「琥珀の夏」 辻村深月 文藝春秋 2021.6.10
ようやく回ってきた😅
辻村深月さんも人気者だ。
かつてカルト集団として批判された団体の敷地からこどもの白骨が発見された。
弁護士の法子は、遺体は自分の知る少女ではないかと胸騒ぎを覚える。
三十年前の記憶の扉が開き、幼い日の友情と隠された罪があふれだすーー。
P311
「子どもの教育に熱心になるには、三つのものがないといけないんです」
「金があること、暇があること、熱意があること。ーーそういう女性が〈ミライの学校〉の存在を知ったとします。(略)家族を守る妻がまず思想にかぶれるんです。しかも、子どもや社会のために、もっと何かできることはないかと考えるそういう女性たちは、学歴があったり、真面目な人が多い。その真面目さが厄介なわけですが」
P319
「成長してから〈ミライの学校〉を恨もうと思っても、それができない。あそこがなければ両親が出会うこともなく、自分が生まれることもなかったからです。あそこを否定することは、自分の存在を否定することと一緒になってしまう」
P320
「子どもが一番、自分の方を向いてほしいと思っている時に、親が、子どもにはわからない遠い思想に夢中なのでは本末転倒ではありませんか。世界平和について祈ることができても、傍らにいる子どもの幸せを祈れないということになってしまう」
子どもは、親が信じている宗教の影響から逃れることができない。
宗教のみならず、経済的なことや、考え方・生き方も……。
親ガチャという言葉を思い浮かべてしまった。