ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

その裁きは死

2022年11月24日 | 本を読んだで

アンソニー・ホロヴィッツ 山田蘭訳      東京創元社

メインテーマは殺人」に続くホーソーン&ホロヴィッツコンビの第2作。離婚訴訟専門の弁護士が殺された。凶器はワインの瓶。ワインの瓶で頭を強打され破片でのどを斬り咲かれている。第一容疑者は日系人の高名な作家アキラ・アンノ。日系イギリス人作家というとカズオ・イシグロを思い起こすがアキラ・アンノは全くキャラが違う。アンノは女性で魅力的だが攻撃的で傲慢。とても温厚な紳士イシグロとは似ても似つかわしくない。
 アンノと元夫エイドリアン・ロックウッドの離婚をアンノに不利エイドリアンに有利に離婚を成就させた弁護士リチャード・プライスはレストランでアンノにワインをぶっかけられ「ワインでたたき殺してやる」といわれた。その通りに殺されたわけ。さて、プライス殺しの犯人はだれか。第一容疑者はアンノだが、そんな単純なモノではない。
 ホロヴィッツはどうもミスディレクションがお好きなようだ。この作品も大きなミスディレクションが仕掛けてある。この作品中の死者は3人。一人はワインの瓶でたたき殺されたリチャード・プライス。数年前、洞窟探検中事故死したチャールズ・リチャードスン、プライスの事件の数日後ホームから転落して電車にひかれたグレゴリー・テイラー。この3人の死は何か関係があるのか。ホロビッツの仕掛ける大きなミスディレクションにだまされよう。