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e-Tetsuによる「アート」と「釣り」の生活誌

ITの価値を示すことによってのみ反駁できる

2004-08-29 | ◆ビジネス
みのたん氏が「IT Doesn't Matter」(Harvard Business Review)で一躍有名となったニコラス・カー
氏のインタビューについてコメントしている。

カー氏は、ITはもう電気や水のようなユーティリティーであり、そこで積極的なリスクを取る様な分野ではないという議論を展開している。カー氏の謂わんとするところ、やや強引でありながらも、実は経営者の心情を代弁していると感じる。経営者からしてみれば、ITベンダーにさんざん夢を語られ、騙されたというのが過去10年の感想であろう。クライアント・サーバーにしろ、オブジェクト指向にしろ、JAVAにしろ、全て利点と同時に解消されない欠点が伴っており、十分なメリットを享受できるケースは稀だ。それゆえに、未だITは投資に見合っただけのリターンを生み出せていないと感じる経営者の方が多い。

カー氏の議論の矛盾や論拠不足を指摘する記事もたくさん出た。しかし、ロジカルに反駁したところで、心情的にITに否定的な経営者の気持ちを動かすことは難しい。IT業界が次に打ち出しているキーワードはサービス指向アーキテクチャー(SOA)だ。今回はテクノロジーでありながら、さらにビジネスへ踏み込んだソリューションの提供を標榜している。その成否は、IT企業1つ1つの成功・失敗の話ではなく、業界全体としての成功と失敗ということに繋がるであろう。


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