団塊太郎の徒然草

つれづれなるままに日ぐらし

海洋機構、深海生物からおがくずなど分解し栄養分作り出す消化酵素発見

2012-08-17 22:14:14 | 日記
海洋研究開発機構の小林英城主任研究員らの研究チームは、世界最深約1万900メートルのマリアナ海溝などに生息するエビに似た生物「カイコウオオソコエビ」から、おがくずや紙などを分解して栄養分を作り出す消化酵素を発見した。廃棄物から燃料を効率的に作る技術の開発につながると期待される。成果は16日、米科学誌プロスワン電子版に掲載された。
 この生物はマリアナ海溝チャレンジャー海淵の世界最深部などに生息するヨコエビの一種で体長約4センチメートル。同研究チームは2009年に、その生物を採取。餌がほとんどない深海でどのように栄養を摂取しているのか生態研究を進めてきた結果、特殊な消化酵素を持つことを見つけた。具体的には深海の木くずなどのセルロースという成分を分解して、グルコース(ブドウ糖)という栄養分に変えていることが分かった。

小林、小泉氏が減税日本へ

2012-08-17 22:12:35 | 日記
河村たかし名古屋市長が代表を務める地域政党「減税日本」に、民主党への離党届を出した小泉俊明(55)=茨城3区、当選3回、小林興起(68)=比例東京、当選5回=の両衆院議員が入党する。減税副代表の佐藤夕子衆院議員(49)=愛知1区、当選1回=と3人で、衆院に新会派「減税日本」をつくる方向で調整している。減税日本の幹部が明らかにした。

 小泉、小林両議員は17日に東京都内で記者会見して入党意向を表明、河村市長も同席する。

 衆院選に向け減税は政党助成法などに基づく政党要件を満たすため、現職国会議員5人以上の確保を目指している。衆院選で小選挙区と比例代表に重複立候補できるようになるなど、地域政党に比べ政党化すれば選挙活動が有利になるためだ。

 党幹部は取材に「段階的に入党を働き掛けていく。5人以上集めるめどは立っている」と説明。名古屋市内で9月5日に開く2千人規模の「反増税・反原発集会」に間に合わせる考えを示した。

 小泉、小林両議員は消費増税関連法案の衆院採決で反対票を投じた。このため2カ月の党員資格停止処分を受け、今月9日に離党届を提出していた。


東京都が東電への売電契約打ち切りを通告 来年度から競争入札に、東電は抵抗

2012-08-17 22:10:45 | 日記
東京都は17日、東京電力に売電している水力発電の随意契約を打ち切って来年度から競争入札に切り替える方針を固め、7月に文書で東電へ通告していたことを明らかにした。まだ長期の契約期間が残っており、東電は難色を示している。

 都は多摩川第1発電所(奥多摩町)など3基の水力発電所を持ち、昭和32年から東電に売電している。最大出力は計3万6500キロワットで、平成23年度は約10億円の収入があった。

 現在の契約は21年度から30年度までの10年契約。ただ、電力不足の懸念が高まるなか東電以外の新電力に競争入札を呼びかければ随意契約より高値で売れる可能性が高く、今年4月以降打ち切りを打診していた。東電側は補償金を求め、交渉は難航しているという。



地元漁師ら憤り「自分たちの海なのに」

2012-08-17 22:06:28 | 日記
「正々堂々と裁判をしなければ、同じことが繰り返される。国の弱腰は不安を通り越して憤りすら感じる」

 沖縄県漁連の前泊豪(まえどまり・つよし)漁政課長(44)は、逮捕された活動家が刑事訴追されず、強制送還されたことに憤りをあらわにした。

 「尖閣沖は歴史的に良い漁場」という前泊課長によると、日本の領海に入った中国船は、日本の漁船の仕掛けた網を頻繁にひっかけて持っていってしまうという。漁具は高額なため損害は大きく、その頻度から前泊さんは「わざとやっているとしか思えない」と話す。操業中に日本の船にへさきを向ける行為を行うことも多い。相手側が無線を積んでいないため、日本側が進路変更を余儀なくされるなど、さまざまな形で操業が妨害されているという。

 前泊課長は「私たちは平穏に日本の海で漁をしたいだけ。国はなぜ助けてくれないのか」と話す。

 宮古島市の伊良部漁協の友利(ゆうり)義文組合長(62)も、「長年あの海で漁をしてきたが、中国の不法行為は目に余る。自分たちの海なのに、歯がゆい」と悔しさをにじませる。

