Ambivalent Blog

e-Tetsuによる「アート」と「釣り」の生活誌

グーグルは最低だ

2004-08-27 | ◆ビジネス
IPOを実現したばかりのグーグルを最低だと評価する企業がある。ISS(インスティチューショナル・シェアホルダー・サービシーズ)という議決権行使の助言サービス会社である。この会社は、電子的に議決権情報を提供したり、議決権を行使するためのインフラも提供している。

8/25日付けの日経夕刊によると、ISSはグーグルを企業統治の水準において、米主要企業で最低ランクに位置づけた。一般投資家に売り出した株式の議決権が弱い点、社外取締役の比率が低い点などが批判の対象になっているという。

ISSは日本にも拠点を持っているが、実は最近東証、日本証券業業界と米国のデータ処理会社であるADPが日本に議決権行使サービスを行う新会社を設立した。会社名は、ICJ(インベスター・コミュニケーション・ジャパン)である。設立のプレスリリースによれば、海外投資家による日本株保有が増えたこと、機関投資家による株式保有が増加していることが背景にあるという。つまり、株式持合いから、しっかりとした企業統治を求める投資家による保有へと、株主の性質が変わり、議決権を行使するためのプラットフォームが求められるようになったということだ。非居住者による株式保有は20%にもなるそうである。

グーグルがISSによって厳しく非難されている様は実に米国的に映るが、日本でもそうした状況が訪れる日もそう遠くないかもしれない。


IT投資の効果は期待以下 52% - 米アクセンチュア調査

2004-08-26 | ◆ビジネス
米アクセンチュアの調査によると、今後3年間でIT投資は増加するとITマネージャーの多くは考えている。一方でビジネス・マネージャーはIT投資が期待しただけの効果を上げていないと考えている。

常に言われていることであるが、調査結果はITとビジネス戦略の乖離が、投資効果の実現されない主たる原因だと指摘している。今IT業界が推し進めているサービス指向アーキテクチャー(SOA)は、ITではなくビジネスを主体として捉えている。ビジネスの要求に基づいて、ソフトウェアがサービスを提供していくモデルであり、その到達点はITとビジネス戦略の融合にある。

SOAを単なるキーワードに終わらせず、ビジネス課題の解決に結びつけることは、IT産業が今後もビジネスの核として繁栄するためには極めて重要だ。さもなくば、ITは今後もコストとして圧縮の対象となり続けるに違いない。IT投資が今後も増加するであろうという予測を、手放しに喜ぶわけにはいかないのである。

長嶋ジャパン、山手線、そして富士ゼロックス 

2004-08-25 | ◆ビジネス
タイトルのキーワード、同じ光景を目にした方もおられるかと思う。富士ゼロックスが前夜のアテネオリンピック速報を山手線の全車両に中吊広告として出したのである。それは「長嶋ジャパン『金』失う」の読売新聞速報であった。よくよく見ると、中吊りの速報以外は、富士ゼロックスのオンデマンド型プリンター「iGen3」の広告で電車全体が覆われていた。

このキャンペーン、全貌が知りたいと思い、富士ゼロックスのホームページへ行ってみた。実は、自分が今日遭遇したのはたまたまであり、キャンペーンは8/13日から始まっており、連日速報を中吊りを出していたのだ。路線は山手線だけではなく、丸の内線及び銀座線にも出稿されている。ただし、各路線とも一編成のみのようなので、乗れば必ず遭遇出来るというわけではないようだ。

しかし、原稿の仕上がりから中吊り差し替えまでが早い。原稿には読売新聞のアテネ速報を使っており、それが出来るのが午前3時、それを原稿として3編成分の印刷を行って中吊り差し替えが完了するのが午前5時である。

このプリンター、通常の印刷のような版がなくとも、高品質・高速印刷が可能らしい。版がいらないので、従来のような単品大量印刷から多種大量印刷が出来るという。つまり、プリンティングでもオンデマンドが実現できるわけだ。

