Ambivalent Blog

e-Tetsuによる「アート」と「釣り」の生活誌

SOAマーケットの本命か - SourceLabs

2004-09-30 | ◆ビジネス
この会社の設立は気になる。というのもSOA化された後の世界を先取りしたビジネスモデルを実践しようとしているからだ。

『「オープンソース界のデルになる」--MSやBEAの元幹部らが企業立ち上げ』  CNET Japan

設立の背景として以下のコメントが引用されている。(以下、括弧は記事からの引用である)

「コンピュータ機器を調達する際にDellに頼るのと同じように、
法人顧客はオープンソース製品の調達と保守に関しても信頼あ
るパートナーを必要としている」

つまり、PCのコンポーネントがコモディティ化したように、オープンソース製品がコモディティ化することを見越したビジネスモデルをソフトウェアの世界で先取りしようとしているわけだ。このビジネスに資金を提供しているIgnitionのBrad Silverbergは、以下の認識を示している。

「ここ2年ほどの傾向を見て今後を予測すると、(ソフトウェア
業界が)評価されるポイントが保守、テスト、サポート、そして
コンフィギュレーションへと移行しつつあるのは明らかだ。顧客
は、Dellのウェブサイトを利用するのと同じように、業者を通じ
て希望する技術を容易に入手できる」

ここでは、コンフィグレーションという言葉に注目したい。意図は明確でないものの、最早インテグレーションという表現よりも、コンフィグレーションという表現の方がサービス指向アーキテクチャーの世界ではフィットするのだという印象を受ける。また、収益モデルにはサブスクリプション型が組み込まれるということだ。

この会社のビジネスについてはもう少し調べてみたいが、何となくSOA化の中での本命企業の1つになるのではないかという予感がする。とりあえず今回はここまでということで。


アジアのWeb Services市場

2004-09-30 | ◆ビジネス
そもそも欧米とアジアではIT投資の総額が異なるが、Web Servicesへの投資額を比較する記事が出たので記録しておきたい。

52% of Web services are deployed in the US, 39% in Europe, 6% in Asia Pacific -- AlwaysOn

Radicati Groupによる調査によると、世界におけるWeb Services技術を用いたシステム導入の割合は以下の通り。

52%: United States
39%: Europe
6%: Asia Pacific
3%: Rest of the World

欧米に比してアジア・パシフィック地域におけるWeb Services技術の適用が大きく遅れていることが浮き彫りになっている。が、以前西洋人と東洋人の考え方の違いについて紹介したことがあったが、ソフトウェアのコンポーネント化の考え方は、実は東洋人にはあまり馴染まないのかな、などと考えたりもする。なぜなら、ソフトウェアをコンポーネントに分解し、その属性やインターフェースを定義していく、という考えは実に西洋的だからだ。ま、あんま関係ないかもしれないけど。

UNIXチップのコモディティ化は挫折するか

2004-09-29 | ◆ビジネス
UNIX分野における三強はSUN、IBM、そしてHPである。その中でもHPはいち早く独自チップの製造からIntel製のIteniumへの切り替えを表明していた。これはPC分野で進行するハードウェアのコモディティ化をUNIX分野で先取りしたとも取れるし、合併を通じてPA-RiscとAlphaという二種類のUNIXチップを持たざるを得なくなったHPのコスト削減策とも取れる。Intelにしてみれば、飽和しつつあるPC向け市場からUNIX向け市場へと活動領域を拡大するチャンスであった。

しかし、先日HPがItanium搭載のワークステーションの発売中止を発表した。

『Itaniumに新たな打撃--HP、Itanium搭載ワークステーションを販売中止へ』 CNET Japan

この背景にはIntelの狙ったUNIXチップ市場が、高性能化の続くPCサーバーに食われつつあるという状況、そしてPC向けのXeonチップが64ビット対応し、さらにUNIX市場への攻勢を強めつつあることがある。これがItaniumにとって打撃であるのは、チップにはそれに対応したソフトウェアが市場に存在する必要があるということだ。

