エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

新成長戦略における21国家戦略プロジェクトの特筆点

2010-09-19 00:34:16 | Weblog
新成長戦略においては、昨年12月の基本方針に加え、経済成長に特に貢献が高い21の国家戦略プロジェクトを指定し、強力に推進するとしています。特に関心を引くのは、次のところです。
全体として、我が国が目指すのは、経済・環境・社会の3つが相互に高め合い、人々の幸福度に寄与する「三方よし」の国であるとしていることが注目されます。

1.「固定価格買取制度」の導入等による再生可能エネルギー・急拡大
再生可能エネルギーの普及拡大のため、買取対象を太陽光発電から風力、中小水力、地熱、バイオマス発電に拡大。全量買取方式の固定価格買取制度の導入を軸とする以下の政策パッケージを導入する。
① スマートグリッド導入、系統運用ルール策定、系統連系量の拡大施策等を通じて電力システムの高度化を図る。
② 風力発電・地熱発電立地のゾーニングを行い、建設を迅速化する。また、公有水面の利用促進、漁業協同組合との連携等による洋上風力開発の推進等への道を開く。
③ グローバルな新産業ベンチャー育成、リスクマネー補完、地域の事業・便益に繋がるファイナンスの仕組みを強化する
④ 木質バイオマスの熱利用、空気熱利用、地中熱・太陽熱の温水利用等の普及を推進する。
これにより、2020 年までに再生可能エネルギー関連市場10 兆円を目指す。

2.「環境未来都市」構想
「環境未来都市」を創設する。具体的には、「事業性、他の都市への波及効果」を十分に勘案し、スマートグリッド、再生可能エネルギー、次世代自動車を組み合わせた都市のエネルギーマネジメントシステムの構築、事業再編や関連産業の育成、再生可能エネルギーの総合的な利用拡大等の施策を、環境モデル都市等から厳選された戦略的都市・地域に集中投入する。
このための新法を整備する(環境未来都市整備促進法(仮称))。また、都市全体を輸出パッケージとして、アジア諸国との政府間提携を進める。

11.「総合特区制度」の創設(と徹底したオープンスカイの推進等)
地域の責任ある戦略、民間の知恵と資金、国の施策の「選択と集中」の観点を最大限活かす「総合特区制度」を創設する。具体的には、
① 国全体の成長を牽引し、国際レベルでの競争優位性を持ちうる大都市等の特定地域を対象とする「国際戦略総合特区(仮称)」を設け、我が国経済の成長エンジンとなる産業や外資系企業等の集積を促進するため、必要な規制の特例措置及び税制・財政・金融上の支援措置等を総合的に盛り込む。その際、法人税等の措置についても検討を行う。
② 全国で展開する「地域活性化総合特区(仮称)」では、地域の知恵と工夫を最大限活かす規制の特例措置及び税制・財政・金融上の支援措置等、「新しい公共」との連携を含めた政策パッケージを講じる。

13.中古住宅・リフォーム市場の倍増等
これまでの新築重視の住宅政策からストック重視の住宅政策への転換を促進するため、建物検査・保証、住宅履歴情報の普及促進等の市場環境整備・規制改革、老朽化マンションの再生等を盛り込んだ中古・リフォーム市場整備のためのトータルプランを策定する。
また、省エネ・耐震・バリアフリー、長期優良住宅等の質の高い新築住宅の普及促進を図るため、住宅エコポイント等に加え、住宅等のネット・ゼロ・エネルギー化に向けた新たな省エネ基準を策定する。さらに、建築基準法の見直しやリバースモーゲージの活用促進を図る。
これにより、中古住宅流通市場・リフォーム市場を20 兆円まで倍増を図るとともに、ネット・ゼロ・エネルギー住宅を標準的な新築住宅とすることを目指す。

16.情報通信技術の利活用の促進
自治体クラウドなどを推進するとともに、週7日24 時間ワンストップで利用できる電子行政を実現し、国民・企業の手間(コスト)を軽減するとともに、医療、介護、教育など専門性の高い分野での徹底した利活用による生産性の向上に取り組むことが急務である。
このため、個人情報保護を確保することとした上で、社会保障や税の番号制度の検討と整合性を図りつつ、国民ID 制度の導入を検討する。また、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT 戦略本部)を中心に、情報通信技術の利活用を阻害する制度・規制等の徹底的な洗い出し等を実施する。
あわせて、「光の道」構想(2015 年頃を目途にすべての世帯でブロードバンドサービスを利用)の実現を目標とし、速やかに必要な具体的措置を確定した上で、所要の法案等を提出する。

20.新しい公共
大胆な制度改革や仕組みの見直し等を通じ、これまで官が独占してきた領域を「公(おおやけ)」に開く。このため、「「新しい公共」円卓会議」や「社会的責任に関する円卓会議」の提案等を踏まえ、市民公益税制の具体的制度設計やNPO 等を支える小規模金融制度の見直し等を着実に実施・推進する。また、新しい成長及び幸福度について調査研究を推進する。
「新しい公共」への国民参加割合を26%(「平成21 年度国民生活選好度調査」による)から約5割に拡大する。