特殊相対性理論・電磁気学・数学

物理の暗黒面や面白い問題など。

曲線 F(x,y)=0 と曲線 G(x,y)=0の最大・最小距離を求める

2019-03-06 16:04:21 | 解析(極値)

1.はじめに

 曲線 F(x,y)=0 と曲線 G(x,y)=0の距離の極値(最大または最小)を求める問題はラグランジュの
 未定係数法が利用できる可能性がある。

 各曲線上の2点(x,y), (u,v)、つまり、
   F(x,y)=0とG(u,v)=0・・・・①
 を満たすとき、曲線間の距離の2乗 L=(x-u)²+(y-v)² の極値を求めればよい。

2.計算

 まず問題を、(x,y,u,v)の4次元空間において、f(x,y,u,v)=F(x,y)=0、g(x,y,u,v)=G(u,v)=0の
 制約のもと、L(x,y,u,v)の極値を求める、と考える。

 すると、未定係数λ、μを使って
   2(x-u)-λFx=2(y-v)-λFy=-2(x-u)-μGu=-2(y-v)-μGv=0・・・②

 となる。この①②の6式から、原理的には(x,y,u,v,λ,μ)の6つの値が求まり、Lの極値が求まる。
 求まるのは極値なので、最大・最小値の評価や、曲線F,Gに交点が存在すれば、最小値は極値とは
 限らず、L=0 となることに注意する必要がある。

3.計算例1(直線との距離)

 曲線F(x,y)=0と直線G(u,v)=lu+mv-p=0(p≧0, l²+m²=1、pは原点から直線までの距離となる)
 の距離の極値を求める。これを計算して 2(x-u)-λFx=2(y-v)-λFy=-2(x-u)-μl=-2(y-v)-μm=0
 となる。この式の始めの2式から(x-u),(y-v)を消すとλ(mFx-lFy)=0 つまり
   λ=0 または mFx=lFy・・・③

 後の2式からμを消して
   m(x-u)=l(y-v)・・・・④
 以上で、原理的にはF(x,y)=0と③から(x,y)が、④とlu+mv-p=0 から、u,vが求まり、Lが計算
 できる。なお、λ=0のときは、x=u, y=vとなり、これは曲線と直線の交点がある場合となる。

 なお、③は曲線の接線の傾きが直線のそれと等しい座標(x,y)を求め④ではその(x,y)からの法線
 と直線との交点(u,v)を求めている。


4.計算例2(楕円と直線の距離)

 曲線F(x,y)=x²/a²+y²/b²-1=0と直線G(u,v)=lu+mv-p=0(p≧0,l²+m²=1、pは原点から直線
 までの距離となる)の距離の極値を求める。計算結果は

  2(x-u)-λ2x/a²=2(y-v)-λ2y/b²=0・・・⑤
  -2(x-u)-μl=-2(y-v)-μm=0・・・・・・⑥
 となる。計算手順を多少簡便にして ⑥をL²に代入すると

   L=(μ/2)²(l²+m²)=(μ/2)² となり、L≧0だから
   L=|μ/2|・・・・⑦

 となる。⑤⑥から(x-u),(y-v)を消して、
  x=-(μl/2λ)a², y=-(μm/2λ)b²・・・⑧

 を得る。これをF(x,y)=0に代入して (μ/2λ)²(a²l²+b²m²)=1
  μ/2λ=±1/√(a²l²+b²m²)・・・・⑨

 ⑥を変形すると u=(μl/2)+x, v=(μm/2)+y となり、G(u,v)=0に代入して、
 (μ/2)(l²+m²)+lx+my=p となり、⑧を代入すると μ/2=p-(lx+my)=p+(μ/2λ)(l²a²+m²b²)
 となり、⑨を代入して
  μ/2=p±√(l²a²+m²b²)
 を得る。⑦から結局、L=|p±√(l²a²+m²b²)| となる。

 ここで、FとGの距離は最小値で、p≦√(l²a²+m²b²)のときは、交点があるから、L=0となるので

   L=p-√(l²a²+m²b²) (p>√(l²a²+m²b²)のとき)
   L=0 (p≦√(l²a²+m²b²)のとき)

 となる。F(x,y)=G(x,y)=0からyを消して、xのみの2次式を求めると、その判別式が実根を持つ
 条件が上の p≦√(l²a²+m²b²) となる。

以上



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