(昨日の投稿の続きです)
中間点を過ぎると、つづら折りの急な下り坂です。上り坂の遅れをここで取り戻そうとしてスピードを上げてしまうと、30km以降に必ずダメージが来るので、「まだまだ、我慢我慢!」と独り言ちながら後半に入っていきました。25kmを過ぎる頃から、歩き始めたり、足が攣ってしまっているランナーを見かけるようになりました。この先、まだいくつかの坂があることは10月の試走で分かっていたので、真下に重心を落として大殿筋と体幹で走るフォームを意識して、なるべく足を使わないようにしました。32km手前、信州スカイパークに入る直前の激坂も最小限のタイムロスで駆け上がれました。
残すは10km、スカイパーク一周。これまで「ヒタヒタ作戦」で抑え気味だった走りと、気持ちを解放する時です。マラソンは自分の身体と心との対話。32kmを過ぎて「足が残っている」と実感。「さあ、いけるぞ!」と思った瞬間、左側の歩道に「福澤」という手作りボードを掲げて応援する一家が目に入ってきました。「僕も福澤ですよ~」と話しかけようとした瞬間、「ケン!」と呼びながら、スポーツ飲料を片手に私と並走し始めるナイスガイが・・・。
なんと、留学時代の友人が、埼玉からわざわざ応援に駆けつけてくれました。彼も、私より少し前にランニングを始め、サブ3.5を達成しているランナー。32km地点での応援も、フルマラソンでは残り10kmが勝負というのを知っていてのことでしょう。「どう、いけそう?」という彼に、「レースプラン通り、前半抑えて走ったから、足が残っている。キロ4分45秒で行けると思う」と、冷静に分析できている自分がいました。「自分に負けるな!」という彼の応援の声を背に受けながら、ラストスパートに入りました。このサプライズ応援で、テンションがマックスに。残り10km、32kmからの1km毎のラップは、
~33km 4分57秒
~34km 4分36秒
~35km 4分47秒
~36km 4分41秒
~37km 4分34秒
~38km 4分30秒
~39km 4分30秒
~40km 4分35秒
~41km 4分53秒
~42km 4分54秒
でした。最もきつい40km手前の2kmでまさか、4分30秒/kmで走れるとは・・・。確かに遠くで疲れを感じる。でも、走っていることが気持ち良く、まだ10kmくらい走りたい。「マラソンって楽しいな」と心から思えた瞬間。そうか、これがランナーズハイなんだ・・・。
42km手前、同級生から「フッケン、頑張れ!」とこれまたサプライズの応援があり、サブ3.5を確信して最後はガッツポーズを何度もしながら、ゴールしました。3回目のフルマラソンでしたが、一度も歩かず、立ち止まりもせず、気持ちも身体も最後まで余力を持って走り切ることができました。
41.8km付近
ゴール!
タイム(グロス)3時間26分36秒
タイム(ネット)3時間26分33秒
種目別順位 302位/3,784人(上位7.9%)
年代別順位 61位/1,176人(上位5.1%)
5kmごとの通過時間を見ても、後半に速く走れる理想的なネガティブスプリットができました。やっぱりマラソンは後半のスポーツなんだと実感します。グロスタイムでもサブ3.5を達成しましたので、来年4月の長野マラソンのスタートブロックがC以上になれそうです。
3年ぶりの開催となった今回の松本マラソン。その3年前の第3回が私にとって初フルマラソンで、サブ4を達成しました。それから世の中はコロナ禍に陥り、松本マラソンを含め、ほぼすべてのマラソン大会の中止が続きました。その再開された松本マラソンでサブ3.5を達成できたのは、この上ない喜びです。起伏の多いコース、最大風速10m以上の向かい風が吹いた当日の気象条件を考えると、自分の走力は3年前より数段上のレベルに来ていると確信できました。
しかし、忘れてはいけないのが、事務局やボランティアの大会関係者、そして、沿道で応援して下さった方々の思いです。
第1回松本マラソン 実施
第2回松本マラソン 台風で中止となるが、中止決定が遅延
第3回松本マラソン 実施されるもコース設定に不満が続出
第4回松本マラソン コロナ禍で中止
第5回松本マラソン コロナ禍+8月の豪雨被害
これまで2回実施されただけですが、ランナーの満足度からするとあまり高いものとは言えなかったようです。今回は行政、地域住民が一体となって盛り上げようとする意気込みを感じることができました。ボランティアの方々のランナーへの声掛けや、沿道の応援から、その気持ちがヒシヒシと伝わってきました。私もその応援に、走っていて何度が目頭が熱くなりました。マラソン大会って本当に地域が一つになって盛り上げていくものなんですね。今回の大会に関わられた皆さんに、心から感謝申し上げます。ありがとうございました!
信濃毎日新聞 電子版号外より