翻訳者魂

人間は関係を持ちたい。人間は知られたい。人間は参加したい。人間は貢献したい。人間は自分に価値があると思いたい。

角川書店『類語国語辞典』(大野晋 + 浜西正人著)

2006-03-27 15:19:45 | おもしろいもの
仕事の助けになるかと思い、角川書店発行の『類語国語辞典』(大野晋 + 浜西正人著) を買いました。

この辞典は、言葉をあいうえお順ではなく、意味別に分類して系統づけています。

なぜでしょう?

著者はこう言います。


「個々の語を他の単語で言い換えただけでは、実はその語の意味を記述したことにはならない。全語彙を意味の群れで分類し、その中で細かい意味を記述することによって、潜在的な意味関係を明瞭に浮き上がらせ、本当の意味記述をなそうと努めたのである。」


まったく同じ意味を表す言葉は存在しないということです。同じような意味でも、文脈内では微妙に意味は異なっているのです。

それでは、実際に言葉を見てみましょう。

『魅惑的』

魅惑的の意味は『妖しい魅力で人の心を引き付ける様子』と説明されていて、その後に魅惑的な様子を表すことばが列挙されています。



『色っぽい』男心を誘うさま
『艶かしい』美しく色っぽい。そんな気分にさせるさま
『扇情的』情欲を起こさせるような
『肉感的』性的な情欲をそそるさま
『官能的』肉体的な快楽をそそるさま
『コケットリー』媚態を示すような色っぽさ
『セクシー』性的なものを感じさせるさま
・・・・


こういう言葉の群れを一度に読み、状況を想像し、違いをじっくり考える習慣をつけるわけですね。

著者はこうも言っています。


「語彙が豊富であるというのは、ひとつの単語と潜在的関係を保っている単語を数多く思い浮かべることができるということである。」

いつも語彙の少なさに悩んでいるぼくにとって、この本は、あまりにすばらしい。仕事に手をつけられなくなりました。

角川書店『類語国語辞典』

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