Ambivalent Blog

e-Tetsuによる「アート」と「釣り」の生活誌

あなたのブログの価値

2004-08-29 | ◆ビジネス
なんとe-Tetsu Blogの価値は$1,550である。このページを見て欲しい。BlogSharesというサイトのe-Tetsu Blogを評価したページである。別に頼んだ覚えもないのだが、勝手に評価されて、しかも株式のように売買対象とされている。

実はこのサイト、ブログを株式会社として見立て、仮想通貨を使った売買市場を運営しているのである。まだベータ版らしいが、既に参加者が5,000人、売買対象ブログが40,000ある。ブログの評価はリンク数などを中心に行うようだ。スタート時には、各ブログの発行株式数は5,000から始まり、株式分割なども出来るらしい。市場参加者はブログを持っている必要はなく、登録さえすれば仮想通貨として$500が与えられる。

ブログの評価ページには、各ブログの価値、株価、P/Eレシオ、発行株式数などが出る。何故自分のブログが売買対象銘柄になっているのかは不明だが、マーケットシェア0.00003%とか表示されていて実に情けない。が、参加者はこういった情報を元に、目をつけたブログの価値上昇、あるいは価値下落を予測して、仮想通貨で投資することが出来るのだ。いろいろな切り口でのインデックス情報も提示されている。

しかし、このサイトの狙いは、必ずしも投機的なマーケットを作ることには無いらしい。むしろ、この仮想ブログ売買市場を通して、刺激的なコミュニティーを形成することを目論んでいるようだ。あるブログの株式を買うことは、そのブログに対する期待度の表明というわけだ。面白いことを考えるものだが、ブログが広告媒体として今後注目を集めていくと、こうしたブログ評価の手法というのは、実は非常に重要なものとなる可能性がある。現時点、リンク数は作為的に増加させることが可能で信用できないが、バリュエーション方法を洗練させればビジネスとして面白いものに発展しそうだ。

ITの価値を示すことによってのみ反駁できる

2004-08-29 | ◆ビジネス
みのたん氏が「IT Doesn't Matter」(Harvard Business Review)で一躍有名となったニコラス・カー
氏のインタビューについてコメントしている。

カー氏は、ITはもう電気や水のようなユーティリティーであり、そこで積極的なリスクを取る様な分野ではないという議論を展開している。カー氏の謂わんとするところ、やや強引でありながらも、実は経営者の心情を代弁していると感じる。経営者からしてみれば、ITベンダーにさんざん夢を語られ、騙されたというのが過去10年の感想であろう。クライアント・サーバーにしろ、オブジェクト指向にしろ、JAVAにしろ、全て利点と同時に解消されない欠点が伴っており、十分なメリットを享受できるケースは稀だ。それゆえに、未だITは投資に見合っただけのリターンを生み出せていないと感じる経営者の方が多い。

カー氏の議論の矛盾や論拠不足を指摘する記事もたくさん出た。しかし、ロジカルに反駁したところで、心情的にITに否定的な経営者の気持ちを動かすことは難しい。IT業界が次に打ち出しているキーワードはサービス指向アーキテクチャー(SOA)だ。今回はテクノロジーでありながら、さらにビジネスへ踏み込んだソリューションの提供を標榜している。その成否は、IT企業1つ1つの成功・失敗の話ではなく、業界全体としての成功と失敗ということに繋がるであろう。


ゲーム労働者

2004-08-29 | ◆ビジネス
Wired Newsの記事によると、MMOG(多人数同時参加型オンラインゲーム)の世界には、ゲームの中で労働し続ける下請労働者がいるという。これは、ゲームの中で使用されるアイテムや通貨をゲームの外(リアルな世界)で取引するマーケットが存在していることと関係している。つまり、ゲームの中で単調な作業を必要とするアイテム収集や通貨獲得に専念し、それをリアル・ワールドで販売することで儲けようとしている人がいるわけだ。

しかし、ここには2つの興味深い現象が内在している。1つは、自分で単純労働をゲームの世界でひたすら行うのはしんどいので、それをアウトソースしている人たちがいるということだ。つまり、労働賃金の安い発展途上国へとアイテム収集を発注し、集まったものを発注者が販売している。つまり、オンライン・ゲームの世界におけるオフショアリングだ。

また、このようにして集められたものがリアルの世界で売買され、それがゲームの中へ戻っていくというのは、ある意味、ブラックマーケットの成立と解釈することが出来る。つまり、ゲームの中では、自分で労働することでアイテムや通貨を集めることがルールであるのに、それをゲームの中では想定されていない(非合法)な方法でそれらを取引しているからだ。

オンラインゲームを楽しんでいる住人達は、そうした下請労働者達を排除すべく、ひたすら単純作業を続け、他のプレーヤーとのコミュニケーションを取らない参加者を妨害するなどして、排除しようとしているらしい。ゲーム自体を楽しんでいる参加者からしてみれば、全く許しがたい存在なのだろう。

下請労働者やブラックマーケット、そしてそれに対する住人の反応、いずれも実社会の現象を映し出しているようで興味深い。実社会のシュミレーションの場として見ると、いろいろな実験が行えそうで社会学的な興味も湧いてくる。それだけに、ゲーム運営者が今起きているゲーム内の社会問題にどう対処するかは、ゲームの質を維持していく上でも慎重な判断が求められるであろう。

IMを使ったマーケティング

2004-08-28 | ◆ビジネス
AOLがIMをマーケティング・ツールとして企業に売り込むそうだ。メッセンジャー・ソフトに企業広告やサイトリンクを張ったスキンを被せることが出来るようにしたり、会話中にパーソナライズ可能なアバターを登場させることが出来るらしい。

IMをマーケティングツールに使うとなると、そのリーチが気になるが、AOLの調査によると10代、20台では90%以上がIMを利用しているそうだ。ただ、よく知られている通り、主要なインスタントメッセンジャーのサービス提供者であるAOL、Yahoo、Microsoftの間では互換性がない。しかし、調査によれば、複数のメッセンジャーを利用している人が61%にも上るそうだ。

つまり、互換性がなくても、それほどにはIM普及の足枷にはならなかったということだ。個人が複数のメール・アドレスを使い分けるように、メッセンジャーも使い分けということだろうか。IMの特徴として、複数同時に起動することが出来るというのも、助けになっているかもしれない。

IMも広告媒体として活用されるとなると、狭いデスクトップ・スペースを巡る争いはますます激しいものとなろう。

米国証券業界のテロ対策セミナー

2004-08-27 | ◆ビジネス
10月26日と27日、ニューヨークで米国証券業協会(SIA)主催のカンファレンス「Business Continuity Planning」が予定されている。ゲスト・スピーカーは元NASAのFlight Director、そして元FBIのCounterterrorism Agentである。

このカンファレンスは、9/11以降金融業界にとって重要なテーマとなった災害対策をテーマとしている。ゲスト・スピーカーがNASAやFBIの出身者であるのは、米国金融業界にとって災害対策が如何に重要かつ差し迫ったテーマであるかを示している。巨額の証券や資金取引、そしてその決済を担う金融機関が機能不全となることは、当の金融機関のみならず、その決済に依存する多くの企業に甚大な影響を与える可能性がある。

ロシアにおいてもつい最近テロによると思われる航空機事故が起きたが、テロの問題は米国の金融業界にとって、今でも最も重要なビジネス上の課題の1つなのである。