Dr. Mori Without Borders / Mori-san Sans Frontieres

森 一仁が医学・国際政治経済金融・人文教養教育など関心問題を国際的・学際的に考える。

Don't Hang Up !! 首を切らないで! ~サダム・フセインの死~

2006-12-31 00:32:44 | 地球社会:国際政治経済金融
"Hang up the phone"ならデンワを切る事だろうが、目的語がヒトなら事態は深刻である。人道に対する罪に問われたサダム・フセイン元イラク共和国大統領が絞首刑に処されたとの報道である。数ある戦争犯罪人のうち、多数のパレスチナ人を殺害したイスラエルのアリエル・シャロン氏はなぜ戦争犯罪人に問われず、アメリカに化学兵器を始めとする武器供与を受けてイラン・イラク戦争で自国内のクルド人に被害を及ぼしてしまったサダム氏は処刑と言う重罰なのか?

戦争犯罪人とあるが、これは他人事ではない。第二次大戦のA級戦犯問題を抱える本邦にあって、誰が如何なる人物を戦争犯罪人と決定するかと言う事は慎重にまた極めて真摯に考えざるを得ない。日本国内でも冤罪問題が報道される。正当な裁判の手続きを経て本当に有罪と認定されたのか?イラクの戦前の農業大国として、医療設備の充実し、宗教的に寛容だった態度は国際的に評価されないのか?聞く所では91年には国連勧告に従い大量破壊兵器を廃棄処分したとの事。これは国際機関も認めていた筈である。農業灌漑用の機器やら有機化学溶液(肥料)などが全て生物・化学兵器と認定されてはたまらない。これを攻撃する側のアメリカこそ劣化ウラン弾と言ういわゆるNBC兵器(核・生物・化学)の一つを使っているではないか!!医学文献データベースMEDLINEを引いても湾岸戦争症候群は科学論文として報告されている。ちなみにわが国では大量破壊兵器(生物・化学)を開発・使用していた旧軍731部隊関係者は、データ供出と引き換えに旧ミドリ十字社(現三菱ウェルファーマ社)で堂々と生き残った。データはアメリカ陸軍フォート・デトリックに渡った。そう、アメリカ炭疽菌事件の株を保有していた米陸軍感染症研究所である。

さて、国際的冤罪問題は、個人の冤罪もそうであるが、何としても避けねばならない。今回もスンニ派の反応を考えて行なった処刑なのであろうか?だとすると、これは明らかにシーア派とスンニ派の対立を狙った悪質な処刑劇である。

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