Dr. Mori Without Borders / Mori-san Sans Frontieres

森 一仁が医学・国際政治経済金融・人文教養教育など関心問題を国際的・学際的に考える。

米国には実は戦略的に痛いラコタ共和国の独立

2008-01-31 16:30:14 | 地球社会:国際政治経済金融
先日の記事でアメリカ合衆国内で独立を宣言したラコタ共和国について記述した。アメリカと日本の主要メディアは示し合わせたかのように黙殺を決め込んでいたが、現代資本主義社会では利益をめぐって行動する人間が大多数であり、報道機関も営利追求団体である事を考えると、おそらくは何らかの協定があり表沙汰にしないのかも知れない。本来であれば先進超大国の内部で独立国家を宣言するとは大事件の筈だからである。

実際に大事件なのである。アメリカ合衆国の中でもネブラスカ州は戦略空軍や北米の航空宇宙軍事を統括する防空司令部など戦略的重要施設が集結している。米ソ冷戦の時代でも内陸部の州と言う事もあり、地下基地(Secret Bunker)が建設された場所としても知られている。もっともこの基地は決して秘密ではなく9・11事件の時にはブッシュ大統領はエアフォースワンを使って移動をしたと言われている。有事の際には大統領府の機能が丸ごとここに移されるとも言われている。

一方のラコタ共和国は、そんな戦略的超重要地点をゆうに半分は含む形で存在する。日本で言えば防衛省・市ヶ谷駐屯地・永田町・兜町・皇居江戸城をつなぐ地域をそれぞれ半分ずつくらい含んだかたちでアイヌ先住民が「今日からここにアイヌランドの独立を宣言します。つきましては現行日本国憲法下にある国民・施設・不動産・財を本国の国外へ退去させるか適切に処分して下さい。」と言うようなものであるかも知れない。政府関係者はギョっとするだろう。TVや新聞には"いつもより強力な"報道規制が敷かれるかも知れない。笑

アメリカ合衆国はドルが国際通貨として基軸通貨として流通している時代がすぐに終わろうとしていると言われている。サブプライムローン問題等を皮切りにアメリカ経済が崩壊したとき、旧ソ連ではないが疲弊した経済と強力な軍事力が同時に併存する国家が残されるのだろう。そんな時にラコタ共和国に興味関心を示す国際社会の国々はどこなのだろうか?

ラコタ共和国の存立は南アフリカ共和国内に存在するレソトを想起させられ興味深い。アメリカ外交評議会と連邦準備制度に唯々諾々として国家としての尊厳も独立の精神も全て放棄した本邦とは雲泥の違いであり、愛国者としてはむしろラコタ共和国の独立宣言に清々しさすら覚えるものである。

注:地図の上方がラコタ共和国の範囲、下方がアメリカ戦略空軍や防空司令部など戦略的重要拠点の「一部」を列挙した図

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