同漁協には一昨年、地元出身の20、30代が戻り、休止していた青年部が復活するなど活気が戻り始めた矢先に、尖閣諸島沖の中国漁船による衝突事件が発生。追い打ちをかけるかのように、今回の事件が続いた。

 友利組合長は「国には、そこに住み、働く人間のことを考えてほしかった。若い人たちの将来のために、安全な海を残してやりたい。東京都に買い上げてもらえば、少しは変わるのではないか」と話した。

 石垣市の八重山漁協の上原亀一組合長(50)は、今回の問題が7月までのマグロはえ縄漁が一段落した後だったため「地元に大きな混乱はなかったことは不幸中の幸い」と話す。

 「国は法律にのっとった範囲でやっているのだろうが現状は好ましくない」としながらも、「挑発し合うことになってもいけない」と紛争が激化することへの懸念を示した。




初代内閣安全保障室長の佐々淳行氏談話 「軟弱姿勢なら繰り返される」


平成22年9月の中国漁船衝突事件では、中国人船長が起訴されることもなく、仙谷由人官房長官(当時)の独断で「超法規的措置」により釈放された。今回もまた起訴前に活動家たちを強制送還するならば、土下座外交そのものだ。融和主義で強硬な措置は取らないという政治姿勢だからなめられる。

 日本が軟弱な姿勢で臨めばまた同じことを繰り返され、相手はさらなる強硬策に打って出る。今度こそ法と証拠に基づき、粛々と起訴してほしい。

 不法上陸した活動家に香港のメンバーが含まれているのは、中国当局が香港を利用する形で、日本がどのような対応を取るのか瀬踏みしているからだ。今回の事件は外交問題であり、最終的には野田佳彦首相の判断が問われる。今回、日本が毅(き)然(ぜん)たる対応を取れば、当分、尖閣諸島に近づくことはない。

 逮捕された活動家らは入管難民法違反の初犯のため、強制送還されるのが慣例との見方もあるが、国家としてみれば、16年3月にも中国人活動家らが尖閣諸島に上陸しており、再犯されたも同然。慣例にとらわれず起訴すべきだ。起訴後に勾留し、その上で外交交渉を進めればいい。

 今回は事前に上陸を予告していたために沖縄県警などの関係者も待ち伏せさせることができたが、予告がなければ現行法では対処できなかった。尖閣諸島のように沖合の無人島には警察官をすぐに呼ぶことはできない。海上保安庁法改正案が国会で審議中だが、無人島での犯罪行為は陸地でも海保の捜査権が及ぶようにするなど一日も早く領海警備態勢を強化する必要がある。尖閣諸島を管轄する第11管区海上保安本部に機関砲を載せた大型の巡視船を配置するなど「西の配備」も強化していくべきだ。(談)



「甘すぎる」尖閣上陸活動家の送還に地元反発



逮捕からわずか2日後の強制送還――。沖縄・尖閣諸島の魚釣島に15日不法上陸し現行犯逮捕された香港の活動家ら14人全員の送還が17日決まり、それぞれ民間機や抗議船に分乗して退去した。

 刑事処分の見送りについて、沖縄県警は「捜査を尽くした結果」と理解を求めたが、地元からは「対応が甘すぎる」などと反発する声が上がった。

 沖縄県警は17日午前、入管当局に活動家らを引き渡した後、外事課幹部が報道陣に手続きについて説明。「取り調べの結果、不法上陸以外の犯罪嫌疑がなかった」「総合的に判断して、入管への引き渡しを決めた」とした。

 これに対し、尖閣諸島を抱える石垣市の中山義隆市長は取材に対し、「強制送還でいいのか率直に言って疑問だ。事件を早く終わらせたいという意思があったのだろうか」と疑問を呈した。「地元の漁師が安心して漁に行けない状況になるのは絶対に許されない」と中山市長は語気を強めた。



尖閣上陸の様子 民主・前原氏「海保撮影ビデオ公開を」

 民主党の前原誠司政調会長は18日午前、読売テレビの番組に出演し、香港の活動家による沖縄・尖閣諸島上陸事件の様子を撮影した海上保安庁のビデオについて「国民にしっかりと事実を知らせるためには、公開すべきだ」と述べた。

 前原氏は平成22年の尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件のビデオ流出に関し「訴訟中だったので証拠物件としてビデオを公開しなかった」とする一方、今回の事件については「もう(活動家ら7人を)強制送還したわけなので、ビデオ公開に支障はない」と強調した。

