翻訳者魂

人間は関係を持ちたい。人間は知られたい。人間は参加したい。人間は貢献したい。人間は自分に価値があると思いたい。

経済学超入門

2009-10-29 22:04:10 | 社会
表紙に惹かれて日本語版Newsweekを手に取った。タイトルは「経済学超入門」。連日、経済用語がマスメディアを飛び交っているけれど、ひとにきくとバカだと思われそうで聞けない用語がわかりやすく説明してある。迫りくる経済危機に備えられるようにするため、その内容を簡単にまとめてみたい。

Q 経済学とは何か?
A 選択に関する学問。ただし、注意しておかなければならないことがある。それは、「何を選ぶべきか」を研究するのではなく、「どういう選択をすれば、どういう結果になるか」ということを研究するということである。

Q 経済学の前提とは何か?
A 資源の希少性。私達の生きている社会は地上の楽園ではない。いろいろなものについてトレードオフの関係が成り立っている。つまり、一方を優先させれば、他方を犠牲にせざるをえない。時間は無限ではないから、仕事の時間と娯楽の時間をきちんと配分しなければならない。また、金についていえば、住宅にかける金と自動車にかける金もうまく配分しなければならない。

Q マクロ経済とミクロ経済とは何?
A マクロ経済というのは国家が国の予算をつかって行う経済政策。ミクロ経済というのは、家庭や企業といった小さな単位で行う経済政策。

Q 今度の経済危機でアメリカが実行している景気刺激策はどのようなもの?
A オバマ大統領が採り入れているのはケインズ理論。政府が大磐振舞して金を使えるだけ使う。そうすればいずれ景気がよくなるという考え。

Q ケインズ理論で景気は本当に良くなるのか?
A 苦しいだろう。ピグー理論を採用すべき。ピグーの考えとはこうだ。物価が下降すれば、庶民は金持になった感覚を得る。そうすれば、経済活動は活発になり、景気後退から脱却できるだろう。ここで、必要になるのはマネーサプライを多くしなければならないということ。つまり、どんどん金を発行するということ。(マネーサプライ/物価)の値が大きければ大きいほどピグー効果は高まる。

Q 経済危機に向かわせた経済理論は何?
A マルサスの「人口論」。これは、天然資源には限りがあるという考え。人口が増えれば資源はいずれなくなる。中国やインドの経済成長で資源が枯渇すると経済学者が言い、それを信じた人々が天然資源を買い占めようとした。その結果、石油の価格がはねあがった。しかし、テクノロジーの進歩により、国家がマルサス主義の亡霊に打ち勝ったという見方が今では優勢を占める。

Q 行動経済学とは何?
A ダニエルカーネマンが提唱したものであり、人間の判断は合理的ではないという考えを採り入れた経済理論。要点は「異時点間選択」と「人は面倒なことを嫌う」ということ。「異時点間選択」というのは、人は「その場で得られる小さな報酬」と「後で得られる大きな報酬」がある場合、「その場で得られる小さな報酬」を選んでしまうということ。「人は面倒なことを嫌う」というのは、「何もしなければ保険に未加入」の場合、未加入のひとが多くなり、「何もしなければ保険に加入」の場合、未加入のひとは少なくなるという意味。

この特集にはマルクス経済学も含まれているのだが、マルクスが言う「労働力を単純な商品として扱うべきではない」という言葉に胸を打たれた。

タンザニアの携帯電話

2009-10-25 23:27:18 | 国際
最近はフランス語のウェブサイトばかり眺めているが、パリばかりにいるわけにもいかない。フランス語といえば、アフリカだろう、ということで、セネガルなどにも行ってみた。でも政治闘争の話ばかりでうんざり。悩んでフラフラしていたら、偶然タンザニアに着いてしまった。ここは英語だ。でもいいじゃないか、英語でも。GUSTAVUS ADOLPHUS COLLEGE という大学のウェブサイト。これはおもしろい。

Can you hear me now?

One thing I’ve noticed here is the surprising regularity of cell phones. In a developing nation one thing you would not expect to see is phones. But they are everywhere here. At the college most people seem to have them as do many in the city. And, as I’ve been told, the coverage is very good even in rural areas.

ここに来て驚いたのは、携帯電話が普及してるってこと。ふつうの発展途上国じゃ、あんまり携帯電話は期待できないんだけど、ここにはたくさんある。街中にも大学にもね。通話エリアだって広い。田舎だって大丈夫。

But the similarities in phones end there. In Tanzania you don’t get a ‘plan’ with your phone. Instead you buy ‘credits’ as you need them. Once you’ve set up an account with a phone company, all you need to do is periodically by credits as you need them.

でも、タンザニアではプランっていうのはなくって、そのかわりにクレジットってやつを買わなくっちゃならない。アカウントを設定した後は、必要に応じてクレジットを買うんだ。

Now I suppose I should explain these ‘credits’ in greater detail. The little cardboard squares look like the scratch card games you would buy from under the counter of a gas station. Printed on each is a number code which once programmed into your phone will provide you with that amount of credit good for talking or texting.

クレジットっていうのは、ガソリンスタンドで買うスクラッチカードみたいなもんで、ナンバーが印刷されている。それが携帯電話にプログラムされれば、クレジットの分だけ話したり、メールを送受信したりできるってわけだ。

天下りより恐ろしい日本倒産

2009-10-22 14:49:52 | 政治
マスコミは、日本郵政の社長人事における天下りをことさら大きくとり上げ、その真実の恐さを報道しようとはしない。

本当に恐ろしいのは日本の倒産だ。

かつて日本では、採算性が悪く、赤字に苦しむ大企業を国家が助けていた。小泉純一郎は、このままの状態が続けば、やがて日本は破綻すると考え、構造改革に踏み切った。

小泉総理の退任後、マスコミは、構造改革は国民の格差を広げた原因だと言い始めた。そして、その声は徐々に大きくなる。

自民党が選挙に負けると、民主党はさっそく郵政民営化にストップをかける。金融庁は、銀行の出費と収入のバランスを確かめもせず、借金の返済猶予を認める。政府は日本航空の再建に途方もない税金を投入する。ゾンビの復活だ。

日本の財政赤字はアメリカよりも深刻な状態にある。政府の借金は脹れあがり、経済の首を締めている。鳩山首相は、財政赤字を減らすことにも、成長を阻害する構造的な問題を解決することにも、何ら道筋を示さない。

政権をとったとき、民主党は福祉に力をいれると約束した。そしてその財源は、財政の見直しによって得ると断言した。

しかし、2010年度の税収はガソリン税の上乗せ税廃止などが原因で落ち込む。そのため、民主党は赤字国債の発行に踏み切るだろう。そしてその額はなんと税収を上回る。これは戦後初めてのことだ。

モラトリアムが導入され、借金まみれのゾンビ企業は税金を支払わない。日本の高齢化も進む。福祉は赤字国債で賄う。

日本はどうなってしまうのだろうか。

(参照: The Return of Japan's Zombie Finance)