Ambivalent Blog

e-Tetsuによる「アート」と「釣り」の生活誌

デルですら撤退、中国ローエンドPCマーケット

2004-08-16 | ◆ビジネス
あのデルが中国のローエンドPCマーケットから撤退する。デルらしからず、より高価格帯へシフトするという。

理由は、極めてアグレッシブな値下げを仕掛けてくる競合がいるからだという話だが、それはこれまでデルの得意技であったはずだ。SONYが高価格路線へシフトするというなら話は判るが、自らが最も得意とするビジネスモデルで降参するとはどういうことだろう?

中国のコンシューマー向けPC市場が本当に異常である可能性もある。もう一方で、成長を続けるデルが低価格路線を維持する上で何らかの障害にぶつかっている可能性もある。それが多国籍でオペレーションすることから来るのか、規模の経済が実効性を失うところまで会社が大きくなってしまったのか、あるいはプリンターなど取扱分野を増やしたことでマネージメントコストが増大しているのか。

ちょっと穿った見方かもしれないが、今回の中国マーケットにおけるデルの判断は、デルの変調を表しているのかもしれない。


ITはもう人を幸せにしないか

2004-08-16 | ◆ビジネス
興味深い2つの記事があった。1つは、アメリカにおいてコンピューター関連学科の学生数が減少しているという記事。もう1つは、ネットユーザーがオンラインに背をむけ始めたという記事である。

コンピューター科学を学ぶ学生数という点では、MITですら3年前の385名から今年は200名以下へと激減しているそうだ。IT業界でのここ数年の雇用悪化も背景にあるだろうが、記事で指摘されているように、コンピューター科学は実用面が注目を浴びすぎて、生物学や化学のような壮大な可能性を感じさせる学問と比して、魅力がないとみられている、というのが当たっているのかもしれない。

一方、ITは消費者の生活に大きな変化をもたらしつつあるのだが、ネットユーザーはやや距離を置いてテクノロジーの進展を見始めた感がある。Pew Internetの調査によれば、ネットユーザーは以下の行動では、オンラインよりオフラインを好むという。

 ・ニュースを見ること
 ・ゲーム
 ・請求書に支払
 ・クリスマスカードの送付
 ・電話番号や住所を調べること
 ・チケット購入
 ・スポーツの結果確認
 ・音楽を聴くこと

これらの行動は、ブロードバンド化を始めとするインターネット技術の進展によって実現されてきた応用例の数々で、多くの人が利用した経験が実際にあるものであろう。インターネットは人々の生活を一変させてきたが、その掲げるビジョンは既にtoo muchなところまで来ているのかもしれない。

とすると、IT業界における次なる課題とは、今の延長にはない新しいビジョンの確立であるかもしれない。昨年度は、ITのコモディティ化を宣言する記事がハーバード・ビジネス・レビューに掲載されて議論を巻き起こしたが、それに対する反論は、ITの発展はまだまだこれからも続くというものであった。

確かに、ITの発展がここでストップし、電気や水道のようなユーティリティーと化すということはまだないだろう。しかし、ワクワクするようなビジョンが無いのも事実である。