特殊相対性理論・電磁気学・数学

物理の暗黒面や面白い問題など。

円錐をある位置から見たときの母線の位置

2021-01-31 08:22:46 | 算数

1.まえがき

 円錐をある位置から見たときの円錐のシルエットとしての母線の位置を求める問題が
 あった。ある視点を定め、
ここから線を引いた時、円錐の側面に接する点の軌跡とす
 る。


2.設定

 円錐の高さを h、底面の半径を a、視点の座標を (x,0,z) (z≧0)とする。円錐の接平面上
 の母線が底面において、x軸とのなす角をθとする。



3.計算

 この軌跡は、次の考察から円錐の母線(直線)となる。図において y=0 の位置から、
 左右に対象の位置で円錐の側面に平面を張付けたとすると、これは円錐の接平面とな
 る。この2つの接平面の交線は直線となる。その交線上の1点を通る、接平面上の直
 線は円錐に接し母線を形成する。つまり、母線は直線となる

 x-z平面での接平面の式は
   z=-(h/a)x+h (y=0)・・・・①
 となる。x軸から角度をθとするとxy平面の回転によって、θの位置の切平面の式は
   z=-(h/a)(xcosθ-ysinθ)+h・・・・②
 となる。

 この平面の ±θの位置の2つは②を整理して
   xcosθ-ysinθ+(a/h)z-1/a=0
   xcosθ+ysinθ+(a/h)z-1/a=0
 となり、この2つの平面の交線の方向比 (l,m,n) は公式から
   l=-sinθ a/h-(a/h)sinθ = -2(a/h)sinθ
   m=-{cosθ a/h-(a/h)cosθ} = 0
   n=cosθsinθ+sinθcosθ = 2sinθcosθ
 となる。

 またこの直線は必ず、円錐の頂点 (0,0,h) を通るのでこの接線の式は
   x/{-2(a/h)sinθ} = y/0 = (z-h)/2sinθcosθ
    → z=-(h/a)cosθ x+h (y=0)
 となる(この直線上のどの位置から見ても母線は同じ)。

 したがって、(x,0,z) の位置から見た、θは
   cosθ=(a/x)(1-z/h)
 となる。

 この式から、z>h のときは、θ>π/2、つまり、円錐の裏
 側に回り込む。



4.検討

 なお、z>h(1+x/a) のとき、cosθ<-1となり、解は無いが、このとき視点から見える
 のは、円錐の底面なので、楕円が見える。また、a/x≦1 なので、z の下限に制限は
 無い。

以上


円弧の台を滑る物体に働く抗力

2021-01-26 06:29:59 | 力学

1.まえがき

 円弧の台を滑る物体に働く抗力を求める問題があった。一般に台の形状の微分を使
 った複雑な式を計算するが、円弧なので法線方向の運動方程式が使えて簡単になる
 ことに気が付いた。

 台は固定されており、形状は図のように2つの半径 rの円弧に接する直線でつなげ
 た。滑る物体の質量は mで大きさは無視できるとし、台との摩擦は無い。抗力をS、
 mの速さを vとする。

 物体mは初速度0で高さhから放たれ斜面を滑り降り、A-B-C-D-E-F-G と移動する。



2.計算


 (1) 抗力の最大値とその位置を求めよ

  左の円弧の中心からの垂線と円弧の中心とmの位置を結んだ線のなす角を
  θ(α~-α)とする。この曲線の法線ベクトルは上向きなので、始めの円弧についての
  法線方向の運動方程式は
    mv²/r=S-mgcosθ → S=mv²/r+mgcosθ・・・・・①
  また、この円弧の水平面からの高さは rcosθ だから、円弧のある位置での速さは
    v²=2g(h+rcosθ)
  ①に入れて
    S=mg(2h/r+3cosθ)
  したがって、Sが最大になるのは θ=0 の時なのは自明。つまり
    Smax=mg(2h/r+3)

  ちなみに、この式から始めの直線部では r=∞であり、①から S=mgcosα となり、
  Smaxが大きい。また、θ=0以降は①から
    S≦mv²/r+mg
  であり、高さが小さくなり、vも小さくなるので、やはりSmax以上にはならない。

 (2) 高さhをある値以上にするとmは台から離れる。この時のhと位置を求めよ

  離れるとすれば、右の円弧の部分となる。同様に、この円弧の中心と垂線とのなす
  角をθ(α~-α)とする。法線の方向は下向きとなり運動方程式は
    mv²/r=-S+mgcosθ → S=mgcosθ-mv²/r・・・・・②
  この円弧上の水平線からの高さは
    r(cosθ-cosα)
  したがって、mの速度は
    v²=2g(h-r(cosθ-cosα))
  となり、②に入れると
    S=mg(-2h/r+3cosθ-2cosα)
  となる。S<0 のとき、離れるから
    h>(r/2)(3cosθ-2cosα)・・・・③
  を満たせばよい。

  ここで、1≧cosα だから、θ=αのとき、hは最も小さく
    h>(r/2)(3cosα-2cosα)=(r/2)cosα
  であれば離れる(θ=αの位置)。

  なお、③はθ(α~-α)に対して対称だから、θ=0までに離れなければ、それ以降も離
  れない。

以上