ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

音楽・本・映画・サッカーなど興味の趣くままに書いていきます。

天皇杯4回戦 FC東京対TDK SC(調布・味の素スタジアム)2-1

2007-11-05 21:00:10 | サッカー
JFLや大学のチームが格上のJ1のチームと公式戦で対戦するほぼ唯一の機会が天皇杯の4回戦。
トップカテゴリーに必死で挑む戦いは毎年白熱したドラマを生む。
彼らにしてみれば格上のプロチームに負けたところで失うものは何もないし、
自分たちの力を試す絶好の機会とばかりにはつらつと体当たりしてくる。
一方のプロチームはリーグも終盤戦に差し掛かり疲労や故障も多く、
モチベーション的にも受けにまわったりしてゲームが思わぬ展開を生んだりする。サッカーとは実に面白いスポーツだ。

今年の天皇杯4回戦で最も盛り上がったのはなんと言っても清水エスパルスと明治大学の対戦だろう。
先制し一時は逆転されながらも終盤ぎりぎりに追いつき、延長で再び逆転。
あわや大金星というところまで清水を追い詰めた。
残念ながらPK戦で負けてしまったが、ここまで清水を慌てさせた明治は天晴れというほかはない。
試合後清水のサポーターからも明治コールが起きたそうだ。
Honda FCも柏を破っており今年も波乱が起きた。

土曜日にはナビスコカップの決勝をテレビで見た。ファイナルにふさわしいスリリングですばらしい試合だった。
夜はアーセナルとマンチェスターユナイテッドの首位攻防戦を見たが、こちらも双方譲らずいいゲームだった。

そして昨日、東京の4回戦を観に味スタへと足を運んだ。
ぽかぽかと11月とは思えない陽気でスタンドにいると汗ばんでくる。
たまにはバックスタンドでのんびりフォーメーションなどを確認しながら観ようと陣取った。

東京は先週大敗を喫している。ただでさえその次の試合は入り方が難しいだろうに
格下のJFL13位のTDKが相手では、さらに余計なことにまで気を使わざるを得なくなるのではないか。
事実、開始早々TDKにサイドをえぐられシュートを許してしまう。
まずは果敢に攻めてきたのはTDKのほうで、東京は早速ゴール裏から容赦ないブーイングを浴びてしまう。
それでもポゼッションは明らかに東京でTDKは徐々にラインを下げ、守備を固めてカウンター狙いとなる。
それにしても前半の東京は先週の大敗を引きずっているのか覇気がない。
イージーなパスミスは連発するし、がら空きの中盤を飛び越して安易にトップに当てようとしてボールを失う。
そこをTDKが果敢にカウンターで仕掛け、何度か危ない場面を迎える。
前半をスコアレスで折り返し、再び大ブーイングが起こる。

それにしても後ろの家族連れがうるさい。
両親と小4と幼稚園ぐらいの男の子がいたのだが、まず父親が口汚く野次を飛ばす。「何だよ馬鹿野郎!」とののしる。
私も相当に口が汚いほうだとは思うが、肩入れしているチームの選手に馬鹿とは言わない。
この父親を真似するものだから息子もまたえげつない。「ふざけんなよ!○○!」と小学生とは思えない下品さ。
たまにバックスタンドで観るとこれだ。
もちろんバックスタンド全体が悪いというのではないのだが、バックスタンドにはさまざまな温度差の観戦者がいるということか。
どうにも気分が悪いのでハーフタイムで息子に「ゴール裏に行こうか」と言って、荷物をまとめてゴール裏に移動した。

後半は早々に試合が動く。
金沢に代えて栗澤を投入直後のCKを茂庭が折り返し、平山が頭で合わせてゴール。ようやく均衡を破った。
しかしほっとしたこの直後、以前東京に在籍していた松田にフリーで決められたちまち同点。
先制した直後に追いつかれるのが東京の悪い癖だが、格下のチームにまで同じことをやられてしまう学習能力のなさに呆れる。
やきもきさせられたが栗澤が入ってから中盤の運動量が増えて、終盤FKから今野が決めて試合は決した。

幕下が勢い良く幕内力士を土俵際まで攻め立て慌てたが、最後はうまくいなして寄り切って沈めたという感じか。
決して格好のいい勝ち方ではなかったが、先週のショッキングな大敗、ノックアウト方式でとにかく勝つことが優先されるカップ戦、
ということを考えれば、今はとにかく勝てたということが大事だ。
リーグ終盤の残り4試合。下位チームとて残留をかけて目の色が変わる終盤の対戦だけに気の抜けるゲームはひとつもない。
しっかり戦って天皇杯をいい形で迎えて欲しい。原監督のコメントにもあるように、天皇杯は難しい。

