Dr. Mori Without Borders / Mori-san Sans Frontieres

森 一仁が医学・国際政治経済金融・人文教養教育など関心問題を国際的・学際的に考える。

セブ島航海記

2009-09-13 05:02:09 | 人間行動学:精神医学・心理学・行動科学
フィリピン人を見ていて、昔のフィリピン人の行動様式が透かして見える事がある。例えば夜になるとどこからともなく屋台が広がる。昼間ではなく、夜間に屋台が出てくるのである。そして明かりはと言えば、コーラのビンに油を注いで、これを燃やして煌々とさせるのである。食事は焼いた豚や魚などであるが、バーベキューにする事が多い。米はバナナの葉で包んで用意しておく。

大航海時代のマゼランはセブ島にて現地の酋長だったラプラプによって倒されるが、当時を偲ぶ絵画が散見される。現地人はいかにも未開部族と言われそうな出で立ちをしているが、当時の行動様式が現在の生活に色濃く反映されているような気がしてならない。

当時もおそらく蒸した米をバナナに包んで保存していたのだろうし、食生活はポーク・チキンを中心に魚を豊富に取り、現地野菜の煮込みのスープやウミヘビのスープ、調理法はバーベキューかスープと云ったシンプルなものだっただろう。現代では家の中で電気を付けてエアコンと共に食事を取れば良いものを、それなりの恰好をした人々までわざわざ表に出て食べるのである。習慣としか思えない。

「COURTING」と言う文化もある。男性は交際を求める女性に対して時間をかけてアピールをする。動物で言えば求愛行動の期間である。花を渡し、チョコレートをあげ、手紙を送る。周囲の人間に対してどの女性を狙っているかのアピールも兼ねるらしい。女性はチョコや花を受け取ろうが、売りさばこうが自由である。文化人類学で見られるような交換の文化がここにある。求愛は物品の贈呈に始まり、これが必須らしい。何となく気が合うから・・・では無いところがミソである。自腹を切ってモノを買い、これを渡し、コミットメントを証明するのだ。しかし実際には複数の女性に「COURTING」をする男性もいるらしい。

夜になると男がギターで「セレナーデ」なんかをする。歌は至るところにある。夜に成れば辻辻に愛を囁く男女が見受けられるのである。昼間は無いのだが、日没と同時にカップルが辻辻に出現する。日没は「食事と求愛の時間」を意味する。キリスト教徒が多い国であるが、日没はイスラム教徒にとっても食事を意味する。ラマダンの期間は日没頃に時間を見計らって一斉に食べだすからである。

では昼間は・・・勿論昼寝の時間である。脂っこいフィリピン料理は眠気を誘うからである。国民総生産が低いからと言って馬鹿にしてはいけない。エアコンの無かった時代、無理に昼間働けば生命に危険が及んだかも知れないからである。

日本では自動車工場やIT企業本社ビルの落成でも何でも、地鎮祭をする。建物を土地の上に立てていく時に、古からずっと続けてきたのであろう。アメリカ人は飲み水を持ち歩くが、これは元々が砂漠の民が多いからだ・・・と聞いた。例えばカリフォルニアの沿岸部は別段乾燥していないのだが、それでも水持参の人は多い。車所有と水持参は少なくとも西部開拓時代にまでは遡れそうだ。

フィリピン人はマライ系現地人・スペイン人・中国人の混合である。ビジネスは中華系、美男美女はスペイン系と相場が決まっている。中華系やスペイン系にも特有の行動様式があるのかどうか、今後見てみたいと思う。

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