東芝は化石燃料を使わずに水素を製造するための基本素子を開発した。
高温のガス炉で水蒸気を分解し、水素を効率よく取り出す。二酸化炭素(CO2)を出さない“グリーン水素”を作り出すシステムとして、2020年ごろの実用化を目指す。
燃料電池の燃料用のほか、電力を貯蔵するための媒体として水素を広く使えるようになる。14日から名古屋工業大学(名古屋市昭和区)で開かれる化学工学会の秋季大会で発表する。
水素は現在、天然ガスやナフサなどを原料に使い、熱化学的な反応で製造するのが主流だ。開発手法は水を原料に電気化学的な反応で水素を作り出す仕組み。今回、水を原料とする製造法の中でも、既存の手法に比べて2倍の約80%の高効率で水素を製造する「高温水蒸気電解法」を使う。
長良川河口堰(ぜき)(三重県桑名市)の開門調査の可否を検証している、愛知県の有識者会議の専門委員会は12日、開門調査の実施を「2012年度に計画が検討されることが望ましい」などとする報告書案を固めた。21日の最終会議で正式決定する。
報告書案によると、調査は塩水遡上(そじょう)の検証をする1~2年間の予備調査と、環境変化や生物の観察を行う5年以上の本調査に分けて実施。河口堰上流部から取水する長良導水、中勢水道、北伊勢工業用水の代替水源が手当てできた時点で開門が可能になるとし、「他の用水などによって代替は可能」との見解を示した。
塩水が遡上して塩害が発生する可能性については、既存の対策や取水方法の工夫で回避できる可能性が高いとした。堰の上流で水中の塩分濃度を観測し、取水する用水に塩分が流入する危険性があるときは、ゲートを閉めるなどの操作で防ぐ。河川管理者や漁業関係者、住民らが参加する「長良川河口堰開門調査協議機関(仮称)」と、下部組織にあたる専門委員会の設置も提言している。
河口堰の開門調査は2月の愛知県知事、名古屋市長選で大村秀章知事と河村たかし市長が共同公約に掲げた。専門委は報告書案を正式決定した後、住民から意見を募り、10月27日に採択。上部組織の有識者会議が、さらに議論をふまえて大村知事に報告書を提出する。
農水省、39歳以下に就農交付金 平均100万円超で調整
農林水産省は13日、39歳以下の若い世代の就農を支援する交付金制度を2012年度に創設する方針を明らかにした。交付額は平均で100万円を超える規模とする方向で、政府・与党内の調整を今後本格化させる。12年度予算の概算要求額は数十億円規模になる見通しだ。若者の参入を促し、高齢化や後継者不足が深刻な日本の農業を活性化させるのが狙い。創設する交付金は、複数年の分割払いとする方向。
東日本大震災から半年を経て、いまだに避難生活を余儀なくされている人たちがいる。福島第一原発は今も復旧作業が続いており、収束のめどが立っていない。2011年9月11日、TBS(株式会社TBSテレビ)は震災報道スペシャルとして『原発攻防180日の真実 故郷はなぜ奪われたか』と題した番組を1時間半(同日午後3:30~4:54)にわたって放送した。
東京電力(以下:東電)は13日、その放送内容に抗議する内容の文言をホームページに掲載しているのだ。東電によると、「事実と異なる内容や誤解を招くおそれのある内容が報じられております」として、同社が把握している事実関係を伝えているのだ。その内容は次の通りである。
・ TBS報道に対して、東電が抗議している放送内容(以下:抜粋)
1. TBS報道「停電しても適切に対応すればメルトダウンも水素爆発も防げた」
現在、国の事故調査・検証委員会などで調査が進められております。そうした中で、事実の解明を待たずに、推定や憶測などによって、「人災」と結論づけた報道がこのたびなされたことは甚だ遺憾であり、誤解につながる可能性が大きいと言わざるをえません。
2. TBS報道「ベント弁の手動操作の指示が遅かったことにより、ベント実施に時間がかかった」
速やかに発電所長は現場での手動操作を含めたベントの準備を進めるよう指示しており、指示が遅かったということはありません。