ヒトラー~最期の12日間~

2007-11-04 10:32:01 | 映画
実家に帰っているときに、どうにも夜が暇でたまたまNHK-BSでやっていたこの映画を観た。
観たいと思って能動的に観たわけではないので映画に関する予備知識がほとんどなかった。
数年前にこの映画が封切られていたことは知っていたが、ヒトラーに対する興味があまり湧かなかったので観ていない。

この映画は、「最期の12日間」というサブタイトルにあるように、ヒトラーの最期を描いた作品であり、
ナチの栄光もホロコーストの残虐さもなく、ひたすら淡々とヒトラーの狂気ぶりと、ナチスドイツの崩壊が誇張なく描かれている。
それもドイツ人の手によって。

ヒトラーの秘書であった、ユンゲ女史の証言に基づいて制作されており、史実に近いものであるのだろう。
生々しいエピソードが取り上げられている。
とりわけ、ゲッベルス夫人が幼い6人のわが子を毒殺するシーンには胸を揺さぶられる。

戦争というのは、それだけで狂気なのだ。そしてもっと恐ろしいのは、人間はその狂気にすら慣れていくということだ。
淡々と流れていく展開が、むしろ人間のもつむき出しの邪悪さを剥ぎ取っていくようで、全身が粟立つようだった。

ヒトラーを演じるブルーノ・ガンツの迫力の演技がすばらしい。


FREE SOUL FLIGHT TO BRAZIL

2007-11-03 17:15:59 | 音楽
橋本徹主宰のコンピレーションシリーズ。以前に同じシリーズのハワイ編も聴いたことがある。

この手のものはあまり個別の楽曲には拘らずに、塊として楽しむのがいい。
もちろん、好きな曲や好きなアーティストの曲も何曲か入っているけれども、あまりそこには気を取られないで聴く。

ボサノヴァの魅力は何かと考えると、それは音数の少なさにあるような気がする。
日本人には早口に聞こえるポルトガル語がその音の隙間を埋めている、というのがボサの魅力ではないか。
だから、音の洪水に疲れてくるとついボサノヴァを聴きたくなる。

ギター・ワークショップVOL.1/憲司、香津美、勝敏&潤史

2007-11-01 23:03:25 | 音楽
このアルバム、結構昔から知っていたのだけど、どういうわけかアナログ盤に遭遇する機会を逸していてずっと聴けずにいた。
先日CDショップで再発されているのを見かけて思いがけずゲット。
こういうものは縁なので、見かけたときに買っておかないと次はいつめぐり合えるか分からない。

今は亡き大村憲司、渡辺香津美、森園勝敏、山際潤史という個性的なギタリストたちが一堂に会したコラボレーション・アルバム。
異色の組み合わせ、四人四様の個性を楽しむことができる。77年の録音。

森園勝敏。知る人ぞ知る「四人囃子」の元メンバー。
日本が誇るプログレバンドだった四人囃子を脱退後は、もう少しポップな方向に舵を切りフュージョンよりの音作りも多い。
このアルバムでは、どこかコミカルな雰囲気も漂わせている。

大村憲司は「赤い鳥」のメンバーだった。卓越したテクニックで早くから注目されたギタリストである。
YMOのサポートメンバーとしてプレイしていたこともある。
矢野顕子や大貫妙子といった人たちのバックでもバックを勤めており、歌心のあるギタリストだった。
このアルバムでもエモーショナルなプレイを披露している。またこのセッションでは坂本龍一が参加している。
98年、残念ながら50歳の若さで早世してしまった。天才といっていいミュージシャンだった。

現在も精力的な活動を展開している渡辺香津美のことを初めて知ったのはYMOのツアーメンバーとして参加したときだったと思う。
その後に発表されたアルバム『トチカ』はかなり話題になっており、当時私もよく聴いた。
一聴するだけでそれと分かる個性を持ったギタリストだ。

山岸潤史。関西ブルースを代表するギタリスト。それだけにこのメンバーの中ではちょっと異質な存在だろう。
The Young Rascalsの「Groovin'」を選曲しているところが面白い。
日本でも随一のRascalsフリークである、山下達郎をコーラスに招いており非常に興味深い1曲だ。

それぞれが2曲ずつを持ち寄り、最後はPeter Framptonの「I'm In You」を全員でコラボレーションしている。
このあたりの遊び心にも余裕を感じる。

今はなかなかこういった企画もののアルバムは出ない。
好事家受けするような、なんともいなたい企画。こういうものは秋の夜長にひとりで酒でも飲みながらこっそりと楽しむのだ。