古希を過ぎて多分に漏れず我が家も断捨離が始まっている。“先行”している妻が「こんなのが出てきたよ。」と持って来たのはA-5版の古い封筒だった。宛名は故人となった父方の叔父さんだ。
元々茶色なところにセピアかかっていて相当古いものであることが直ぐに分かった。「6.5.77 東京中央」の消印がある。結婚した時だ。
中に「ニッポン放送」の「ほがらか歌謡曲」というラジオ番組から妻あてへのカードが入っていた。
どうやら北海道にいる私の所に本州から嫁ぐときに、叔父さんが件の番組に一文を寄せ、お二人のパーソナリティがわざわざ直筆のお祝いカードを贈ってきたらしいことが分かった。
調べてみたら、パーソナリティはニッポン放送のアナウンサーの檜山信彦氏と漫才師の青空ハズム氏だ。番組は1974年4月6日から1980年9月27日までニッポン放送の土曜日朝の時間帯に放送されていた。
戦争で足が少し不自由になったが春めいてきていた札幌の結婚式場に杖をついて参列してくださった叔父さんの姿が今も鮮明だ。ずっと見守ってくれていたような気がした。
あれから43年が経った。叔父さんが綴った心境は想像に難くないが、振り返ってどうだったか自信が無い。セピア色の歴史は当たり前の事ながらずっと大事に取っておくことになった。
最近はラジオを聴いている。リスナーとの距離の近さとじっくりテーマを掘り下げる番組づくりが感じられる。古い封筒には心の温かみとゆとりが滲んでいる。
これからどんなものが出てくるだろうか。エイッ、ヤッと処分出来ない三日坊主の私の断捨離が妻に追いつくのはいつのことか。