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柏耕一 三五館シンシャ
交通誘導員。路上でよく見かける人たちだ。工事現場などで赤い誘導灯を手に、車や通行人を誘導している。実は小生も、交通誘導員にでもなろうか、交通誘導員にしかなれない、との考えが頭をよぎったことがあった。リストラされ扶養家族をかかえなかなか再就職ができなかった時のことだ。「誰でもなれる」「最底辺の職業」と自嘲ぎみにこの本のこしまきにも書いてあるが、とても誰にでもなれるわけではないことが本書を読めば判る。もし、あの時小生が交通誘導員になっていたら三日ともたなかっただろう。イラチでこらえ性のない小生なら、同僚か通行人かドライバーとイザコザを起こしていただろう。それをなんとかガマンできても胃に穴をあけてただろう。
交通誘導員にとっての絶対のご法度は、通行人や地域住民、運転者とのトラブルだ。いかに理不尽なことをいわれても、口ごたえせず平身低頭。でも歩行してはいけない所、車が通ってはダメなところを通すことは許されない。そこを理解してもらうのが交通誘導員の仕事である。
また、世の吹き溜まり的職場だから先輩同輩後輩にはいろんな人間がいる。上等な人間もいるが、ろくでなしや人でなしも多い。本書に登場する人物も著者もふくめて、あまりほめられない人たちである。威張りちらす先輩上司、仕事をしない同輩、無能な後輩、などなど。これらの人たちを折り合いよくする必要がある。絶対に「誰でもなれる」職業ではない。少なくとも小生にはできない。