Itaniumが市場でシェアを拡大するためには、Itaniumに対応したソフトウェアがマーケットに存在する必要がある。市場占有率がまだ低いItaniumにとって、これは大きなハードルとなる。一方で、Xeon64ビット対応チップは、32ビット対応のソフトウェアも稼動させることが出来る設計となっているため、既存のPCサーバー向けソフトと新たな64ビット対応ソフトの両方を使うことが出来る。

つまり、Itaniumがどんなに優れたチップであっても、その価値はチップそのものの性能だけではなく、利用可能なソフトウェアが存在するかどうかに大きく影響される。そして、その点においてItaniumは不利な状況にある。Intelは、Itaniumがあくまでハイエンド・サーバー向けであると主張しているが、ソフトウェアの有無によってその価値が左右されることに変わりはない。

Itaniumの市場価値を高めるためには、対応ソフトをいかに増やすかが今後も大きな課題となるだろう。

コモディティ化に邁進するSUN

2004-09-28 | ◆ビジネス
IBMやHPに続いてSUNもユーティリティー・コンピューティングに名乗りを上げた。

サン:「世界を1つのコンピューティングリソースに」 CNET Japan

ただし、記事はかなり手厳しく、これは低迷に喘ぐSUNが話題作りのために持ち出したネタであるという。話題に上りさえすればSUNにとっては成功だと。確かにSUNの業績は低迷を続けてきたが、ここ最近はJAVA関連ソフトのオープンソース化やSolarisの他社製チップへの対応など、これまでのSUNにはない施策を打ち出してきている。

今回のユーティリティー・コンピューティングの話題も、ここ最近の動きとの同期は取れている。つまり、ハードウェアのコモディティ化である。しかし、独自のチップとオペレーティング・システムへの拘りは捨てていないSUNが、どのようにコモディティ路線と独自路線の整合性を取り、差別化に繋げていくのかは興味深いところである。

今日は、この流れの中で「サンとCSK、従量課金制コンピューティングサービスの提供で協力」 CNET Japanという記事が出た。

ポストペイの発想

2004-09-26 | ◆ビジネス
電子マネーといえば90年代から数々の実験が繰り返されたものの、なかなか日の目を見ることが出来なかった。しかし、ついにEdyとSuicaという金融機関を母体としない企業から始まった電子マネーは着実に浸透しつつあるように見える。今後はこの2つの争いかと思っていたが、まだまだ新しい敵が待ち構えているようである。

ポストペイの発想
EdyもSuicaも原則として事前入金が必要であり、カードに残高が十分あるかどうか気にしなくてはならない。つまりプリペイの仕組みである。それに対して、使った分だけあとで精算するというのが、ポストペイの考え方である。つまり、小口決済を行う時にICカードの残高がいくらかを気にする必要はないし、入金の手間もない。と聞くとクレジットカードを思い出すが、まさに小口決済のポストペイを実現しようとしているのは、クレジットカード会社なのである(詳しくは9/25日経「カードビジネス総力戦(4)少額利用狙え――新技術、便利さ追求。」を参照されたい)。

ポストペイとする場合には、利用限度をどう設定するのか、センターとの残高チェックをどうするのか、などの疑問も湧く。100円の決済のために、通常のクレジットカードと同様のセンター通信を待つというのは有り得ないからだ。そのあたりの仕組みがどうなるのかは判らないが、利用に当たっての手間がプリペイ型と変わらないならば、プリペイや残高確認が不要な分、ポストペイの方が便利である。となれば、プリペイ型に対する強敵出現となる。

究極のポストペイ
先の日経記事によれば、決済用のICはカード型だけではなく、キーホルダー型なども考えられているという。しかし究極の認証手段はICではなく、生体認証である。JCBは既に小口決済の認証に指先の血管の形状を利用するという技術を実用化しようとしているそうである。インターネットが匿名化を押し進めている一方で、生体認証は究極の個人認証である。クローン生成へのインセンティブとなりそうで怖い話でもある。

ということで、電子マネーを取り巻く戦況は、方向性が見えてきたというより、まさにこれからということになる。