別に富士ゼロックスに肩入れしているわけではないが、偶然に遭遇した車両広告に驚いたのである。富士ゼロックス車両に出くわしたら、ちょっとその印刷までの過程を考えてみると面白いですよ。

BEAのSOA戦略 第2ステージへ

2004-08-25 | ◆ビジネス
BEAはIBMと並んで早くからサービス指向アーキテクチャー(SOA)に取り組んでいる企業であるが、今回その戦略が第2ステージへと進んだ。

「米BEA、ISVのSOA移行を支援するツール発表」 -- 日経ITPro

サービス指向アーキテクチャーとは、アプリケーション・コンポーネントをサービスとして呼び出すことによって成立する。密に結合されたアプリケーションの硬直性を排除し、柔軟に結合可能なアプリケーション・コンポーネントの組み合わせにより、業務システムを構築しようというものだ。従って、サービス指向アーキテクチャーが成り立つためには、サービスとして提供可能なアプリケーション・コンポーネントの存在が必須なのである。いくら、顧客にSOAを実現するための基盤システムを売ろうとしたところで、サービスたるアプリケーション・コンポーネントが存在しなければ、意味がない。

つまり、サービス指向アーキテクチャーの実現は、基盤システムに加えて、それを補完するものとしてのアプリケーション・コンポーネントがマーケットで購入できなければならない。BEAがISV(独立系ソフトウェアベンダー)向けにSOAへの移行ツールを提供するのはそのためである。ゆえに、いよいよSOAも第2ステージというわけだ。

マニア市場拡大という逆説

2004-08-24 | ◆ビジネス
NRIから面白い調査結果が出た。「マニア層の市場規模推計と実態を調査--5分野で2900億円市場」 (CNET)だそうである。5分野とは、アニメ、コミック、ゲーム、アイドル、そして組み立てPC。

組み立てPCを除くとマニアの市場規模は、市場全体の11%に及び、もはやこれを「ニッチ」とは呼べないと記事は結んでいる。確かに10%を上回ってくればニッチと呼ぶには大きすぎるかもしれない。

そうなると、これまでニッチ・マーケットであるマニア市場へメジャー・プレーヤーが参入してくる可能性がある。例えば、マニアしか買わないアニメ関連グッズ市場に、大量生産低コスト型のメジャー・プレーヤーが参入し、少量高付加価値生産のニッチ・プレーヤーを駆逐することになる。

マニア・マーケットには限らないが、ニッチ・プレーヤーであると自負していた企業が、いつの間にかメジャー・マーケットで戦っていることがある。ふと気がつくと、独特だと思っていたサービスが他社と変わらなくなり、しかもメジャー・プレーヤーとばかり競合するようになる。

これは、市場規模が拡大していく過程でよく見られる。そして、メジャー・プレーヤーの参入によって市場が成熟状態に至り、更なるニッチを追い求めたプレーヤーか、メジャーとして地位を確立したプレーヤー以外は生き残りが困難となる。実はシステム・インテグレーションのビジネスが、正にそうした状況にあると言われている。

さてマニアの世界に戻るが、マニア市場が他の市場と異なるのは、メジャー・プレーヤーが参入した時点で、それはマニア市場であることをやめ、その市場を育ててきたマニアがマニアで無くなる、あるいはその市場から逃げ出すことにある。通常であれば、メジャー・プレーヤーの参入は価格を押し下げ、消費者にメリットがあるのだが、マニア市場ではそうはいかない。メジャー・プレーヤーの参入はマニア市場を破壊してしまうのである。

やはりマニアというものは、一般の人々が知らないようなことを語り合えないと、そのアイデンティティが失われてしまうのである。
ゆえに、マニア市場はもはや「ニッチ」ではない、という言葉に惑わされて安易に参入すると、きっと痛い目にあうに違いない。

ちなみに、私の知り合いのマニア曰く、マニア同士は分野が仮に異なっても心が通じ合うのだそうだ。なかなか話を判ってくれる相手がみつからないので、分野が違っても会合を開いて、ひたすら語るのだそうだ。仮に相手の分野が違っても。