Dr. Mori Without Borders / Mori-san Sans Frontieres

森 一仁が医学・国際政治経済金融・人文教養教育など関心問題を国際的・学際的に考える。

地理的分布の偏ったパンデミックとイラク戦争

2009-06-12 04:09:59 | 危機管理:国際人道保健支援・災害救急
陰謀論は嫌いなので、データをとって眺めながら色々と考えてみたい。WHO世界保健機関の発表した豚インフルエンザH1N1の感染者の地理的分布を見ていてふと気がついた。パンデミックと言うには何となく地理的分布が偏っている気がしてならなかったのだ。

早速同機関のウェブサイトから感染者を出した国々の名称をテキストで落してみた。眺めていても解らないので、これをエクセルにかけて順位別に並べなおしてみた。感染者数の上位から下位まで見ている内に妙な仮説が浮かんできた。オバマ大統領が訪問前に急激に感染者数が増えたメキシコを除いて(これ自体も充分に陰謀論者の飛びつきそうなテーマだが)、ずらりアメリカの同盟国が並んでいたのだ。同盟国と言うが、イラク戦争でアメリカ側について直接的或いは間接的にアメリカを支援していた側の国家である。

WHO世界保健機関の地図のうち、赤色に塗り分けられたところが感染・流行地域である。国名は青色に塗り分けられている。エクセルの画像は分析結果で、黄色く塗り分けられたところが感染地域のなかでもイラク戦争でアメリカ支持側の国家だ。

これが何を意味しているのか今の私には何も言えない。また例外も少なからずあるので一概に結論は導き出せないが、それでもこんな偏った地理的分布でもパンデミックになるのだなと、公衆衛生学・疫学を実体験として学ぶこととなった。亡くなられた方々のご冥福をお祈りすると同時に、今後も医学の研鑽を積みたいと誓った。

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