Dr. Mori Without Borders / Mori-san Sans Frontieres

森 一仁が医学・国際政治経済金融・人文教養教育など関心問題を国際的・学際的に考える。

EBMは行動主義か?

2018-04-23 15:19:58 | 臨床医学
EBMについて改めて触れる機会を得たのだが、丁寧に勉強しなおすと誤解の多い分野であると改めて感じさせられた。まず統計解析によってデータを出して、それを当てはめていくだけの医療であるかのような理解のされ方をしている事があるのだが、EBMの本質からすると、これは真逆なのである。 患者の自己決定の権利に基づいて、患者の価値観を最大限に優先しながら、臨床研究で得られたデータに基づいて治療方針を決定してい . . . 本文を読む

花粉症とアレルギーと肉食

2018-03-25 21:34:30 | 臨床医学
幼少より重度のアレルギー性鼻炎があり、さらに花粉症に悩まされていたが、ある年に諸事情で肉食を断ったところ途中から調子が非常によくなったので、次の年も実行したところ、今度は最初から鼻の調子がよくなった。 その後で周囲のアトピー性皮膚炎や喘息等のアレルギー反応を基礎とする疾病を持った人々を観察するにつけ、彼らの過剰な動物性タンパク質摂取(ハンバーガー・フライドチキン・トンカツ・焼肉等)が気になった。 . . . 本文を読む

慶應醫學に學ぶ處

2009-01-27 01:48:58 | 臨床医学
早稲田と慶應との繋がりは以前から深いが、妙な事から慶應義塾大学医学部沿革を読むに至った。福沢翁の言葉が身にしみる。添付した画像を見た後で、解説を読んでみた。 【解説】(医学は)天と人との限りない勝負である。医師よ、「自然の(回復)を助ける立場である」などと言わないでもらいたい。(遠いものを見分けたことで有名な中国の)離婁のような眼力と、(かゆいところを掻いてくれる)麻姑のような仙女の手によって、 . . . 本文を読む

M.D.-Ph.D.の学生

2008-04-12 04:11:36 | 臨床医学
アメリカ時代にひょんな事からある大学の研究室のジャーナルクラブに混ぜてもらった事がある。意識研究を行うラボで、M.D.-Ph.D.プログラムの医学生、認知科学科の学生、心理学科の学生、北欧からの研究員による混成部隊であったように思う。最新鋭の脳波計が2つあるシールドルームの中で動いていた。また認知科学科や心理学科の人間の為のMRIセンターがあり、施設内では轟音を立てながら動いていた。並べられたMR . . . 本文を読む

医学界で大人気のエビちゃん♪

2008-03-23 23:42:35 | 臨床医学
「売られ続ける日本、買い漁るアメリカ―米国の対日改造プログラムと消える未来」と言う書籍の書評には、対日改造プログラムの中身として「金融」「商法」に続いて「医療」を挙げている。細かい内容については米国エスタブリッシュメントが進める日本改造①等に詳しいのであるが、医療関係では市場原理を導入したアメリカ型の自己負担医療を推進したいのであろう。 日本では国民皆保険により公的保険で医療費用をカバー出来る。 . . . 本文を読む

小島よしおの呈するGowers徴候

2008-02-11 18:29:51 | 臨床医学
臨床神経学の講義準備をと思ってふと気が付いた。何やら巷で流行るもの・・・小島よしお氏のパフォーマンスは「ガワーズ徴候」と非常に酷似しているではないか。まさか、彼には神経学の知識があったのだろうか。まぁ、あっても無くても「そんなの関係ねぇ」のではあるが。笑 学生諸氏も、そろそろ国家試験前だなぁとふと思う。各人が大いに奮闘し栄光を勝ち取られる事だけを願うのみだ。士官学校の鬼軍曹と同じで戦場には行けな . . . 本文を読む