(高線量下、電源喪失、通信機能喪失の環境下で)作業員相互あるいは作業員と本部との連絡が極めて困難な状況であり、そうした中で全力を傾けていました。
3. TBS報道「(東電は)現場からの全面撤退を考え、それを国に伝えた」
当社が国へ申し上げた趣旨は「プラントが厳しい状況であるため、作業に直接関係のない一部の社員を一時的に退避させることについて、いずれ必要となるため検討したい。」ということであります。
なお、東電はこのことに対して、TBSに訂正などの対応を求めていないようである。ちなみに掲載内容の全文は、東電ホームページの「当社関連報道について」で確認が可能である。
参照元:東京電力ホームページ
東電賠償請求書類は「いやがらせ」? 専門用語だらけマニュアル156ページ
東京電力が原発事故の本補償の手続きを開始し、個人向けの補償金請求の書類一式を、仮払いを受けた約6万世帯に発送した。
しかし、請求のための申請書類は約60ページの冊子で、内容も複雑。「賠償する側という意識はあるのか」「いやがらせのような分量の多さ」といった批判が上がっている。
3か月ごとに書類作成が必要
東電が2011年9月12日に発送した封筒を覗くと、同意書、補償金請求書、各種証明書類といった書類が入っている。中でも目立つのは「補償金ご請求のご案内」と書かれた156ページの分厚いマニュアルだ。そのうち約100ページは、「一時立入費用」「生命・身体的損害」「就労不能損害」など、請求対象となる損害ごとの記入方法の解説だ。
仮払い補償金の申請書類は非常に簡素なものだったが、今回は領収書、証明書の添付のほか、細かく算式を記入する必要がある。たとえば「就労不能損害」の場合には、自身の雇用形態を4つタイプから判定したうえで、それに沿った証明書類を用意し、補償金の金額を算定しなくてはならない。ページを行ったり来たりで、骨の折れる作業だ。
申請書は請求者1人につき1冊。しかも今回は3月11日~8月末が対象で、それ以降は3か月ごとに同じ書類を作成する必要があり、申請者の負担は大きい。
漏れなくすべてを記入するのも難しそうだ。東電では対策として、補償相談センターに約200人の担当者を設置し、手続きがわからない人のためには現地で説明会を実施するという。
東電は、申請から支払いまでは最低でも1か月かかるとしている。記入漏れがあった場合は、記入し直しとなり、さらに時間がかかる。また、東電からの賠償額通知に同意できない場合には、原子力損害賠償紛争解決センターに和解仲介を申し立てることにもなる。
「めんどくさい」「心が折れそうになった」
ツイッター上では早速、東電から書類の届いた被害者の声が上がっている。福島から埼玉に避難しているある女性ユーザーは、「東電から補償金の請求書類が届いた。一人一冊って…。説明書も分厚くて…。嫌がらせ?めんどくさい」と不満を顕わにする。
福島県大熊町から避難しているという女性は、「東電補償金の資料がきた。大量過ぎて頭がこんがらがる。読むのが面倒いくらいだ」と混乱気味。書類を見て「ちょっと心が折れそうになった…」というユーザーもいた。
福島県川内村から避難しているという女性は、分厚い説明書や書類の多さに驚きを隠せない。「保険の手続き書類に似ている」とし、「これを読んで記入するなんて、村の高齢者のほとんどは無理だろう。代行業者とか、代行詐欺が出るのではないか」と心配する。
続けて、「支援、補償関係の手続きは、本当に面倒くさい。福島県の健康調査、3月11日から25日までの記録を提出したが、ダンナとふたりでメモを見ながら書いていっても、思い違いがあったりする。こういうこともあるかとメモつけていたわが家ですら、ダメダメ」と書類作成の苦労を語っている。
ジャーナリストの須田慎一郎氏は9月13日放送のテレビ朝日系「ワイドスクランブル!」で、「被害者にしわ寄せを持っていくなんておかしいんですよ」「東電の社員が1軒1軒まわって聞き取り調査をするなりして書類を書くべきであって、(被害者に)負担を求めるというのはどう考えたっておかしい」と批判している。