1.はじめに
曲線 F(x,y)=0 と曲線 G(x,y)=0の距離の極値(最大または最小)を求める問題はラグランジュの
未定係数法が利用できる可能性がある。
各曲線上の2点(x,y), (u,v)、つまり、
F(x,y)=0とG(u,v)=0・・・・①
を満たすとき、曲線間の距離の2乗 L=(x-u)²+(y-v)² の極値を求めればよい。
2.計算
まず問題を、(x,y,u,v)の4次元空間において、f(x,y,u,v)=F(x,y)=0、g(x,y,u,v)=G(u,v)=0の
制約のもと、L(x,y,u,v)の極値を求める、と考える。
すると、未定係数λ、μを使って
2(x-u)-λFx=2(y-v)-λFy=-2(x-u)-μGu=-2(y-v)-μGv=0・・・②
となる。この①②の6式から、原理的には(x,y,u,v,λ,μ)の6つの値が求まり、Lの極値が求まる。
求まるのは極値なので、最大・最小値の評価や、曲線F,Gに交点が存在すれば、最小値は極値とは
限らず、L=0 となることに注意する必要がある。
3.計算例1(直線との距離)
曲線F(x,y)=0と直線G(u,v)=lu+mv-p=0(p≧0, l²+m²=1、pは原点から直線までの距離となる)
の距離の極値を求める。これを計算して 2(x-u)-λFx=2(y-v)-λFy=-2(x-u)-μl=-2(y-v)-μm=0
となる。この式の始めの2式から(x-u),(y-v)を消すとλ(mFx-lFy)=0 つまり
λ=0 または mFx=lFy・・・③
後の2式からμを消して
m(x-u)=l(y-v)・・・・④
以上で、原理的にはF(x,y)=0と③から(x,y)が、④とlu+mv-p=0 から、u,vが求まり、Lが計算
できる。なお、λ=0のときは、x=u, y=vとなり、これは曲線と直線の交点がある場合となる。
なお、③は曲線の接線の傾きが直線のそれと等しい座標(x,y)を求め④ではその(x,y)からの法線
と直線との交点(u,v)を求めている。
4.計算例2(楕円と直線の距離)
曲線F(x,y)=x²/a²+y²/b²-1=0と直線G(u,v)=lu+mv-p=0(p≧0,l²+m²=1、pは原点から直線
までの距離となる)の距離の極値を求める。計算結果は
2(x-u)-λ2x/a²=2(y-v)-λ2y/b²=0・・・⑤
-2(x-u)-μl=-2(y-v)-μm=0・・・・・・⑥
となる。計算手順を多少簡便にして ⑥をL²に代入すると
L=(μ/2)²(l²+m²)=(μ/2)² となり、L≧0だから
L=|μ/2|・・・・⑦
となる。⑤⑥から(x-u),(y-v)を消して、
x=-(μl/2λ)a², y=-(μm/2λ)b²・・・⑧
を得る。これをF(x,y)=0に代入して (μ/2λ)²(a²l²+b²m²)=1
μ/2λ=±1/√(a²l²+b²m²)・・・・⑨
⑥を変形すると u=(μl/2)+x, v=(μm/2)+y となり、G(u,v)=0に代入して、
(μ/2)(l²+m²)+lx+my=p となり、⑧を代入すると μ/2=p-(lx+my)=p+(μ/2λ)(l²a²+m²b²)
となり、⑨を代入して
μ/2=p±√(l²a²+m²b²)
を得る。⑦から結局、L=|p±√(l²a²+m²b²)| となる。
ここで、FとGの距離は最小値で、p≦√(l²a²+m²b²)のときは、交点があるから、L=0となるので
L=p-√(l²a²+m²b²) (p>√(l²a²+m²b²)のとき)
L=0 (p≦√(l²a²+m²b²)のとき)
となる。F(x,y)=G(x,y)=0からyを消して、xのみの2次式を求めると、その判別式が実根を持つ
条件が上の p≦√(l²a²+m²b²) となる。
以上
最新の画像[もっと見る]