日本IBMの売上不正計上により、米IBMの2004年度売上高が約220億円下方修正となった。これだけ読むと単なる不正会計事件のようだが、もう少し中身を見ていくとIT業界にとっては他人事では済まされない話であることが判る。
『米IBMの2004年売上高修正、原因の日本IBM大歳社長は「社内規定違反」と繰り返すのみ』 Nikkei IT Pro
IBMが不正会計としたのは、日本IBMが何ら付加価値をもたらすことなく、他社製ハードウェアを販売したケースである。IBMの内規では、こうしたケースでは手数料相当のみしか売上計上を許しておらず、仕入れ価格も含めた全額を計上したことが問題とされた。
IBMはこの不正会計を内規違反とし、民事上も刑事上も問題ないとしている。それは、会計基準が厳格化されるのに先んじて、IBMが付加価値部分のみを売上として計上する社内規定を実践しているからである。記事からは当内規が2004年度に導入されたものであることが読み取れる。
このニュース、一見IBMが悪事を働いたように聞こえるが、むしろIBMが付加価値をベースとした会計処理へ率先して移行しつつあるという事実に着目すべきである。先日のメディア・リンクス事件を反面教師とすれば、IBMのような取り組みはさらに推し進められる流れにある。
一方、こうした試みにおいて次のような疑問が湧く。1つは、何を付加価値として何を単なる横流しと判断するのかという判断基準の問題である。SIビジネスという業態では、この判断が明確でないと統一的な会計処理は難しい。もう1つは、付加価値の議論はハードウェアに限らず、サービスにも当てはまる点だ。サービスにおいても単に外注先のマンパワーを顧客に横流しするのみでは付加価値を加えたとは言いがたい。
記事によれば、3月に日本公認会計士協会から会計基準のガイドラインが出るそうである。IT業界はその内容に十分注意を払う必要がある。なぜならば、これはIT企業がその存在意義でもある付加価値というものを問い直す貴重な機会を提供するからである。
『米IBMの2004年売上高修正、原因の日本IBM大歳社長は「社内規定違反」と繰り返すのみ』 Nikkei IT Pro
IBMが不正会計としたのは、日本IBMが何ら付加価値をもたらすことなく、他社製ハードウェアを販売したケースである。IBMの内規では、こうしたケースでは手数料相当のみしか売上計上を許しておらず、仕入れ価格も含めた全額を計上したことが問題とされた。
IBMはこの不正会計を内規違反とし、民事上も刑事上も問題ないとしている。それは、会計基準が厳格化されるのに先んじて、IBMが付加価値部分のみを売上として計上する社内規定を実践しているからである。記事からは当内規が2004年度に導入されたものであることが読み取れる。
このニュース、一見IBMが悪事を働いたように聞こえるが、むしろIBMが付加価値をベースとした会計処理へ率先して移行しつつあるという事実に着目すべきである。先日のメディア・リンクス事件を反面教師とすれば、IBMのような取り組みはさらに推し進められる流れにある。
一方、こうした試みにおいて次のような疑問が湧く。1つは、何を付加価値として何を単なる横流しと判断するのかという判断基準の問題である。SIビジネスという業態では、この判断が明確でないと統一的な会計処理は難しい。もう1つは、付加価値の議論はハードウェアに限らず、サービスにも当てはまる点だ。サービスにおいても単に外注先のマンパワーを顧客に横流しするのみでは付加価値を加えたとは言いがたい。
記事によれば、3月に日本公認会計士協会から会計基準のガイドラインが出るそうである。IT業界はその内容に十分注意を払う必要がある。なぜならば、これはIT企業がその存在意義でもある付加価値というものを問い直す貴重な機会を提供するからである。