 藤村修官房長官は17日の記者会見で「規制や逮捕の手法が明らかになり、今後の領海警備に支障が生じる可能性が高く、今の時点では公開しない」としている。

家庭の電気代はむしろ減少する

2012-08-17 21:43:37 | 日記
政府案は技術進歩を過小評価
家庭の電気代はむしろ減少する
――三菱総合研究所 小宮山宏理事長に聞く

1972年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了後、東京大学工学部長 等を経て、2005年4月に28代総長に就任。2009年3月に総長退任後、同年 4月に三菱総合研究所理事長、東京大学総長顧問に就任。『地球持続の技術』『「課題先進国」日本』『知識の構造化』『日本「再創造」』など著者多数。


政府のエネルギー・環境会議(エネ・環会議)が、2030年の我が国のエネルギー構成について、3つの選択肢を提示して国民から意見を聴取した。「課題先進国」を提唱し、早くからエネルギー問題解決のカギは技術進歩による省エネルギーにあると説いてきた小宮山宏三菱総合研究従理事長は、政府案のエネルギー消費見通しは過大だと指摘する。

政府案はエネルギーの
需要予測に大きな問題
――エネ・環会議から原発依存度が、0%、15%、20~25%の3つのシナリオが示されましたが、この選択肢をどう評価されていますか?

 はっきり言うと、エネルギーの需要予測が大きすぎる。原発依存度は需要に対する割合です。重要なのは稼動させる原発の数であり、発電量でしょう。

 需要予測が過大な理由を僕も関係している科学技術振興機構の低炭素社会戦略センター(LCS)が行った3つの選択肢の解析に基づいて述べたい。日本の将来のエネルギー問題を考える上で、最大のポイントは、省エネルギー=エネルギー消費の効率化をいかに見込むかということです。

 エネ・環会議の3つのシナリオでは、4つの機関が、原発比率が0、15、25~25の3つの案に対して家庭の電気代がいくらになるか、GDP(国内総生産)がどれくらい影響受けるのかについて予測を出している。あの予測に使った基本的なモデルは全部同じで、応用一般均衡モデルというものです。簡単に言うと、価格が上がると需要が減り、その逆だと逆になるという経済原則に則ったものです。

そういう分析をいろいろなセクターに対して行っているが、それとは独立に機器の効率化がある。3つの選択肢では、エネルギー消費(発電電力量)が一律に1割減ると想定しているが、機器の効率化を考えると、我々はエネルギー消費はもっと減ると予想しています。エネルギー消費が減る結果、家庭の電気代は今より少なくなる。一方、GDPも4機関の予測ほどには減りません。これがLCSの予測です。

――どうしてエネルギー消費がさらに減るのでしょうか。

 政府の原案では、2010年の発電電力量が約1.1兆kWh。それが30年には1兆kWhになるという予測です。しかし、実際には今年で0.95兆kWhくらいになる。去年は、東京電力管内を中心にして法的拘束力のある需要規制をやりましたが、今年は規制をやっていない。そうすると10年並みの電力需要に戻ってもおかしくないわけですが、去年と今年はほとんど同じ。一つにはみんな節電努力をやめていないということもあるが、もう一つはエコ家電が売れたり、ビルなども建て替わっていて、エネルギー効率が上がっている面も小さくないと思います。

 昔の家電製品より今売られているものの方が、はるかに電力消費が少ないんです。ですから、家電製品を買い換えると効率化が進みます。このため去年ほどの節電努力は行われていないのに、電力消費は去年並みなのだと思います。

 ざっと計算すると、現在、家庭では10年と比べて15~16%電力消費が減っているんですが、15%のうちの5%~6%はエネルギー効率の上昇が寄与していると思います。全国の電力消費の約3分の2を占める東電、関電管内から、節電が全国に拡がっていくだろうし、エネルギー効率が上がれば0.95兆kWhがさらに減っていくでしょう。

 LCSのモデルも、応用一般均衡モデルという意味では4機関と同じですが、技術が直接反映されるようにモデルに組み込んでいる。要するに前提の入れ方が全然違う。ここが非常に重要です。エネルギー効率の向上の効果を直接組み込んでいるのは、僕らのモデルしかないのかもしれない。本当はモデル間で、こうした内容の比較をやらなくてはいけません。

