特殊相対性理論・電磁気学・数学

物理の暗黒面や面白い問題など。

∫(-∞,∞) xsin(e^x)dx の収束の証明

2020-12-06 16:08:45 | 解析(積分)

-∞ xsin(ex)dx の収束を示す問題があった。

u=ex と変換すると
   I=∫-∞ xsin(ex)dx=∫0 logu sinu du/u
ここで
   A=∫01 logx (sinx/x) dx
   B=∫1π logx sinx dx/x
   C=∫π {(logx)/x} sinx dx
とすると、I=A+B+Cであり、各部分の収束を示せばよい。Bの収束は閉区間の連続関数
の積分だから積分の存在は自明。したがって、A,Cの収束を証明すればよい。

1.Aの収束

 sinx /x < 1 (x>0) はよく知られている。logx≦0 (0<x≦1) だから
   logx(sinx/x)≧logx
 したがって
   0≧A≧∫01 logx dx=[xlogx-x]10=-1 (xlogx → 0 はロピタルの定理から周知)
 となり、収束する。

2.Cの収束

   Cn=(-1)n(n+1)π {(logx)/x} sinx dx
 とおくと
   (-1)n sinx ≧ 0 ( nπ≦x≦(n+1)π) だから、Cn≧0・・・・①
 また
   C=Σn=1 (-1)nCn・・・・・②

   Cn+1-Cn=(-1)n+1(n+1)π(n+2)π {(logx)/x} sinx dx-(-1)n(n+1)π {(logx)/x} sinx dx
 右辺第一項を y=x-πと変換すると
   Cn+1-Cn=(-1)n+1(n+1)π {(log(y+π)/(y+π)} sin(y+π) dy
           -(-1)n(n+1)π {(logx)/x} sinx dx

       =(-1)n(n+1)π {(log(y+π)/(y+π)} siny dy-(-1)n(n+1)π {(logx)/x} sinx dx
       =∫(n+1)π [ {(log(x+π)/(x+π)}-(logx)/x ] (-1)nsinx dx・・・・・③

 ここで、f(x)=logx/x とすると
   f'=1/x²-logx/x²=(1-logx)/x²<0 (logx>1, x≧πにおいて )
 となり、fは減少関数だから
   [ {(log(x+π)/(x+π)}-(logx)/x ]≦0
 と①から、③の被積分関数は負になり、
   Cn+1-Cn≦0
 となる。

 結局②に戻って、Cn は0以上の減少数列であり、Cは交代級数の和なので、アーベル
 の定理により収束する。

以上


微分演算子法の解 e^(ax)/f(D)=xⁿe^(ax)/f⁽ⁿ⁾(a) , f(a)=f'(a)=・・・=f⁽ⁿ⁻¹⁾(a)=0 , f⁽ⁿ⁾(a)≠0

2020-12-06 06:38:49 | 解析(積分)

微分演算子法の解
   eax/f(D)=xneax/f(n)(a) ,  f(a)=f'(a)=・・・=f(n-1)(a)=0 ,  f(n)(a)≠0
を求める問題があった。

この問題は公式
   (1/f(D))eax=eax/f(a)   ( f(a)≠0 )
の拡張になっている。これを示すには公式
   ( 1/{ (D-a)ag(D) } )eax=xneax/(n!g(a))   ( g(a)≠0 )・・・・・・①
を使用する。

f(x)をテーラー展開すると
   f(x)=f(a)+(x-a)f'(a)+・・・+{(x-a)n-1/(n-1)!}f(n-1)(a)+{(x-a)n/n!}f(n)(x+θ(x-a))   (0<θ<1)
      ={(x-a)n/n!}f(n)(x+θ(x-a))
となる。ここで、g(x)=f(n)(x+θ(x-a))/n! とおくと f(x)=(x-a)ng(x) となる。すると
   g(a)=f(n)(a)/n! (≠0)・・・・・・②
となるから、①に入れて②を使うと
   (1/f(D))eax=( 1/{ (D-a)ag(D) } )eax=xneax/(n!g(a))=xneax/(n!f(n)(a)/n!)
         =xneax/f(n)(a)   ( f(n)(a)≠0 )
となり、命題が証明された。

しかし、この関係は、実際にはあまり意味がないかもしれない。というのは f(n)(x) を求
るのは一般に面倒であり、 f(x)=(x-a)ng(x) となることがわかっているから、g(x) がわ
れば①によりすぐ計算できる。

以上