エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

NHK・BS1スペシャル番組「エネルギー・シフトへの挑戦」への出演と「節電エコポイント」

2012-11-05 00:04:20 | Weblog
 NHK・BS1スペシャル「エネルギー・シフトへの挑戦~エイモリー・ロビンズからのメッセージ」に出演しました。エイモリー・ロビンズは世界的に有名なエネルギー学者で、「ネガワット」の提唱者です(10月4日に最新著の翻訳『新しい火の創造』が刊行。「新しい火」とは「燃やさない火」(flameless
fire)、すなわちエネルギー効率の向上と再生可能エネルギーのことで、エイモリー・ロビンズは、アメリカで2050年までに「燃やす火」(化石燃料)から「燃やさない火」への転換を行うための壮大なビジョンを提示しています)。

 NHK放送は、11月2日(金)23時00分~3日(土)0時50分に放送され、前半と後半に分かれています。前半では、国のスマートコミュニティ実証事業が推進されている豊田市の「需要応答とエコポイント」(現下の電気料金制度では電気料金をダイナミックに変えられないので、料金単価の変更をエコポイント(プラスとマイナス)で擬似的に実現。ピーク時間帯以外では、料金単価に10エコポイントを加算して「1kWh10円」に、逆に、ピーク時間帯は10エコポイント差し引く(マイナス10ポイントを付与する)ことで「同30円」に設定。取得したエコポイントは、電子マネーである楽天Eddyとして日常生活では現金として使える)<http://jscp.nepc.or.jp/article/jscp/20121001/325168/index3.shtml>
などに関する内外のシーンが放送され、私が出演したのは後半の座談会でした。

 座談会の出演者は、私、加藤敏春(スマートプロジェクト代表&エコポイント提唱者)のほか、猪瀬直樹さん(東京都副知事)、枝廣淳子さん(環境ジャーナリスト)、秋元圭吾さん(地球環境産業技術研究機構副主席研究員)とエイモリー・ロビンズです。番組の冒頭、私が今後の課題として提示したキーワードは、「エネルギーのインターネット」(スマートグリッドをさらに進化させて、仮想空間上で国民一人ひとりが全員参加する「スマート国民総発電所」を構築するもの)です。
 仮想ロボットに家庭のエネルギー管理を任せるエナリスのESQORT<http://www.esqort.jp/esqort.php>に関する画像が流れた後、司会者より、スマートプロジェクトが推進している「節電エコポイント」の取り組みとして、①節電プログラム、②省エネ・創エネ機器等の購入、③ピークカットトライアル、④お出かけ節電の4つのプロジェクトが紹介されました。

 「このプロジェクトの狙い、効果は?」という司会者の質問に、私は、「数千万世帯の多くの人々に参加していただくためインセンティブとして節電エコポイントの提供。ポイント原資は、スマートプロジェクトが民間事業者とパートナーシップを組んで捻出。原発1基分100万キロワットの家庭部門の需要応答は、LNG火力新設85億円に相当する価値を生む。しかも、二酸化炭素も、放射性廃棄物も排出しない」との趣旨の回答をしています。
 エイモリー・ロビンズは、「日本の節電エコポイントに関する取り組みをどう評価しますか?」との司会者の質問に対して、日本の再生可能エネルギー生産ポテンシャルの地域的分布(地方に分散)とエネルギー消費の地域的分布(大都市に集中)を前提に、3・11後の日本の大都市における新しいエネルギーの“生産”形態として「ネガワット」が極めて有効なだとしてスマートプロジェクトの「節電エコポイント」の取り組みを高く評価し、次のような趣旨の発言をしました。

 「とても良いアイデア。節電エコポイントによるネガワットにより余分な電力を生むコストも、発電所を建設するコストも、送電網を敷くコストも掛けなくて済む。アメリカの14州では、別の形態として、電気を売るのではなく電気料金の請求額を少なくするネットメータリングも推進されている。ユーザが負担するコストも減り、電力会社の投資リスクも減少するという二重の効果がある」。

 番組の最後では、各出演者が今後最も必要なことについてコメントしましたが、私は「企業の技術開発の成果を市場化し、できる限り多くの人々に受け入れられるような環境をつくることが大事。企業からすれば、新しいビジネスモデルの構築が必要。電気やガスというコモディティを売るのではなく、サービスを売るという発想への転換がエネルギーでも絶対に必要。電力会社だけが非難されるべき問題ではなく、新電力や新規参入者も含めて新しいビジネスモデルを形成し、エネルギーサービス企業に変貌していくべきだ」という趣旨のコメントをしました。