――LCSでは、電力需要はどのようになると予想しているのでしょうか。

 我々は30年で、電力需要は約0.8兆kWhと予測しています。これは極めて重要なことで、例えば、政府の原案では、原発比率15%シナリオで、再生可能エネルギーを30%、火力を55%としています。そのためには10年時点で約10%(約0.1兆kWh)だった再生可能エネルギーを0.3兆kWhに、0.2兆kWh増やさなくてはいけない。しかし、電力需要が0.8兆kWhなら30%で約0.24兆kWhだから、0.14兆kWh増やせばいいということになり、その差は莫大です。

 逆に、政府の予測1兆kWhの30%、55%、つまり、再生可能エネルギーを0.3兆kWh、火力を0.55兆kWhにするとすれば、それだけで全需要の0.8兆kWhを越えますから、原子力はゼロでよいということになります。

家電製品やオフィスビルが
更新されるだけでも省エネは進む
――しかし、技術進歩には不確実性が伴うから、予測には織り込みにくいということにはなりませんか。

 技術の効果を予測モデルに組み込むということについて、少し説明しましょう。例えば、この25年間で日本の冷蔵庫の消費電力は80%減り、エアコンは60%減っている。この二つが、家庭の最大の電力消費の項目です。今から18年後の30年時点で考えた時に、現在使われている冷蔵庫も、エアコンもほとんど残ってないでしょう。その時点の製品に自然と買い替えられている。これは家庭にとっては、新たなコストの負担でも何でもない。

 今後の技術進歩を織り込まなくても、冷蔵庫やエアコンの更新期が来て買い替えられるだけで、電力消費が4割~5割減るわけです。そうするとポイントは家庭の電気代です。いま家庭の月々の平均の電気代は8500円くらいですが、政府原案の4機関はこれが1万4000円から2万円に増えると予測している。おそらく、家庭の電力消費がほとんど減らないで、電気代の上昇分がもろにきいてくると予測しているからです。我々の予測では家庭の消費電力が減るので、キロワット当たりの電気代が上がっても、月々の電気代は4500円程度に減ります。

同じようなことがオフィスでも起きます。例えば、三菱総研でもこの新しいビルに移っただけで、25%も電力消費が減っている。その後の節電で40%以上減りました。オフィスビルも40年や50年で建て替えられるわけで、18年経てば3割~4割は建て替えられている。そうすればエネルギー効率が上がるので、電気代の上昇よりも電力消費減少の効果が大きくて、電気代は減ります。

「電気の消費量が減るから電気代が減る」、これはまさに、家庭でも企業でも昨年の節電で実感したことじゃないですか。

 電気代が減れば家庭にも企業にも余裕が出るから、そのお金が他の需要に回って経済活性化するというのが、将来の経済の姿ではないでしょうか。つまり、4機関の予測ほどGDPにもマイナスの影響は出ない。

 ここで述べたのは、いわば過去の技術進歩の貢献です。もちろん、今後の技術進歩がありますから、さらに効率化されます。LCSでは以前から、技術進歩と社会への普及に関する予測に注力して取り組んでおり、その効果も織り込んでいます。

短期・長期・超長期の課題解決に向け
どこに妥協点を見いだすか
――エネルギーの議論では、原子力発電の比率が低くなると、エネルギーコストが上がる、電気代が上がる。それによって産業の競争力がそがれるという意見が出されますね。

 それは、四半期ごとあるいは1年ごとの決算で評価される企業と、10年とか20年くらい先のことを考えなくてはいけない政府、さらに半世紀あるいは1世紀先の人類の生存基盤をどうするかという、タイムスケールの全く違う話について、自由市場の中でどう妥協点を見い出すかという問題です。

 短期的に今だけを見ていると、事故さえ起こらなければ原子力発電はコストが安いので、原発を動かそうという話になる。一方で、再エネの代表としての太陽電池(太陽光発電)を増やしていくと、どういう良いことがあるか。

一部の人たちは太陽電池は「壊れる、壊れる」と言うのだけれども、基本的には壊れない。太陽電池は、外側は窓と同じで、中は石のようなものです。壊れるのは周辺機器や、あるいは工事の不具合で屋根が雨漏りするといった問題です。

 例えば、奈良の壷阪寺というお寺に、シャープが30年前に設置した太陽電池が何種類かあるが、いまでもしっかり動いています。太陽電池は、基本的には50年経っても壊れない。7月から始まったフィードインタリフ(固定価格買取制度)を活用すれば、最初の20年間は毎年10%程度の投資リターンが期待できる。

