Ambivalent Blog

e-Tetsuによる「アート」と「釣り」の生活誌

無料ブログのスイッチング

2004-07-31 | ◆ビジネス
gooのブログはとりあえず無料なので始めた。その裏には、しばらく試して他にもっと良いのがあれば変えてしまおうという思惑もあった。

しかし、ブログは、情報を蓄積すればするほど、その価値が高まっていくという特性がある。記事をアップする毎にコンテンツが増え、カテゴリー分類され、他のブログとのリンクが張られ、そしてページ・ビューが増えていくのである。

gooには1銭も払ってないし、他のプロバイダーのブログも開設自体は難しくない。そうした面でのスイッチング・コストは取るに足りないが、先に述べたような見えない価値の部分の移管は極めて難しいのである。また一から始めるかと思うと、動くのが面倒になる。

このスイッチング・コストの高さが、試しにgooでブログを始めてみて判ったことだというのは皮肉であった。もしあるプロバイダーが他のプロバイダーからブロガーを奪おうとするならば、それに伴う見えないコスト(ブロガー側の)が実に大きいということを認識する必要がある。見事ブロガーを奪い取るためには、そのコストを下げる施策(コンテンツを移管したり、トラックバックを送り直したり?)、あるいは、そのコストを上回る機能・サービスを提供する必要がある。



六本木薬物中毒事件と海外赴任リスク

2004-07-30 | ◆ビジネス
今年の3月から5月にかけ、六本木で薬物中毒により11人が倒れ4人が死んだという六本木薬物中毒事件、うち7人が大手外資系企業の役員や社員であった。彼らの多くは海外からの赴任者である。

海外赴任というと花形的なイメージもあるが、そこには企業側にも赴任者側にも大きなリスクが伴うということが今回の事件から見えて来る。今回の事件の犠牲者たちが薬物に手を出した理由は明確ではないが、1つの理由として異国での寂しさが記事では指摘されている。つまり、海外で言葉も通じず、文化も異なるが故に、新しい環境に適応できず、それを紛らわすために薬物に走ったというわけだ。こうした状況は個人にとって生活が破綻してしまうというリスクであり、企業にとっても高額の赴任コストが台無しになってしまうリスクである。

仮に任務が無事完了したとしても、往々にして帰任後のポジションが納得のゆくものではなかったりする。海外赴任から帰ってきた人がまもなく会社を去るというのはよくあることだ。また、海外が長くなると、帰国後の生活への適応が難しいケースもある。海外での高額赴任手当てに慣れきって、生活レベルを変えられないこともあるだろう。

今回の事件の教訓は、いかに赴任者の適応をサポートするかが重要であること、また、その失敗は個人と企業の両方に跳ね返ってくるということである。

HPの思惑にソフトベンダーが乗ったのは何故?

2004-07-29 | ◆ビジネス
日本HPと日本BEA、そしてNRIがItanium2に特化したIT基盤構築ビジネスを展開するらしい。Itaniumは、Intelが提供するチップをHPが採用したものだが、UNIXチップ分野ではSUN及びIBMとの競り合いが激しい。

HPが当初Itanium採用を発表したときは、SUNやIBMがHPの既存チップ(PA-RISC)からのマイグレーションの難しさを攻撃したり、SUNに至ってはHPからSUNへのマイグレーション・キャンペーンなどを展開していた。HPもSUNの業績が悪化した際には、SUNからHPへのマイグレーション・プログラムを展開するなど、競争は熾烈だ。

そこに来て今回、NRIと日本BEAがHPのItaniumを推進するという話である。アプリケーション層の充実は新しいプロセッサーのユーザー拡大には不可欠であり、HPにとっては極めて嬉しい話ではある。しかし、NRIと日本BEAの思惑は今ひとつ見えない。これによって、SUNやIBMとのリレーションにどう影響を与えるのか判らないが、ソフトウェア・ベンダーにとって、まだマーケットシェアの少ないItaniumへコミットすることはリスクが高いと考えられる。

UNIXチップの標準化を推し進めたいというようなビジョンを共有しているということであろうか? あるいは、何かHPから強いインセンティブがあるのだろうか?

アイデンティティのハッキング

2004-07-29 | ◆ビジネス
昨日の記事でRFIDが体に埋め込まれるという話に触れたが、今日はそのRFIDの中身が書き換えられてしまうという記事だ。

体にどういう情報を埋め込むかによるが、CNETの記事にあるようにRFIDがハッキングされれば、その個人に関わる情報が書き換えられてしまうことになる。これは、単に商品の価格情報を書き換えて詐欺的行為をするということ以上に重大な事態である。

テクノロジーの進展は、個人のアイデンティティーをますます希薄なものとしていくネガティブな可能性を秘めるという点には注意を要するだろう。

インド絶好調の次

2004-07-29 | ◆ビジネス
インドIT産業が4-6月期も大幅な増収・増益を見せている。大手各社が売上が40%前後も伸ばしている様は、日本の2004年度ITサービス業界の伸びが5%前後くらいと予測されるのと極めて対照的である。

こうしたインドIT産業の高成長は、バンガロールがシリコンバレーを上回ったかという議論まで巻き起こしている。記事では、シリコンバレー側は既にナノテクなどの新規分野での成長が始まっているとのコメントも引用されているが、インドもプログラミングの受託からビジネス・プロセスの受託へと、IT産業のなかでもより高次なスキルの要求される分野へと移行している。筆者も、インド系ベンダーがハイレベルな業務ソフトを日本において展開している姿をよく見るようになった。

しかし、その次のインドの課題はイノベーションを自ら起こせるかであろう。既に欧米で行われていることをインドで低価格で再現していくというモデルが頭打ちとなったとき、いよいよ自らのイノベーションの力で勝負をすることが求められる。日本も実は外部のイノベーションから内部からのイノベーションへと転換する途上にある。

ここで求められるのは基礎技術研究であるが、インドIT産業はこうした動きを見せるだろうか。これから数年のインドの動向が注目されるところである。