松下政経塾出身で京都府議を経て衆院議員となった同期の前原誠司国土交通相(京都2区選出)の2歳年下の玄葉氏も同じく松下政経塾→福島県議→衆院議員のコースを歩んでいる。党内反小沢(一郎幹事長)系議員の「6奉行」の一人である玄葉氏主導で立ち上がった勉強会だけに、同会終了後に記者団が同氏のもとへ殺到した。 「親小沢とか、非小沢とか、反小沢とか、そういうことではなく、むしろそういうものを超えて、今、この困難に立ち向かって行かないといけないと認識している。当然、消費税の論議も逃げずにやらないといけない。そういう勉強会であることは間違いない」 ――慎重に言葉を選んで語ったものの、玄葉氏の意図するところは明らかである。 この初会合の司会をした安住淳前国対委員長代理(当選5回)をはじめ、同会の顧問に就任した土肥隆一衆院議員(当選7回)、主要メンバーの小宮山洋子衆院議員(当選4回・参院1回)、蓮舫参院議員(当選1回)など、昨年9月の政権発足時に閣僚など政務3役・党役職などの人事で小沢幹事長から干された人物が多い。 この顔ぶれからしても「非小沢」系の衆参院議員が、参院選マニフェストの作成を前に「消費税を含めた税の抜本改革を断行する道筋をつける」(玄葉氏挨拶)を大義名分に蝟集したということである。 先ず指摘すべきは、この勉強会に予想外の、党所属国会議員の4分の1超が呼応したことである。小沢幹事長は歯軋りしているに違いない。 小沢氏は5月10日夜の亀井静香郵政・金融相(国民新党代表)との会談を行ったことで、事実上の「"小沢降ろし"潰し」宣言を党内外に向け発したつもりでいた。 その結果、現在の鳩山"民主党"政権は「小鳩」「小亀」の表裏2種のコンビ中枢が抑え、7月11日の参院選まではおろか、参院選後の政党間協議を主導するところまできていた。玄葉氏ら「6奉行」がそれを止めるにはまさに3年前の参院選後11月、小沢代表(当時)の大連立構想を党常任幹事会で潰したようなパワープレイが必要となる。 ところが、反小沢系の仙谷由人国家戦略相、前原国交相、枝野幸男行政刷新相、野田佳彦財務副大臣など閣内の主要プレイヤーは様子見を決め込んでいる。 現在の「小鳩体制」の下では表立った"小沢降ろし"が鳩山由紀夫首相を追い込むことになりかねないと考えているからだ。小沢氏には幹事長から退いてもらいたい、だが、鳩山首相は支える、というのが仙谷氏らの基本的立ち位置である。現実の党内パワーバランスからしても現実性はない。 *** 簡単には連立に動けない公明党の事情 *** それでも反小沢系が勝負に打って出るとすれば、参院選直後の小沢氏が仕掛けるはずの連立組み替え協議のタイミングしかない。参院選挙は政権信任選挙であり、「野党への期待」より「与党への失望」で投票行動は決まりやすい。従って、民主党の参院選敗北は必至である。 小沢氏主導の郵政改革法案強行成立で「みんなの党」(渡辺喜美代表)は、民主党とは連立を組めなくなる。 与党志向が強い公明党(山口那津男代表)だが、小沢氏が「強制起訴」前提にもかかわらず創価学会(原田稔会長)と連立の裏協議を進めれば、同党もまたおいそれと部分(パーシャル)連合交渉に乗りにくくなる。両党ともに早期に想定せざるを得ない次の衆院選での勝ち残りを考えれば、安易に連立・政党間協議に乗れないのだ。 つまりそれは、小沢氏にとって背水の陣を敷く形で連立再編に賭ければ賭けるほど実現性が低くなるというジレンマを抱えているということである。 そうなると仙谷氏らには、その間隙を衝いて勝負をかけるしか手立てはないということになる。その意味では、今回の玄葉氏らの勉強会発足がトリガー(引き金)となるのかどうか、実に興味深い。 (著者:歳川 隆雄) |
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