 さらに20年後も、極めて安価な電力が供給されるのです。太陽電池設備の減価償却が完全に終って、コストはメンテナンスだけですから、kWhあたり1円 という評価も行われています。1円かどうかは別にしても、駆動部分のない太陽電池のメンテナンスが、火力や原子力などと比べてはるかに安いのは当たり前で す。


「僕が年金ファンドのマネジャーだったら、太陽電池による発電事業に投資しますね」(笑) つまり長期的に見ると、再生可能エネルギーの方がメリットが大きいということです。もし僕が年金ファンドのマネジャーだったら、太陽電池による発電事業に投資しますね(笑)。

――そうすると、政府が提示している原発比率の3つのシナリオについてはどれを選ぶべきだとお考えになりますか。言い換えると、どのようなエネルギーミックスを目指すべきなのでしょうか。

いきなり太陽電池ですべての電力をまかなうわけにはいきません。これから原油価格がさらに上がっていくという前提の下では、ポイントは3つある。どういうペースで原子力をゼロにしてくか、再生可能エネルギーの導入をどんなペースで加速していくか、そしてその間をつなぐ天然ガスをどう確保し、活用していくか。ガスというのは、再生可能エネルギーにつなぐまでに、今の人類に与えられた「時間」だと、そう思っています。シェールガスが非常に安く採掘できるようになったので、これをどうやってうまく日本に輸入してくるかですね。

 繰り返しますが、すべての前提は徹底してエネルギー効率を高めるということ。これを徹底する。というのは、日本には、その実績がある。1973年と79年に2度のオイルショックが起こり、この間に原油の値段が10倍に跳ね上がった。今のリーマンショックと同じで、これが世界の経済を襲ったわけです。

 日本は見事にそれを克服して、世界一強い産業を作った。何をやったかというと、モノづくりの現場がエネルギー効率を上げたんです。例えば、セメント1トン作るエネルギーを半分に減らしたり、鉄1トン作るエネルギーも3割減らした。これでエネルギー原単位が世界一になって、高い石油の問題を克服して、世界でいちばん強いモノづくり産業を作り上げた。財界の人たちも、エネルギー効率を高めることで、エネルギー危機を克服したんだということを、改めて総括しておくべきです。

「日々の生活」の
エネルギー効率を高める
 では、今やるべきことは何か。日本のエネルギー需要をモノづくりと日々の暮らし――これは家庭とオフィスと輸送です――に分けると、前者が4割、後者が6割。モノづくりのエネルギー効率はすでにかなり高くなっているので、日々の生活で効率を高めるということが、これからの世界のエネルギー価格高騰に対する日本の対策になる。それによって、世界をリードするんです。それが、グリーンイノベーションで日本が世界をリードする、ということの意味です。

例えば、私の家は断熱や太陽電池で約8割エネルギー消費を減らしました。三菱総研の例はお話しした通りです。輸送についても、いま日本で売れている自動車のトップ10は、ほとんどがリッター20km以上走る。これでわかるように、エネルギー問題でいちばん大事なことは、エネルギー効率を上げる技術革新。ただ、すでに述べたように現在使用されているストックベースの家電製品や自動車そして家やビルも10年、20年、50年と経てば、ほとんどすべてが入れ替わる。それを考えただけでも効率が上がるので、2030年のエネルギー消費レベルが政府案のように高いと考えるのは非常識です。

 そうなると残る問題は経済成長をどう考えるかです。政府案の場合、GDPが1%増えたときに、どのくらいエネルギー消費が増えるかというエネルギー弾性値の下がり方が小さすぎる。弾性値に影響を与える要素は、どのような産業で成長するつもりなのかということです。

 1960年代から1970年代の高度成長期はGDPとエネルギーの増える比率が、ほぼ同じだった。それはエネルギー多消費型の重化学工業が経済成長の原動力だったからです。しかし、これからどのような産業が成長するかと言えば、楽天のような情報産業やネット系の業種、観光ツーリズム、あるいは介護・医療産業などでしょう。そうすると、GDPの増え方に比べてエネルギー消費は増えない。ということは、政府案の需要予測がこれまでの産業構造に引きずられているということです。

安全性対策を強化するほど
原発のコストは上がっていく
――技術革新という点では、原発メーカーなどに聞くと、この分野でも技術革新が進んで、原子力発電はもっと安全になる。核廃棄物についても、同じように技術で解決できるようになると言っています。

