《札響Hpより 「hitaru」2020.11.21》
《プログラムより》
21日に札幌文化芸術劇場『hitaru』で札響の演奏を聴いた。ボックスのステージも馬蹄型の客席も天井が高く、Kitaraとは反響時間が違うのだろう
か、下野竜也さん指揮の大編成のオーケストラからマーラーの5番が分厚くホールに充満した。出だしのトランペットは今の憂鬱な空気を吹き払
うように聞こえた。
この日と前日は長年に亘り首席オーボエ奏者を努めた岩崎弘昌先生の最後の定期演奏会だった。高校で吹奏楽部に入った息子がオーボエを担当す
ることになり、マイ楽器を購入するために札幌のK楽器店に行ったことが岩崎先生との繋がりの始まりだった。品定めをしていただいたのが店に
よく顔を出す岩崎門下の細田てる美先生だったからだ。それが契機となって細田先生のレッスンに通うことになった。
マーラー5番の有名な第4楽章「アダージェット」を聴きながら様々なことを想い出していた。息子は高校の時に岩崎門下の発表会に出演させてい
ただき、終了後の集まりで先生から聞かれた。「君はどの道を行きたいと考えているのか」息子は答えた。「プロを目指します」と。
この時、音大と指導者のアドバイスをいただき、何も分からない私達家族の道標となった。札響のコンサートでお会いする機会にいつも励まして
いただいて、息子も念願のプロオーケストラの奏者になることが出来た。孫弟子の関係になるという。
演奏会が終わって、岩崎先生がいつものように身の回りの演奏道具を鞄に納め、この日の花束を納め、舞台から去る時に残っていた観客から期せ
ずして大きな拍手が湧いた。思いっきり拍手した。
先生は愛用のオーボエを小さく掲げて拍手を受け、深々と一礼して舞台を去った。目頭が熱くなった。
コロナ禍で直接お話をすることが出来なかったのは残念だった。
岩崎先生、有り難うございました!
これからもお元気で!
《「hitaru」にまだ咲いていた花みずき 紅葉の花を観たのは初めてだ》