Ambivalent Blog

e-Tetsuによる「アート」と「釣り」の生活誌

マイクロソフトに内在する危険な兆候

2004-08-10 | ◆ビジネス
マイクロソフトの社内には結構な数のマック・ファンがいるらしい。仕事としてはマイクロソフトで働くが、実はマックの方が大好きであると。これ即ち、自分の生み出したいものをマイクロソフトでは生み出せていないということだろう。

単に、マックの方がデザインが良いから、といった程度で片付けることも出来るが、もしこのマック好きのマイクロソフト社員がアップルのビジョンやブランドに共鳴しているとしたら、これはマイクロソフトにとって将来的な危機の兆候と言えるだろう。

もともとPCと言えば、アップルが先鞭を付けたものであり、デザインや機能の先進性ではアップルに一日の長があった。しかし、ビジネスとしてはマイクロソフトの方がうまくやってきた。それゆえに、マイクロソフトで働くが、実はマックの方が好きという人たちが生まれるわけだ。

しかし、人はお金以上にビジョンに共鳴したときの方が力を出す。アップルは何度も危機を乗り切ってきたが、そこにはアップルの持つビジョンやブランドがあった。しかし、マイクロソフトが危機に陥ったとき、社員が一丸となれるビジョンはあるだろうか? ビジョンはもちろんあるだろうが、社員はそれに共鳴するだろうか?

本当の危機に際して強いのは、実はアップルなのかもしれない。 マイクロソフトが危機に陥らないと答えは出ないが、戦いの結末は楽しみである。

明日の100円より今日の100円

2004-08-10 | ◆ビジネス
明日の100円より今日の100円の方が価値がある、とはファイナンスの原則(つまり、運用益が得られるから)。では、基礎研究と応用研究ではどうだろう? 基礎研究は時間がかかるので、すぐにキャッシュには結びつかない。一方、応用研究はより実用に近いので、比較的早くキャッシュに結びつく。とはいえ、基礎研究は応用研究の源であり、将来的には大きな成果に結びつく可能性がある。

アメリカが今そんなジレンマに陥っているようだ。米国はもともと基礎研究に重きをおいた国であったが、最近はより早く成果のでる応用研究を重視する動きが強まっているという。そのため、研究テーマも保守的でブレークスルーを生み出す力が弱まる懸念があるらしい。

日本が敗戦後、基礎研究を放棄させられ、応用研究のみに特化したことを照らし合わせると面白い。日本は欧米の基礎研究の結果を活用し、それを応用することでここまで成長してきた。しかし、活用すべき基礎研究も徐々に枯渇してきたので、次の課題は自ら基礎研究に軸足を移すことにある。実際、大学や大手メーカーなどがそうした動きをしているとも聞く。

しかし、先ほどの米国の話を聞くと、アメリカは逆に基礎研究から応用研究に軸足を移そうとしているように見える。この方針の逆転は何を意味するのだろうか? ひょっとすると、ビジネスにおける日米の役割が今後10年から20年で大きく変わっていくのかもしれない。変化はジワジワとしか訪れないが、じっくり観察していこう。