Dr. Mori Without Borders / Mori-san Sans Frontieres

森 一仁が医学・国際政治経済金融・人文教養教育など関心問題を国際的・学際的に考える。

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放射線から国を守ること ~憲法第9条の範疇でも可能な防衛~

2013-04-04 23:38:19 | 危機管理:国際人道保健支援・災害救急
「予言されていた"原発震災"/広瀬隆氏インタビュー」を観て驚く。氏は原子力技術に関しては門外漢と謙虚に述べながらも、持ち前の調査能力で原子力発電所の建設の事、構造の事、機能の事、そして地盤と地震に関する事等をデータを示しながら解説していた。これが震災直後の映像であったと後から知ったのである。私は氏には及ばないが、日本の情報統制・報道管制を見るにつけ海外メディアからの情報などを頼りに本件について考えていたが、改めて情報リテラシーの重要性について知らされた結果となった。本論は氏のビデオとは直接関係が無いが、それでも視聴後に考えさせられた事を述べたいと思う。

種々の専門家や非専門家が色々の事を述べていたが、一般市民の私達には例えば福島第一原子力発電所の仕組みはチェルノブイリとは違う軽水炉であるからそもそも比較に意味が無いとか、そういった技術的な事は余り重要ではないと思う。もちろん詳細な対策を講じるには極めて重要な情報なのであるが、一般市民が真っ先に知りたい情報の中には含まれていないかと思う。市民感覚としては放射線量の単位とか放射性物質の種類の名前によってケムに巻かれる事よりも、現時点で各地域において避難が必要かどうか、飲料水や食料品を口にして良いのか、万が一「危険信号」が発せられた場合にはそれに対してどう対応するのかといった具体的な知識が必要になるのだと思う。詳細な科学データも有難いのだが、末端の市民に必要なのはその解釈法である。「医者からもらった薬がわかる本」があるように、「放射性物質の拡散」と言う情報が数値データ等で知らされた場合に、これを「安全」と解釈すべきなのか「危険」と解釈すべきなのか、行動の指針が必要なのである。

これに関して考えられたのは「民間防衛」の考え方ではないかと思う。この概念がどうして日本で発達しなかったのかが私は不思議で仕方がないのである。日本国憲法が成立して憲法第9条に「国権としての武力行使の禁止」が謳われてもなお、「国家としての正統な自衛権」の観点から警察予備隊・保安隊を経て自衛隊の創設へと至ったのであるが、ここでの防衛思想は「専守防衛」なのであった。

「専守防衛」であればまずは議論の多い軍事組織の成立を急ぐよりも、民間人が例えば空爆や大陸間弾道弾等の攻撃に晒された場合にいかに行動するかの対応策を国を挙げて講じるべきではないかと長年考えていたのである。自衛隊の存在については以前から永く推している立場にある私がこう思うのだから、左翼などに多い反対陣営の人間達がかくなるアイデアを出していてもよい筈なのだが、あまり聞いたことがない。

放射線防護については原子力発電所の問題もあるが近隣にロシア・中国そして北朝鮮等の公式・潜在的な核保有国に囲まれている以上は、核爆弾等が投下された場合の対応策について国が詳細に研究をして対策設備や教育を国民に施すべきだと思うのである。これは憲法第9条にひとつも触れることなく国を、国民を守ることが出来るのである。核爆弾がなくとも原子力発電所を空爆された場合には核攻撃と同じ効果があるやも知れない。「国民保護法」は制定されたが、これを現在の治安維持法のように運用する前に、原子力発電所事故・核攻撃後の避難シェルターの設置や緊急用食糧や飲料水の備蓄、インフラ設備のバックアップの用意等と合わせて学校や職場や地域社会等で地震時等のように「避難訓練」あるいは「核防護訓練」をしても良い筈なのである。

原子力発電所については賛否両論あるだろうが、現在の日本の国力を維持し、経済大国としてのパワーを維持する為には、種々の観点から運用の必要性が生じているのかも知れない。しかしもしそうならば、国全体がフェイルプルーフでなければならないのである。「原子力技術の導入」に関しては「原子力発電所内の安全管理」だけに留まらず、「国民全体での安全対策」が必要ではないか。少なくとも核シェルターに準ずる施設は必要であるし、学校の理科や保健の時間に健康関連の知識を身につける事は最低限必要ではなかろうか。こうしたアイデアに例えば現場学校教師等は何と言うであろうか。例え日教組関係の教員であっても「憲法第9条」を盾に反対する事は不可能な筈である。

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