厚生労働省・研究班の調査結果をもとにして男女ともに「草食化」が進んでいるのではないかとの議論が出ていた。内容たるやひどいもので、「性交渉の皆無=草食系」と言う定義らしいのだ。これはちょっとおかしな話である。草食動物にも生殖器官がある事を知らないのではないだろうか。
元祖草食系の「草食動物」は食物連鎖の下位に位置しており、この事は肉食系よりも個体数がずっと多い事を意味する。言いかえれば「草食動物」 . . . 本文を読む
人間は肩が凝る。もっと詳しく言えば異文化間精神医学を援用して、日本人に肩こりが多いと言うべきなのかも知れない。肩こりや緊張性頭痛にあって、筋肉の強張りが中核症状となる。筋肉の強張りとは持続性の筋緊張であろう。では緊張とはなにか?
筋緊張はそもそも心理的緊張が起こす現象であって、精神的緊張の身体的表現型であろう。ここで肩こりの影響を受けやすい肩甲挙筋や僧帽筋といった筋肉は骨格筋であって平滑筋でない . . . 本文を読む
忘れかけていた事を思い出した。時実先生と言えば「脳研究のライオン」と呼ばれた大先生である。東大医学部をご卒業となり、同大脳研究施設のみならず、日本の脳研究、わけても生理学系統の黎明期を引っ張ってきた神経生理学徒の大先輩である。しかし私はこの「脳研究のライオン」の意味をいま一つ取り違えていたらしい。
愚かな私は「おはようからおやすみまで脳を見つめている」に違いないと思っていたのである。大々先輩も今 . . . 本文を読む
満を持して「コスタンゾ明解生理学」の日本語版が出版の運びとなった。リンク先に表示されている「ロバートソン自律神経学 原著第2版」は以前関わった医学文献である。周囲の諸先生方との緊密な協同の下で完成された書籍達。
特にコスタンゾの生理学は液性調節の専門家の書いた生理学書として、そちらの方面の記述は詳しい。基礎医学の専門家や医学生・看護学生のみならず、臨床の現場で活躍される医師・看護師・療法士の皆様 . . . 本文を読む
「ロバートソン自律神経学」は医学生・看護学生から薬学・理学療法学・作業療法学・心理学・神経生物学をはじめとした学生はもとより、実地臨床家の先生方や医学教育でもぜひ使って頂きたい自律神経の本であると思います。
理由は簡単です。自律神経系に関わる全ての基礎医学の知見と医学臨床や日常生活における自律神経症状などについて書かれているからです。より具体的には解剖学・生理学・薬理学・臨床神経学・運動生理学な . . . 本文を読む
「ゲーム脳」なる言葉を同じ名字を持つ大学教授が提唱していたと知ったのはごく最近のことだ。しかしながらゲーム脳とは何か?手指の微細な動きを取り戻すリハビリテーションのためにゲームをさせたり、小児のガン治療にがん細胞を倒すイメージを作るためにゲームをさせたり、記憶力を増進させる目的でカードゲームやTVゲームを用いたり、いろいろなやり方で市販のゲームは治療目的に使えるだろう。TVゲームばかりしていると本 . . . 本文を読む
前回は「ウェルニッケ失語症」について話した。ここで気になる事がある。ちょっと引用してみよう。「左の側頭葉障害による失語症を示した例で時間のfactorを考慮して、ゆっくりしゃべると理解力が高まる例があり、失語症での時間のfactorが議論になっている。」失語症と時間との関係、これが語源的に興味深いのである。
以前論じた事であるが、ウェルニッケ野の場所は厳密に定まっていないものの、脳の「側頭葉」で . . . 本文を読む
脳の高次機能の一環として失語症について解説をしていた折りのこと。失語症とあって、発話行為・発語が困難なブローカ失語症に対して、言葉は聞き取れるが言語理解が著しく障害を受け、これにより訳のわからない言葉(ジャルゴン)を発する事もあるウェルニッケ失語症の病巣部位が問題となった。記憶していた病巣部位が学生の持っている教科書とは異なるのである。教室内は当然であるが騒然とする。これについて後から詳細に検討を . . . 本文を読む
「理研に労基法違反で是正勧告、時間外賃金200万円未払い」と言う記事を読んで愕然とした。基礎研究や大学の高等教育において時間を決めて研究活動をする事がほぼ不可能だからだ。労基法違反と書くと違法行為と決め付けがちであるが、日本の理化学・生命科学・医科学の基礎研究の牙城に是正勧告とあれば、全国の独立行政法人大学をはじめとした基礎研究機関等にもおそらく影響が出るだろう。
先日教授と話をしていて驚いた事 . . . 本文を読む
議会か何かの発言で、女性を指して「子を産む機械」に準えた大臣がおられるとか。医学生物学的な意味でのからだの生殖内分泌系のしくみについての発言だろうと冷静な頭では誰もがわかってはいるだろう。しかしながらこの「機械」と言う部分で、はたと考えてしまった。
生理学や薬理学では「からだのしくみ」などの「メカニズム」を「機序」と訳している。または「機構」と呼ぶ場合も無いとは言えない。英語でもからだ等のしくみ . . . 本文を読む
STOCKHOLM (AFP) - Two US scientists, Andrew Fire and Craig Mello, have won the Nobel Medicine Prize for discovering how to silence malfunctioning genes, a breakthrough which could lead to an era of ne . . . 本文を読む
名古屋では深夜に放映される「探偵ナイトスクープ」と言う関西系の番組の中で、芸能人たち扮する探偵局員が「イチゴ味のカキ氷がトンネルに入るとメロン味に変化するか」調査して欲しいとの依頼を受けていた。果たしてイチゴ味のカキ氷が、全く味の異なるメロン味に変化するのか、その辺りに探りを入れるため、タレントの松村邦洋氏が現地に赴いた。最初はイチゴ味を感覚し続け、依頼者の証言=珍説を否定していた松村氏。次第に依 . . . 本文を読む
暑さの余り、先日ついに軽い熱中症になってしまった。丁度その頃、テレビ報道で、御巣鷹山での日航機墜落事故の事を特集していた。若い方には馴染みが無いかも知れないが、20数年前に、日本航空のジャンボジェット機が墜落したと言う大事件だ。そこでは流行歌「上を向いて歩こう」で有名な芸能人・坂本九氏が搭乗していたなど、当時の話題の中心でしたが、これに関連して、医学医療系統において、もっと忘れてはならない人物がい . . . 本文を読む
納豆は体に良いとされている。最近では納豆キナーゼの効用などが謳われているが、果たして真相やいかに?伝統食としての納豆は消化を助け、たとい食物を飲み込んだとしても納豆を一緒に食すれば消化されてしまうほどの消化に対する作用があるとされているが、戦時中の日本では納豆が別の観点から重要食として認識されていたと言う。
第二次世界大戦は、巨艦主義の艦隊戦から始まり、さらには圧倒的に機動性の高い航空戦へと近代 . . . 本文を読む
神経科学にも種々の領域がある。基礎から臨床まで幅広くあるのみならず、それぞれの基礎や臨床の分野にさらに細かい専攻がある。「神経科学者」とは、神経系を研究する人間を記述する用語であり、多様な神経科学者が存在する。脳神経外科医は生理学の博士号を持っているかも知れず、手術室で働いているが、実験をする時間もあるかも知れない。このように神経科学者になるさまざまの道や、活躍できる分野がある。
・神経解剖学者 . . . 本文を読む