「真夜中の子供」 辻仁成 河出書房新社 2018.6.20
「真夜中」を生きる無戸籍の少年・蓮司。
喧騒と神事・山笠の熱気が包むこの街に、
少年は自分だけの王国をつくることを選ぶーー
よき理解者でテント暮らしの源太、心優しい客引き・井島、
お腹を満たしてくれるスナックのママや屋台の主人、憧れの山笠の重鎮・カエル、
兄のような存在の平治、警察官の響、そして中洲育ちの少女緋真(ひさな)ーー
土地と人とに育まれ、少年は強く成長していく。
なんだろう……
この、モヤモヤした、スッキリしない読後感は……
嫌な感じではないけれど。
完全に幼児虐待と言える両親でも、それしか知らない子供はそのまま受け入れる。
とんでもない環境に育ちながら、それなりにまっすぐで、
周りの人に恵まれる……
あり得ないような設定が、モヤモヤの一因かも。
陰湿な虐待がある家の中にいるよりも、
放任されて外をフラついている方が、周囲の大人の庇護を受けやすくなる、
というような……
ふと、『サラリーマン金太郎』が浮かんだ。
カエルさんや源太に、裏社会で莫大な勢力がある中村ばあさんが重なって。
そういえば、美鈴ママの雰囲気を持つクラブのママもいるし (笑)