シュヴァイツァーの遺言

2008-02-01 02:58:25 | 臨床医学
かのシュヴァイツァー博士は学位取得の後に30歳で医師を志し、医学校を卒業すると病院はおろか近代的医師も不在のアフリカの地へと旅立ったと言う。あれから何年か経ったが、現在アフリカの近代化、平和や調和、そして繁栄の象徴でもあったと言えるケニアが荒れている。事情はともかく警官隊が発砲して死傷者が多数出ている。シュヴァイツァー博士が見たら何と言うであろうか? シュヴァイツァー博士は超人的な体力と精神力で . . . 本文を読む

カラシレンコン My Paralyzed Appetite

2007-06-12 20:15:01 | 臨床医学
なぜか多忙を極めるが5分だけホカゴトを。カラシレンコンが我が家に届く。無論、正規のルートからである。多忙によりストレス下にある私は目の前の食品を眺めながら溜息がでる。カラシレンコンと聞いてフグを食べるような心境だからである。 あれは忘れもしない1984年の事である。熊本県において食中毒が発生した。原因はボツリヌス毒素である。それ以来、カラシレンコンと聞くとボツリヌス菌(C.botulinum)を . . . 本文を読む

キリスト教食生活の修道性と医学的意義 ~少子化と生活習慣病の一挙解決策~

2007-03-20 04:19:57 | 臨床医学
キリスト教(東方キリスト教、念のため。)では復活祭を祝う。復活祭の前の7週間は大斎(おおものいみ、又は単にものいみ)として修道生活のようなライフスタイルで過ごす。信徒でない友人には、これが苦痛なのではないかと考えられる事があるが、実はそうではない。医学的に非常に合理的に出来ているのである。 大斎の間のライフスタイルとはなにか?以下に抜粋してみよう。「信徒は特定の食べ物を避け、娯楽や、旅行、宴会が . . . 本文を読む

自殺してはならぬ理由 ~個の生命は共同体のもの・社会経済史と生命医学倫理~

2007-01-27 05:39:35 | 臨床医学
主宰する医療系グループの昨年の忘年会ではかなり濃密な話題が出た。わけても前政権の改革問題との関連で現政権の志向性やら医療制度との関連については関心が高かった。現行の国民皆保険制度では、畏れ多くも天皇陛下や皇族の方々が宮内庁病院で受けられるのと同じ水準の医療が、一般市民も公的保険の枠組みのなかで受けられるのである。もっとも天皇陛下及び皇族の方々は、一般国民とは身分も異なり、国民健康保険等に加入なさっ . . . 本文を読む

織田信長のミトコンドリア ~身体能力と遺伝~

2006-08-12 01:33:03 | 臨床医学
大学で某教授と仕事中に少し話し込む。話題は戦国武将だ。織田信長はその子息と共に亡くなったとすると、織田氏は母系で繋がっている筈だ・・・との事。ここでスケーターの織田信成君の話題になった。信成君も独特の風貌をしているが、おそらく織田信長もあのような風貌を持っていたのだろう。スケーターとして現在では有名だが、心肺機能や骨格筋の筋力などが優れているに違いない。この戦国武将の家系にスケーター誕生と言う事を . . . 本文を読む

メディカル・ツーリズム ~旅は道連れ・高騰する医療費対策の旅~

2006-07-16 07:41:57 | 臨床医学
「メディカル・ツーリズム」と言う言葉がある。観光地で入院する事ではない。医療を受ける事を主目的に海外旅行する事である。日本でも子供の臓器移植等の海外滞在費用を捻出するために募金に奔走する親子の姿が、TVで微笑ましく描かれたりしている。ここではアメリカ・イギリス・カナダの例を、アメリカ通して見てみよう。 「メディカル・ツーリズム」では、世界各国の医療水準と通貨価値の温度差が問題となる。ある国では高 . . . 本文を読む

医薬分業

2006-04-20 02:33:35 | 臨床医学
医薬分業と言われるが、もともとはドイツの王様が医師団による暗殺を恐れて薬品を専門家に管理させた事が始まりと聞いている。日本では医師は「くすし」と言って薬剤の調合と投薬をする人間が医師であったので、医薬を分けるという思想がDNAに刷り込まれていない。 さて医薬分業と言うが、実際の医療の世界はどうか。エビデンス医学に生物学的精神医学や精神医学の数量化、医学全体の分子医学化は現代科学に根ざした医学その . . . 本文を読む