 私の長年の経験では、そうすると原子力発電のコストが高くなりますね。スケールメリットについては、3分の2乗則というものがある。表面積は二乗でしか増えないが、体積は三乗で増える。例えば、溶鉱炉の直径や高さを10倍にすると、表面積は100倍にしかならないけれども、体積は1000倍になる。だから、装置を大きくすると、面積に比例する装置費に比べて、体積に比例する生産量のほうが増える。ですから、溶鉱炉などは大型化することでスケールメリットが出るわけです。

例えば、私の家は断熱や太陽電池で約8割エネルギー消費を減らしました。三菱総研の例はお話しした通りです。輸送についても、いま日本で売れている自動車のトップ10は、ほとんどがリッター20km以上走る。これでわかるように、エネルギー問題でいちばん大事なことは、エネルギー効率を上げる技術革新。ただ、すでに述べたように現在使用されているストックベースの家電製品や自動車そして家やビルも10年、20年、50年と経てば、ほとんどすべてが入れ替わる。それを考えただけでも効率が上がるので、2030年のエネルギー消費レベルが政府案のように高いと考えるのは非常識です。

 そうなると残る問題は経済成長をどう考えるかです。政府案の場合、GDPが1%増えたときに、どのくらいエネルギー消費が増えるかというエネルギー弾性値の下がり方が小さすぎる。弾性値に影響を与える要素は、どのような産業で成長するつもりなのかということです。

 1960年代から1970年代の高度成長期はGDPとエネルギーの増える比率が、ほぼ同じだった。それはエネルギー多消費型の重化学工業が経済成長の原動力だったからです。しかし、これからどのような産業が成長するかと言えば、楽天のような情報産業やネット系の業種、観光ツーリズム、あるいは介護・医療産業などでしょう。そうすると、GDPの増え方に比べてエネルギー消費は増えない。ということは、政府案の需要予測がこれまでの産業構造に引きずられているということです。

安全性対策を強化するほど
原発のコストは上がっていく
――技術革新という点では、原発メーカーなどに聞くと、この分野でも技術革新が進んで、原子力発電はもっと安全になる。核廃棄物についても、同じように技術で解決できるようになると言っています。

 私の長年の経験では、そうすると原子力発電のコストが高くなりますね。スケールメリットについては、3分の2乗則というものがある。表面積は二乗でしか増えないが、体積は三乗で増える。例えば、溶鉱炉の直径や高さを10倍にすると、表面積は100倍にしかならないけれども、体積は1000倍になる。だから、装置を大きくすると、面積に比例する装置費に比べて、体積に比例する生産量のほうが増える。ですから、溶鉱炉などは大型化することでスケールメリットが出るわけです。

逆に、原子炉をいまの10分の1くらいに小さくすれば、事故が起きた時にでも、周りを水没させやすいので安全が確保できるというけれども、それはスケールデメリットをもたらします。スケールメリットの逆をやるわけですから、発電コストは高くなります。高レベル放射性廃棄物についても、ガラス固化体にして処理しようとしているが、なかなか上手くいっていない。津波や地震など自然災害のほかに、テロなどの対策も必要です。

 このような問題に対応しようとするたびに、原子力の発電コストは高くなる。一方、太陽電池の発電コストはかつて原子力の20倍くらいだったものが、すでに3倍くらいにまで下がってきているのではないか。このあとも、どんどん下がります。私は、今回の福島の事故の前には、2050年くらいに、原子力と太陽電池の発電コストが逆転すると言っていたのですが、20年後くらいには太陽電池の方が安くなっているのではないでしょうか。

――この7月1日から、電力会社に一定の価格・期間で、再生可能エネルギーでつくられた電気の買い取りを義務づけるフィードインタリフ(固定価格買取制度)が始まりました。これによって、再生可能エネルギーの導入は進むのでしょうか。

 基本的には再生可能エネルギーの導入を促すという意味でよかったと思います。ただ太陽電池の買い取り価格42円(1kWh当たり)は高すぎる。僕に言わせれば36円ぐらいで、頑張れるところはやれるし、そうでないところはできないというような設定がいいと思っていました。

 いわゆるコスト面でフロントランナーや、それに近い企業はどんどん事業を拡大できて、そうでない企業は振るい落とされる。そのことによってフロントランナーは規模の利益を得られ、技術が進歩し、さらに発電コストが下がるから買い取り価格を下げて、さらに技術革新を促す。そしてグリッド価格(既存の電力の発電コスト)に匹敵するようになったら、この制度をやめて事業者は自立する。これがフィードインタリフの目的です。ただ、1年目は少しおまけをしたということでいいんじゃないでしょうか(笑)。