+CsinΩt
 また特殊解は公式から
    vx2ve{1/(D22)} sinωt=Ω2ve{1/(Ω22)} sinωt ・・・・・⑥
 したがって、非斉次式の一般解は
    vx=AcosΩt+CsinΩt+{Ω2ve/(Ω22)}sinωt
 vx(0)=0 から 0=A となり
    vx=CsinΩt+{Ω2ve/(Ω22)}sinωt          ・・・・⑦
 となる。

 同様に⑤を微分演算子で書くと
    (D22)vy=ωΩvecosωt
 この式の斉次式の一般解は
    vy=DcosΩt+FsinΩt

 この特殊解は公式から
    vy=ωΩve{1/(D22)}cosωt={ωΩve/(Ω22)}cosωt
 したがって、非斉次式の一般解は
    vy=FcosΩt+GsinΩt+{ωΩve/(Ω22)}cosωt
 vy(0)=0 から
    0=F+{ωΩve/(Ω22)}
 となり
    vy=-{ωΩve/(Ω22)}cosΩt+GsinΩt+{ωΩve/(Ω22)}cosωt ・・・・⑧
 となる。

 ⑦⑧を①に入れると
    CΩcosΩt+{Ω2ωve/(Ω22)}cosωt=Ω[ -{ωΩve/(Ω22)}cosΩt+GsinΩt+{ωΩve/(Ω22)}cosωt ]
   → CcosΩt=-{ωΩve/(Ω22)}cosΩt+GsinΩt
 この恒等式が成立するには
    C=-ωΩve/(Ω22) , G=0
 となればよい。

 つまり、⑦⑧は
    vx=-{ωΩve/(Ω22)}sinΩt+{Ω2ve/(Ω22)}sinωt
     ={ωΩve/(Ω22)}(-sinΩt+(Ω/ω)sinωt)・・・・⑨
    vy={ωΩve/(Ω22)}(-cosΩt+cosωt)       ・・・⑩
 となる。

 ⑨⑩を積分すると
    x={ωΩve/(Ω22)}{(1/Ω)cosΩt-(Ω/ω2)cosωt}+H
      ={Ωve/(Ω22)}{(ω/Ω)cosΩt-(Ω/ω)cosωt}+H
    y={ωΩve/(Ω22)}{-(1/Ω)sinΩt+(1/ω)sinωt}+K
 x(0)=y(0)=0 から
    0={Ωve/(Ω22)}{(ω/Ω)-(Ω/ω)}+H → H=-{Ωve/(Ω22)}{(ω/Ω)-(Ω/ω)}
    0=K

 したがって、非斉次式の一般解は
    x={Ωve/(Ω22)}{(ω/Ω)cosΩt-(Ω/ω)cosωt}-{Ωve/(Ω22)}{(ω/Ω)-(Ω/ω)}
     ={Ωve/(Ω22)}{(ω/Ω)cosΩt-(Ω/ω)cosωt-(ω/Ω)+(Ω/ω)}
     ={Ωve/(Ω22)}{-(ω/Ω)(1-cosΩt)+(Ω/ω)(1-cosωt)}
     =2{Ωve/(Ω22)}{-(ω/Ω)sin2(Ωt/2)+(Ω/ω)sin2(ωt/2)}

    y={ωΩve/(Ω22)}{-(1/Ω)sinΩt+(1/ω)sinωt}
      ={Ωve/(Ω22)}{-(ω/Ω)sinΩt+sinωt}

 なお、vz=0, z=0 は自明(下記でも同じ)。







4.  Ω=ω のとき

 非斉次式の特殊解は
    vx={1/(D22)}ω2vesinωt、vy={1/(D22)}ω2vecosωt
 公式から
    vx=-(ωve/2)t cosωt=-(ve/2)ωt cosωt
    vy=(ωve/2)t sinωt=(ve/2)ωt sinωt
 斉次式の一般解を含め、非斉次式の一般解は
    vx=Acosωt+Csinωt-(ve/2)ωt cosωt
    vy=Fcosωt+Gsinωt+(ve/2)ωt sinωt
 vx(0)=vy(0)=0 から
    0=A , 0=F
 したがって
    vx=Csinωt-(ve/2)ωt cosωt
    vy=Gsinωt+(ve/2)ωt sinωt
 同様に、これらを①に入れて
    Cωcosωt-(ve/2)(ωcosωt-ω2t sinωt)=ω[Gsinωt+(ve/2)ωt sinωt]
    → Ccosωt-(ve/2)(cosωt)=Gsinωt
 この恒等式が成立するには
    C-(ve/2)=0 , G=0 → C=(ve/2) , G=0
 したがって
    vx=(ve/2)(sinωt-ωt cosωt)
    vy=(ve/2)ωt sinωt
 をえる。

 積分して
    x=(ve/2ω){-2cosωt-ωt sinωt}+L
    y=(ve/2ω)(-ωt cosωt+sinωt)+M
 x(0)=y(0)=0 だから
    0=(ve/2ω){-2}+L → L=ve
    0=0+M → M=0
 したがって
    x=(ve/2ω){-2cosωt-ωt sinωt}+ve/ω=(ve/2ω){2(1-cosωt)-ωt sinωt}
      =(ve/2ω){4sin2(ωt/2)-ωt sinωt}
    y=(ve/2ω)(-ωt cosωt+sinωt)



以上



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